【2026年版】石綿作業主任者とは?|仕事内容・取得方法・費用・合格率をわかりやすく解説

建物の解体や改修工事に携わるなかで、「石綿作業主任者は誰が取得すればよいのか」「特別教育との違いがわからない」と悩んでいないでしょうか。

近年はアスベスト規制が強化され、事前調査や作業管理に関するルールも厳格になっています。そのため、必要な資格を正しく理解していないと、法令違反や工事停止といったトラブルにつながることも少なくありません。

そこでこの記事では、石綿作業主任者の役割や仕事内容、取得方法、他資格との違い、現場で起こりやすい失敗例まで、わかりやすく解説します。

石綿作業主任者とは「アスベスト作業の安全管理責任者」

石綿作業主任者は、アスベストを取り扱う現場で作業員の安全管理や粉じん飛散防止を指揮・監督する国家資格です。労働安全衛生法第14条石綿障害予防規則第19条にもとづき、対象となる工事では事業者が選任しなければなりません。

また、厚生労働省では、石綿による健康障害を防止するため、石綿作業主任者技能講習を修了した者の中から主任者を選任することを義務付けています。つまり、資格を持っているだけではなく、現場ごとに選任し、必要な職務を行わせることが重要です。

(出典:厚生労働省「石綿作業主任者技能講習規程(平成18年厚生労働省告示第26号)」

解体工事やリフォーム工事が増えるなか、元請企業だけでなく専門工事業者でも取得を進めるケースが増えています。まずは、自社の業務で選任義務が発生するか確認してみてください。

なお、アスベスト工事の概要からチェックしたい方は、以下の記事がおすすめです。

石綿作業主任者の役割と仕事内容

石綿作業主任者の主な役割は、作業員や周辺住民の健康被害を防ぐために、現場全体の安全管理を行うことです。具体的には、次のような業務を担当します。

  • 作業計画に基づく作業員への指揮・監督
  • 防じんマスクや保護衣の着用確認
  • 湿潤化や隔離養生など飛散防止措置の確認
  • 換気装置や除じん装置の点検
  • 作業方法の周知と安全教育

単に資格を持っているだけではなく、現場で適切な管理を行うことが求められます。将来的に解体工事や改修工事を増やす予定がある企業は、早めに人材育成を進めることが大切です。

選任が必要になる工事・作業

石綿作業主任者の選任が必要になるのは、石綿が含まれる建材の解体、改修、除去などを行うケースです。たとえば、次のような工事では選任義務が発生します。

  • 石綿含有吹付け材の除去工事
  • 石綿含有保温材の撤去工事
  • 古い建物の解体工事
  • アスベスト建材を扱う改修工事

実際、厚生労働省の「解体改修工事実施者向け資料」では、石綿含有建材を扱う工事において、石綿作業主任者の選任を義務付けています。吹付石綿(レベル1)、保温材等(レベル2)、成形板(レベル3)など、建材の種類を問わず、石綿を取り扱う作業では作業主任者の配置が必要です。

一方で、石綿が含まれていない建材のみを扱う場合や、事前調査の結果、石綿非含有が確認されている工事では、原則として選任は不要です。判断に迷う場合は、事前調査の結果と作業内容を整理し、必要な資格を確認してから工事計画を進めましょう。

石綿作業主任者が必要か判断する方法【確認表】

石綿作業主任者が必要かどうかは、「石綿含有建材を扱う工事を行うか」で判断できます。資格を取得していても選任が不要なケースもあるため、まずは自社の業務内容を整理することが大切です。

以下の表から、自社に必要かどうかを確認してみてください。

ケース必要な資格や対応
石綿が含まれていない建物の解体原則不要
石綿の事前調査だけ行う一般建築物石綿含有建材調査者など
石綿含有建材の解体・除去を行う石綿作業主任者+作業者の特別教育
石綿含有建材の改修工事を行う石綿作業主任者+作業者の特別教育

なお、「石綿がないから石綿作業主任者は不要」と自己判断するのは避けましょう。平成18年9月以前に着工した建築物では、アスベストが使用されている可能性があるため、まずは法令に基づく事前調査が必要です。

この際、事前調査だけを行う場合は、一般建築物石綿含有建材調査者などの資格が必要になります。一方、実際に石綿含有建材の解体や除去、改修を行う際には、石綿作業主任者の選任と、作業者への特別教育の実施が求められます。

自社がどの段階まで業務を担当するのか整理したうえで、必要な資格を確認しておくと、工事開始後のトラブルを防ぎやすくなります。

また、石綿事前調査が対象外になる場合もあります。具体的な工事ケースを知りたい方は、以下の記事がおすすめです。

石綿作業主任者になる方法

石綿作業主任者は、実務経験がなくても取得できる国家資格です。都道府県労働局長に登録された教習機関で2日間の技能講習を受講し、修了試験に合格すれば資格を取得できます。

ここでは、受講条件や費用、難易度について紹介します。

受講資格(実務経験なし・18歳以上で受講可能)

石綿作業主任者技能講習は、18歳以上であれば実務経験や学歴を問わず受講できます。将来的に石綿工事を担当する現場責任者を目指すうえで、取得しておきたい資格の一つです。

一方で、資格を取得しただけでは主任者になれるわけではありません。実際に石綿作業を行う際は、事業者が正式に選任する必要があります。

なお、平成18年3月31日までに「特定化学物質等作業主任者技能講習」を修了している場合は、石綿作業主任者として選任できます。ただし、平成18年4月以降の「特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者技能講習」は対象外となるため注意してください。

講習内容・日数・費用の目安

石綿作業主任者技能講習は、2日間の学科講習と修了試験で構成されています。登録教習機関によって金額は変動しますが、全国的には1万4,000円〜2万5,000円程度が一般的です。福岡県の場合だと、受講料と教材費を含めて14,190円(税込)が目安となっています。

(出典:福岡経営者労働福祉協会「石綿作業主任者技能講習」

主な講習内容は次のとおりです。

講習科目時間
健康障害および予防措置2時間
作業環境の改善方法4時間
保護具に関する知識2時間
関係法令2時間
修了試験1時間

また、中小建設事業主の場合は、人材開発支援助成金(技能実習コース)の対象になることがあります。複数名を受講させる予定がある企業は、事前に活用できる制度を確認してみてください。

合格率・試験難易度

実際、教習機関などでは合格率90%以上と案内されることも多く、講習内容を理解していれば十分に合格を目指せます。暗記する量もそれほど多くないため、講習で学ぶ内容を整理しておけば問題ありません。

ただし、次のようなケースでは不合格になることがあります。

  • 講習中に説明を聞かず、内容を理解していない
  • 関係法令のポイントを整理していない
  • 出席時間が不足している
  • 修了試験を軽く考えて準備をしなかった

石綿作業主任者は、資格取得そのものよりも、取得後に現場で適切な安全管理を行うことが重要です。合格をゴールにするのではなく、実務で活かすことを意識しながら受講してみてください。

石綿作業主任者を選任するときの流れ

石綿作業主任者は、資格取得だけで終わりではありません。実際に工事を行う際は、事前調査や特別教育なども含めて現場体制を整える必要があります。

石綿作業主任者を選任する流れは次のとおりです。

  1. – 石綿作業主任者技能講習を修了した社員がいる
  2. – 事前調査で石綿含有建材の有無を確認している
  3. – 作業計画書や施工体制に担当主任者を明記している
  4. – 作業員への石綿取扱い作業従事者特別教育を実施している
  5. – 必要な届出や掲示物を準備している

石綿作業主任者の選任とは、工事ごとに有資格者を責任者として定め、その人が法令で定められた職務を行う体制を整えることです。資格を持っているだけでは不十分なため、施工計画書や社内記録にも担当者を明記しておくと、後から確認しやすくなります。

石綿作業主任者と他資格との違い

石綿関連の資格は複数あるため、「どれを取得すればよいのかわからない」と迷う方も少なくありません。実際には、現場での役割によって必要な資格が異なります。

ここでは以下の比較表をベースに、実務で利用する機会の多い「石綿取扱い作業従事者特別教育」「一般建築物石綿含有建材調査者」との違いについて紹介します。

できること石綿作業主任者石綿取扱い作業従事者特別教育一般建築物石綿含有建材調査者
石綿作業を行う
作業員を指揮・監督する××
石綿作業主任者として選任される××
建築物の事前調査を行う××
事前調査結果を報告する××
解体・改修工事を管理する×

※△:調査業務は可能ですが、石綿作業に従事する場合は別途、特別教育の受講が必要です。

石綿取扱い作業従事者特別教育との違い

石綿取扱い作業従事者特別教育は、実際にアスベストを扱う作業員が受講する教育です。

現場では、「特別教育を受けているから主任者になれる」と誤解されることがあります。しかし、特別教育だけでは石綿作業主任者として選任できないことに加え、現場全体を指揮・監督する権限はありません。現場管理を任せる場合は、別途、石綿作業主任者技能講習を修了した人材を配置しましょう。

一般建築物石綿含有建材調査者との違い

一般建築物石綿含有建材調査者は、建築物にアスベストが含まれているかを事前調査するための資格です。石綿作業主任者とは、担当する工程そのものが異なります。

たとえば、元請企業として事前調査から解体工事まで一貫して対応する場合は、一般建築物石綿含有建材調査者と石綿作業主任者の両方が必要になるケースもあります。どの工程を自社で担当するのか整理し、必要な資格取得を進めてみてください。

調査者の概要や試験情報について詳しく知りたい方は、以下の記事がおすすめです。

現場でよくある失敗例と注意点

石綿関連の法規制は複雑なため、資格の役割を誤解したまま工事を進めてしまうケースも少なくありません。ここでは、現場で起こりやすい失敗例と対策を紹介します。

特別教育だけで主任者になれると思い込んでいた

石綿取扱い作業従事者特別教育と石綿作業主任者を混同すると、現場責任者を配置できず、法令違反となる場合があります。特別教育は作業員向けの教育であり、主任者として選任することはできません。

現場管理を担当する社員には、石綿作業主任者技能講習を別途受講させ、役割ごとに必要な資格を整理しておきましょう。

有資格者がいても選任をしていなかった

資格保有者が在籍しているだけで安心してしまい、施工計画書や社内記録で担当者を明確にしていなかったことによって、労働基準監督署から指摘を受ける場合があります。石綿作業主任者は、事業者による選任があって初めて職務を担えます。

解決策として、工事着工前のチェックリストに、主任者の選任と記録の確認を加えておくことをおすすめします。

事前調査者と主任者を混同していた

一般建築物石綿含有建材調査者の資格があれば十分だと思い込み、工事開始後に主任者が必要だと判明するケースがあります。事前調査と施工管理は別制度のため、それぞれ対応する資格が異なります。

調査・施工・管理のどこまで自社で担当するのか整理し、必要な資格者を事前に確保しておきましょう。

石綿作業主任者に関するよくある質問【FAQ】

石綿作業主任者は誰でも取得できますか?

18歳以上であれば、実務経験や学歴を問わず受講できます。建設業未経験者でも取得可能なため、将来的に解体工事やリフォーム工事に携わる予定がある方は、早めに取得しておくと安心です。

石綿作業主任者は国家資格ですか?

石綿作業主任者は労働安全衛生法にもとづく国家資格です。都道府県労働局長に登録された教習機関の技能講習を修了し、修了試験に合格することで資格を取得できます。

石綿作業主任者の合格率はどれくらいですか?

公的な合格率は公表されていませんが、多くの教習機関では90%以上と案内されています。講習内容をしっかり理解していれば、比較的取得しやすい資格だと言えます。

更新講習は必要ですか?

石綿作業主任者には、原則として更新講習や資格の有効期限はありません。一度取得すれば継続して使用できますが、法改正が行われることもあるため、最新の制度や実務ルールは定期的に確認しておきましょう。

まとめ|アスベスト工事を行うなら早めの取得がおすすめ

石綿作業主任者は、アスベストを扱う解体・改修工事に欠かせない国家資格です。石綿含有建材の工事を行う場合は、資格取得だけでなく、事前調査や作業員への特別教育、適切な現場体制の整備も求められます。

また、石綿取扱い作業従事者特別教育や一般建築物石綿含有建材調査者とは役割が異なるため、自社の業務範囲に応じて必要な資格を整理することが大切です。

今後、解体工事やリフォーム工事への対応を予定している場合は、法令違反や手続き漏れを防ぐためにも、早めに資格取得や社内体制の整備を進めてみてください。