建設RXコンソーシアムとは|ゼネコン大手5社連携

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著者:小日向

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「建設RXコンソーシアム」についてピックアップします。建設会社の大半が会員となっており、協業によるロボット・AI等の技術開発が期待されています。本記事では、建設RXコンソーシアムの主な活動や展示会情報についてご紹介します。

建設RXコンソーシアムとは

ここでは、建設RXコンソーシアムの概要や会員についてご紹介します。

建設RXコンソーシアムの概要

建設RXコンソーシアムとは、施工ロボット・IoTアプリ等の開発推進について協働を図るための共同企業体のことを指します。企業の垣根を越えて技術を相互利用することで、建設業界全体の課題解決に貢献することが目的です。

施工ロボットやIoTアプリの開発にはコストが掛かりますが、協業することで資本の集中・技術集約が期待できます。リスクの分散及び開発期間の短縮が実現すれば、ロボット等の普及促進に繋がるでしょう。

2023年6月、大成建設が新加入|ゼネコン5社が揃う

建設RXコンソーシアムは、2021年9月に鹿島建設・清水建設・竹中工務店の3社が幹事として発足しました。当初の会員数は16社でしたが、2023年8月現在では224社(正会員29社・協力会員195社)になっています。

2022年に大林組が加入、そして2023年6月に大成建設が加入したことで、大手ゼネコン5社が揃いました。これにより大半の建設会社が正会員となり、組織が拡大しています。

建設RXコンソーシアムの活動

ここでは、建設RXコンソーシアムの活動内容についてご紹介します。

建設RXコンソーシアムの分科会

建設RXコンソーシアムには、以下12の分科会が設けられています。

  • ①資材の自動搬送システム分科会
  • ②タワークレーン遠隔操作分科会
  • ③作業所廃棄物のAI分別処理分科会
  • ④コンクリート系ロボット分科会
  • ⑤墨出しロボット分科会
  • ⑥照度測定ロボット分科会
  • ⑦生産BIM分科会
  • ⑧相互利用可能なロボット分科会
  • ⑨市販ツール活用分科会ドローンWG
  • ⑩市販ツール活用分科会バイタルセンサWG
  • ⑪市販ツール活用分科会アシストスーツWG
  • ⑫風量測定ロボット分科会

資材の自動搬送システムやタワークレーン遠隔操作では、すでに会員企業間での相互利用が進んでいます。またベンチャー企業との連携を深めるなど、積極的な技術展開を広げています。

建設RXコンソーシアムの主な成果

竹中工務店と鹿島建設は、2023年7月に建設RXコンソーシアムの活動を通して「防音カバー付き電動ハンドトロウェル」を共同開発しました。これは、分科会でスタートした技術開発として初の成果です。

従来のハンドトロウェルは、ガソリンエンジンで駆動するものが主流でした。そのため排ガスの換気設備やエンジンの駆動音といった問題がありました。またバッテリーを使用する場合にも、有線ケーブルによる制約やパワー不足等の課題があります。

しかし今回開発された「防音カバー付き電動ハンドトロウェル」では、バッテリー交換が容易なパワーユニットを搭載しているのが特徴です。これによりパワー不足を解消し、作業効率を向上しています。

駆動にガソリンを使用しないことで、排出ガスはゼロとなります。トロウェル1台あたり1日の使用で約23㎏のCO2削減にも寄与し、環境にも優しい機器です。また防音カバーを取り付けることで、使用時に発生する騒音を従来機の90dBから60dB程度に低減しています。市街地での夜間作業にも使用可能となり、工期短縮に寄与します。

「防音カバー付き電動ハンドトロウェル」の製作元は友定建機・AJ Tech JAPANで、RXコンソ会員企業であるアクティオを通じて、2023年3月からレンタルが開始されています。

建設RXコンソーシアムの展示会情報

ここでは、建設RXコンソーシアムが出展している展示会情報についてご紹介します。

日経クロステックNEXT東京2023

建設RXコンソーシアムは「日経クロステックNEXT東京2023」(9月27日~28日)に出展します。日経クロステック主催の新型イベントで、注目技術の動向や本質、メリット、リスクといった幅広い情報が入手できます。有識者・著名人による講演も予定されており、MaaS、量子コンピューター、Web3、メタバースといったDX情報にも注目です。

建設RXコンソーシアムのブースでは、一部ロボットの実演展示が予定されています。現場の課題解決を図るための新技術が一堂に会しており、DX成功のための次の一手のヒントが得られるでしょう。

JAPAN BUILD OSAKA

「JAPAN BUILD OSAKA-建築の先端技術展-」は、 建築・建設・不動産業界の最新製品が出展する関西最大級の専門展示会です。建設RXコンソーシアムとしての出展はありませんが、協力会員に加入している企業の多くが出展する予定です。

建材、住宅設備、ビル管理・運用システム、リノベーション技術、AI・IoT関連技術、不動産テック、建設DX、建物の脱炭素化など、最新技術の情報収集に役立ちます。

まとめ|建設RXコンソーシアムで技術連携

建設RXコンソーシアムでは、企業の垣根を超えた連携による技術革新が期待されています。大手ゼネコン5社が揃ったことで、連携も深くなると考えられます。すでに成果を上げている技術もあり、今後の展開に注目です。