【2026最新】建設DXで熱中症対策はできる?スーパーゼネコン5社の導入事例を解説

トレンドワード:建設DXによる熱中症対策とは

建設現場の熱中症対策は、個人の体調管理だけでは間に合わない時代になっています。そこで今、大手ゼネコン各社では、DXを活用した熱中症対策が始まっています。

この記事では、スーパーゼネコン5社が取り組んでいる最新の熱中症対策DXを解説します。2025年6月に熱中症対策が義務化されてから、各社がどのようなDXを導入し、現場の安全管理を進化させているのか、ぜひご確認ください。

スーパーゼネコン5社の熱中症対策DX導入事例

最初に、スーパーゼネコン5社の熱中症対策DXの導入事例を見ていきましょう。

清水建設|気象予測で予防

出典:PR TIMES,ウェザーニューズとオムロン、大雨や強風を1分毎に観測する、新型気象IoTセンサー「ソラテナPro」を開発,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000120244.html,参照日2026.8.3

清水建設が導入したのは、株式会社ウェザーニューズが提供する高性能気象IoTセンサー「ソラテナPro」です。2026年1月、東京都中央区に竣工した地上13階建てのオフィスビル「WORK VILLA YAESU」の工事現場で導入されました。

「ソラテナPro」は、気温、湿度など7つの気象要素を1分ごとに観測し、クラウド連携でリアルタイムで把握できるサービスです。簡単に設置・移動できるので、作業現場にもっとも近い、最適な場所のWBGT値を確認することができます。

事務所でデスクワークをしている社員がリアルタイムでデータを確認し、熱中症のリスクが高まった場合は、すぐに職長に作業計画の調整を伝達できるようになりました。こうして、熱中症対策の迅速化と業務効率化が実現しています。

竹中工務店|サーモ搭載ドローンで現場全体を見守る

竹中工務店は、サーモグラフィを搭載したドローンで現場の熱中症対策を行っています。本システムは、2025年に開催された大阪・関西万博の建築現場で導入されました。

サーモグラフィ搭載ドローンは、温度分布を表示した画像を生成するドローンです。ドローンで現場全体を見回り、作業現場の温度をリアルタイムで共有することができ、注意喚起に役立っています。

そのほか、水分補給の声がけや、休憩所としてコンビニを設置するなどの現場の暑さ対策も行いました。このような対策の結果、竹中工務店は2023年に「自社作業員の熱中症ゼロ」を達成しています。

大成建設|デジタルサイネージ・ICTで注意喚起

出典:PR TIMES,6月からの義務化に対応!熱中症への警戒度がLINE WORKS上に届く「熱中症アラート」2025年版を提供開始,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000476.000020202.html,参照日2026.8.3

大成建設は、デジタルサイネージとICTツールによる注意喚起で熱中症対策を行っています。デジタルサイネージは、物理的な制約によって、建設現場では設置が困難な場合があります。

そこで、設置が難しい箇所ではプロジェクターを用い、床面に表示するなどの工夫を行いました。また、ビジネスチャット「LINE WORKS(ラインワークス)」を導入し、作業員全員にWBGT(暑さ指数)の配信を実施、注意喚起を強化しました。

大成建設では、本取り組みにより熱中症の発症件数が前年度と比較して減少したことが報告されています。さらに、作業員の安全に対する意識や、暑さ対策への主体性の向上が確認されています。

大林組・鹿島建設|ウェアラブルデバイスで作業者の体調をリアルタイム管理

出典:PR TIMES,GRIFFY、『令和7年度 インフラDX大賞』 スタートアップ奨励賞を受賞,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000140985.html,参照日2026.8.3

大林組と鹿島建設は、ウェアラブルデバイスによる作業者のリアルタイム管理で熱中症対策を行っています。大林組が導入したのは、DXソリューション提供事業者のGRIFFYと共同開発したウェアラブルデバイス「GenVital LTE」です。

「GenVital LTE」は、作業者の心拍数と位置情報に、WBGT(暑さ指数)を組み合わせた独自のアルゴリズムにより、熱中症のアラートを発信するスマートウォッチです。2024年に大林組の現場でのべ3000人が利用し、熱中症の発症率は0.06%(2人)と、ほぼゼロの実績となっています。

鹿島建設は、ウェアラブルデバイスを使った遠隔見守りシステムで熱中症対策を行っています。鹿島建設が導入したのは、IoT開発事業者のユビテックが開発した「Field Browser」です。

本システムは、ウェアラブルデバイス「Work Mate」が収集したバイタルデータから、熱中症の予兆を検知し、注意喚起するシステムです。鹿島建設では、2021年から建設現場での試行運用と実証実験を始めています。

これからの熱中症対策DX

スーパーゼネコン各社の取り組みを見ると、特にウェアラブルデバイスの活用が広がっています。こうしたデジタルツールの活用で、これからの熱中症対策DXはどのように変化していくのでしょうか。

ウェアラブルデバイスとクラウドで一元管理

熱中症対策DXとして、ウェアラブルデバイスで取得したデータを、クラウドで一元管理する取り組みも広がっています。ウェアラブルデバイスは、リアルタイム監視だけでなく、AIによる分析に活用するデータを収集する役割も担っています。

収集したバイタルデータはクラウドに集められ、ビッグデータとして活用されます。具体的には、作業場所や職種・年齢ごとに分析され、現場全体の一元管理に役立っています。

現在、データ分析や予測の生成にAIの活用が広がっています。予測精度を高めるためには、多くのデータを継続的に収集・分析することが重要です。そのため、多くのゼネコンでウェアラブルデバイスを使ったデータ収集が実施されています。

デジタルツインで熱中症リスクを可視化

熱中症対策としては、デジタルツインを活用した熱中症対策システムの試行が始まっています。デジタルツインは、現場や施工管理のデータをデジタルで再現し、リアルタイムで共有することができる技術です。

竹中工務店では、ベントレー・システムズのデジタルツインプラットフォーム「iTwin」を導入し、工程管理と安全対策の遠隔化に取り組んでいます。具体的には、IoTセンサーで集めた温度や湿度のデータを、クラウド上のデジタルツインに表示します。

管理者は現場全体の環境を可視化でき、現場環境の変化を予測しやすくなります。温度や湿度が上昇し、熱中症のリスクが高まった場合は、すぐに作業者に休憩を促す指示を出すことができます。

また、現場で異常が検知されると、スマートスピーカーやSNSにより自動的にアラートが共有され、迅速な対応が可能となっています。

まとめ

熱中症対策DXは、個人の体調管理から、現場全体をリアルタイムで見守る仕組みへと変化しています。大手ゼネコンではメーカーとの共創により、ウェアラブルデバイスやデジタルツインによる一元管理も始まっています。今後は安全管理だけでなく、工程管理や生産性向上にもつながる技術として、さらに導入が広がっていくでしょう。