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BIMによる効率化と変わりゆく働き方|藤井 章弘氏【BuildApp Newsオリジナルコラム】

掲載日:2022年10月25日

執筆者情報

藤井 章弘(ふじい あきひろ)氏
株式会社AMDlab CEO  建築情報デザイナー/建築構造デザイナー(一級建築士)

藤井氏は、BIMをはじめとする建設テックに精通した一級建築士の資格を持つ建築構造デザイナー/構造家です。BIMエキスパートの藤井氏のオリジナルコラムを読んで、建設DXの最前線のキャッチアップに役立ててみてください。

株式会社松田平田設計で構造設計者として経験を積んだ後、一級建築士の松原昌幹氏と2019年にAMDlabを設立。建築を基盤とするアプリケーションやプロダクトの開発、建築設計、教育活動などを行い、機械学習やIoT、VRなど最新テクノロジーを用いて建築業界のDXを推進。

BIMによる効率化と変わりゆく働き方

建設業では、長時間労働や低い有給取得率などの課題が長い間問題になっています。そういった課題を解決するために、業務効率化や働き方改革が各社で進められています。2024年には、働き方改革関連法が施工されます。業務量は変わらない中で、より効率的に業務を行なっていかないと、これまでと同じ質のアウトプットは出せません。そこで本稿では、BIMを導入することで、何が効率化され、働き方はどのように変わるのかということをいくつかの視点から述べたいと思います。

BIMソフトによって効率化されること

まずはBIMソフトによって効率化されることをいくつか述べた後に、働き方について触れたいと思います。下記にBIMソフトのみで効率化されるであろうことを列記します。

1.コミュニケーションが取りやすくなる

BIMではモデル作成時に多くの情報を必要とします。CADだとある情報を無視して一旦作成するということが可能ですが、BIMでは早期に多くのパラメータの決定を求められます。また、これまでは口頭やイメージで共有していたものも、BIMの中に情報を集約できるので、情報を関係者と容易に共有でき、コミュニケーションコストを下げることができます。

2.図面管理が容易になる

これまではたくさんのCADデータをバラバラで管理していたものが、BIMでは一つのデータに多くの図面をまとめることができるので、図面の管理コストが小さくなります。CADでは、どこかに修正があれば、関連する全ての図面を図面毎に別々に修正しますが、BIMでは、修正を加えたとしても、その修正を全ての図面に同時に反映することができます。そのため、不整合が無く、修正時間も短縮され、どの図面が最新で正しい情報かということを考える必要も無くなります。

3.必要情報の取得速度が上がる

これまでは線の集合で何かを表現していましたが、BIMによって多様な情報を詰め込めるようになりました。例えば見積業務などは単なる線から設計者の意図をくみ取り、調べ、費用を算出していました。それがBIMでは、属性情報などから見積算出に必要な情報をすぐに得ることができます。モデルを作成している段階で見積も並行して行える可能性があります。

BIMによって働き方はどう変わるか

働き方を考えたときには、実際に手元で操作しているBIMソフトのことも知っておく必要があるので、上記ではBIMソフト導入による効率化について述べました。しかし、ここではそれだけではなく、もう少し広げてBIMによって働き方はどう変わるかについても述べたいと思います。まずはBIMソフトで変わる働き方を一部ではありますが下記に示します。

1.線を引かず選ぶようになる

BIMの概念そのままでもあるのですが、情報でモデルを作成していくことになります。それだけでは必要情報になりえない線を一から作成することは減っていきます。今後は、既にあるデータの活用や自動化される部分も増え、人は方針を立てて、判断するのみで良い部分が増えてきます。

2.空間的にも時間的にも非同期での業務が可能になる

クラウド技術も絡むのですが、同じ情報源をデータでリアルタイムに共有できるので、そもそも対話の機会自体も減らせる可能性があります。実際に対話するにしても同じ情報を共有できさえすれば、それぞれ別の場所にいてのオンラインミーティングでも、各人の都合の良いタイミングでのチャットでも、確認程度であれば対面で話す必要性が無くなります。現状それぞれの使い分けは必要ですが、より広い領域でそういったことが可能になっていきます。

ここでもう少し視野を広げてみましょう。そもそもBIMソフトが提供しているものは、情報を入力するための機能です。

これまで散乱していた情報を、その機能のおかげで一つのフォーマットに集約することができるようになりました。情報を集めることはできるようになりましたが、その情報をどこに集め、活用するかはまた別です。もちろんBIMソフトも高機能なので、その中である程度は可能です。

しかし、情報を活用する方法はたくさんあるので、ソフトに縛られることなく、BIMを土台に多くの道が拓ける可能性があります。最大限にBIMを活用するには、クラウドやAIなどのその他の技術との融合やその運用方法を考える必要があります。

BIMソフトのみで変わる部分は一部に過ぎません。その一部も大きいのですが、本当に働き方が劇的に変わるのはその先にあります。

例えば、入力した情報を元に、寝ている間にクラウド上でAIに設計を行ってもらったり、外出先の隙間時間にWebブラウザでモデルの共同編集を行ったりなど、まだ実現していない仕組みもありますが、近年のITの進化のスピードを考えると、少し考えただけでも色んな働き方の可能性が出てきます。

BIMは、働き方改革には欠かせませんが、それは必要な一つのピースに過ぎないということを見据えて、業務効率化を考えてみてください。

この記事を書いた人

藤井章弘

株式会社AMDlab CEO   BIMをはじめとする建設テックに精通した一級建築士の資格を持つ建築構造デザイナー/構造家。 株式会社松田平田設計で構造設計者として経験を積んだ後、一級建築士の松原昌幹氏と2019年にAMDlabを設立。建築を基盤とするアプリケーションやプロダクトの開発、建築設計、教育活動などを行い、機械学習やIoT、VRなど最新テクノロジーを用いて建築業界のDXを推進。

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