【2026年版】電気工事士とは?仕事内容・年収・難易度を解説|1種と2種の違い・向いている人

「電気工事士は手に職になると聞くけれど、自分に向いているのだろうか」「第一種と第二種の違いや、どのくらいの年収を目指せるのか知りたい」と悩んでいないでしょうか。
電気工事士は、住宅やビル、工場などの社会インフラを支える国家資格です。経済産業省が推進する2050年カーボンニュートラル政策では、再生可能エネルギーやEV(電気自動車)の普及が進められており、太陽光発電設備やEV充電設備に関連する工事需要の拡大も期待されています。
一方で、仕事内容やキャリアの選び方を理解しないまま目指すと、「思っていた仕事と違った」と感じてしまうケースも少なくありません。
そこでこの記事では、電気工事士の仕事内容や年収、試験の難易度、向いている人の特徴までわかりやすく解説します。
目次
電気工事士とは?電気設備工事に必要な国家資格
電気工事士とは、住宅や店舗、工場などの電気設備工事を行うために必要な国家資格です。電気工事士法によって定められている資格であり、一定の工事は資格保有者でなければ施工できません。
資格は第一種と第二種に分かれており、担当できる工事の規模が異なります。未経験から業界に入る場合は、一般住宅や小規模施設を対象とする第二種電気工事士から取得し、実務経験を積んで第一種へ進むケースが一般的です。
将来的に転職や独立も視野に入れている方は、まず自分がどのような現場で働きたいのかを整理しながら、資格取得を検討してみてください。
電気工事士の仕事内容
電気工事士の仕事は、電気を安全に使える環境をつくり、維持することです。
以下に、主な現場と仕事内容をまとめました。
| 現場 | 主な仕事内容 | 必要になりやすい資格 |
| 住宅 | 配線工事、照明・コンセント設置、リフォーム工事 | 第二種電気工事士 |
| 店舗・オフィス | 照明設備、空調設備、通信設備工事 | 第二種電気工事士(規模によって第一種) |
| 工場 | 生産設備の電源工事、設備保守・メンテナンス | 第一種電気工事士 |
| ビル | 受変電設備、設備更新、設備メンテナンス | 第一種電気工事士 |
どの分野を目指すかによって、必要な資格や将来のキャリアも変わります。転職や資格取得を考える際は、自分がどのような現場で働きたいのかをイメージしながら進めてみてください。
第一種電気工事士と第二種電気工事士の違い
第二種電気工事士は、一般住宅や小規模店舗など、600V以下で受電する一般用電気工作物の工事を行えます。一方、第一種電気工事士は、工場やビルなどの自家用電気工作物にも対応でき、より大規模な現場で活躍できます。
以下に2つの資格の違いをまとめました。
| 項目 | 第二種電気工事士 | 第一種電気工事士 |
| 工事範囲 | 一般住宅・小規模店舗などの一般用電気工作物 | 一般用電気工作物+工場・ビルなどの自家用電気工作物 |
| 受験資格 | なし | なし |
| 実務経験 | 不要 | 免状交付には実務経験が必要 |
| 難易度 | 比較的取得しやすい | 第二種より難易度が高い |
| おすすめの人 | 未経験から電気工事業界を目指す人 | キャリアアップや現場責任者を目指す人 |
将来的に独立や年収アップを目指す場合でも、いきなり第一種を狙うより、第二種で実務経験を積んだ方が挫折しにくい傾向があります。まずは自分のキャリアプランに合った資格から挑戦してみましょう。
電気工事士になるならどの働き方を選ぶべき?
電気工事士の資格を取得した後は、住宅工事だけでなく、工場やビル設備、施工管理などさまざまなキャリアを選べます。どの働き方を選ぶかによって、仕事内容や年収、働き方が変わるため、自分の目的に合った分野を選ぶことが大切です。
| 働き方 | 特徴 | おすすめの人 |
| 住宅電気工事 | 戸建てやアパートの配線工事が中心 | 未経験から始めたい人 |
| 店舗・オフィス工事 | 照明や空調設備の工事が多い | 幅広い現場を経験したい人 |
| 工場設備保全 | 生産設備の保守・点検を担当 | 安定した環境で働きたい人 |
| ビル設備管理 | 受変電設備や建物設備を管理 | 設備保守に興味がある人 |
| 施工管理 | 工程・品質・安全管理を担当 | 現場経験を活かして管理職を目指したい人 |
| 独立開業 | 営業から施工まで自分で行う | 収入上限を高めたい人 |
未経験者は住宅工事や店舗工事で基礎を学び、第一種や施工管理資格へ進むルートが一般的です。自分が重視する働き方を整理しながら、段階的にキャリアを築いていきましょう。
電気工事士になるべき?まずは判断フローチャートで確認
電気工事士が向いているかどうかは、「どのような働き方をしたいか」で判断することが大切です。まずは、次のフローチャートで自分に合っているか確認してみましょう。
Q1. 手に職を付けて長く働きたい?
├─ YES
│ ↓
│ Q2. 現場作業や体を動かす仕事に抵抗はない?
│ ├─ YES
│ │ ↓
│ │ Q3. 資格取得やスキルアップを続けられる?
│ │ ├─ YES
│ │ │ ↓
│ │ │ ◎ 電気工事士に向いている可能性が高い
│ │ │
│ │ └─ NO
│ │ ↓
│ │ △ 補助業務中心の職種も検討
│ │
│ └─ NO
│ ↓
│ CADオペレーターや設備設計など、
│ デスクワーク中心の技術職がおすすめ
│
└─ NO
↓
営業職・事務職など、
重視したい働き方を整理して選ぶ
電気工事士の年収は?キャリア別の収入目安
電気工事士の年収は、資格だけで決まるわけではありません。以下のように、実務経験や担当する現場の規模、役職によって変わります。
| キャリア | 年収目安 | 主な仕事内容 |
| 未経験〜若手 | 300万〜450万円 | 住宅配線工事、照明・コンセント設置、リフォーム工事 |
| 第一種取得・現場責任者 | 500万〜700万円 | 工場・ビル設備工事、現場管理、後輩指導 |
| 独立開業 | 600万〜1,000万円以上(実績次第) | 顧客対応、工事管理、見積作成、経営 |
「資格を取ればすぐ高収入になる」と考えがちですが、実際は経験年数や対応できる工事の幅が収入に直結します。まずは第二種で実務経験を積み、第一種や施工管理などへステップアップすると、安定して年収を伸ばしやすくなります。
※年収は厚生労働省「job tag(職業情報提供サイト)」や求人情報をもとにした目安です。地域や企業規模、保有資格、実務経験によって差があります。
電気工事士の資格試験|条件・難易度・合格率・勉強方法
電気工事士の試験は、第一種・第二種ともに受験資格がなく、未経験からでも挑戦できます。ただし、第一種は免状交付に実務経験が必要になるため、多くの人は第二種から取得しています。
ここでは、資格試験の難易度や合格率、勉強方法について解説します。
第二種電気工事士の難易度・合格率
第二種電気工事士は、未経験者が最初に取得することの多い国家資格です。受験資格はなく、独学でも十分に合格を目指せます。
| 項目 | 内容 |
| 受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験不問) |
| 工事範囲 | 一般住宅・小規模店舗などの一般用電気工作物 |
| 試験実施回数 | 年2回(上期・下期) |
| 試験方式 | 学科試験(CBT方式・筆記方式)+技能試験 |
| 受験手数料 | インターネット申込み:11,100円/郵送申込み:12,500円(非課税) |
| 学科試験合格率 | 約60%前後 |
| 技能試験合格率 | 約70%前後 |
| 勉強時間の目安 | 50〜100時間程度 |
| おすすめの人 | 未経験から電気工事業界を目指す人、手に職を付けたい人 |
出典:電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験」
国家資格のなかでは比較的挑戦しやすく、未経験者が最初に取得するケースが多い資格です。
第一種電気工事士の難易度・合格率
第一種電気工事士は、工場やビルなどの大規模設備を扱える上位資格です。受験資格はありませんが、免状を取得するには実務経験が必要になります。
| 項目 | 内容 |
| 受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験不問) |
| 工事範囲 | 一般用電気工作物+工場・ビルなどの自家用電気工作物 |
| 試験実施回数 | 年2回(上期・下期) |
| 試験方式 | 学科試験(CBT方式・筆記方式)+技能試験 |
| 受験手数料 | インターネット申込み:13,000円/郵送申込み:14,400円(非課税) |
| 学科試験合格率 | 約60%前後 |
| 技能試験合格率 | 約60%前後 |
| 勉強時間の目安 | 150〜300時間程度 |
| おすすめの人 | キャリアアップを目指す人、工場・ビル設備工事に携わりたい人 |
出典:電気技術者試験センター「第一種電気工事士試験」
第二種取得後に現場経験を積みながら挑戦する方が、理解も深まりやすくなります。
独学でも合格できる?必要な勉強時間の目安
第二種電気工事士であれば、独学で合格している人も多くいます。特に、過去問と技能試験の候補問題を繰り返し練習すれば、合格率を高めやすくなります。
目安として、未経験者の場合は50〜100時間程度の学習時間を確保すると、無理なく試験対策を進められます。一方、第一種は出題範囲が広いため、150〜300時間程度を目安に学習計画を立てると安心です。
まずは工具セットを準備し、実際に手を動かしながら学習を進めてみてください。
「電気工事士はやめとけ」と言われる理由は本当?
「電気工事士はやめとけ」と言われることがあります。ただしそれは、仕事の特徴を理解せずに入職するとミスマッチが起きやすいことが背景にあります。一方で、計画的に資格を取得して希望する職種に入職すれば、手に職を付けられる魅力があります。
ここでは、よく挙げられる理由と実態を紹介します。
体力仕事が多い
電気工事の現場では、工具や資材を運んだり、長時間立って作業したりする場面が少なくありません。夏場や屋外工事では体力を使うため、「思っていたより大変だった」と感じる人もいます。
ただし、すべての仕事が重労働というわけではありません。実際には、住宅工事を数年間経験した後、工場設備保全や施工管理へキャリアチェンジする人も少なくありません。年齢やライフステージに合わせて働き方を変えやすいことも、電気工事士の特徴の一つです。
感電や高所作業など危険もある
電気工事士は電気を扱う仕事だからこそ、安全管理が重要です。感電や高所作業のリスクがあることから、現場では資格取得だけでなく、安全教育やルールの徹底が行われています。
未経験者の場合、最初から危険な作業を任されることは少なく、先輩社員の指導を受けながら段階的に仕事を覚えるのが一般的です。安全意識を持って働ける人であれば、過度に不安になる必要はありません。
一方で需要が高く手に職になるメリットもある
電気設備は、住宅、工場、商業施設など、あらゆる場所で必要とされます。そのため、景気の影響を受けにくく、将来的にも一定の需要が見込まれている職種です。
また、第二種から第一種、施工管理、独立開業へとキャリアアップの道があることも魅力です。体力面や安全面を理解したうえで、自分に合った働き方を選べるのであれば、長く活躍しやすい仕事として検討してみてはいかがでしょうか。
未経験者が失敗しやすい3つのケース
未経験から電気工事士を目指す場合、資格選びや就職先の考え方を間違えると、「思っていたキャリアと違った」と後悔することがあります。
ここでは、事前に知っておきたい失敗パターンを紹介します。
資格取得だけで転職できると思ってしまう
電気工事士は転職に有利な資格ですが、資格だけで高待遇の求人に就けるわけではありません。実際の採用では、コミュニケーション力や体力、将来的な成長意欲も重視されます。
未経験歓迎の企業で現場経験を積みながら、第一種や施工管理資格を目指す方が、結果的にキャリアアップしやすくなります。
第一種から挑戦しようとして挫折する
第一種電気工事士は受験資格こそありませんが、試験範囲が広く、免状交付には実務経験も必要です。そのため、未経験の状態でいきなり挑戦すると、学習量の多さに挫折してしまうケースもあります。
まずは第二種を取得し、実際の現場を経験してから第一種へ進む方が、知識と実務を結び付けながら学べるためおすすめです。
年収だけを見て入職先を決めてしまう
電気工事士の求人票は給与が高めに設定されている場合も多いですが、休日数や教育体制、担当する工事内容とのミスマッチが起こることがあります。特に未経験者は、最初の数年間でどれだけ経験を積めるかが、その後のキャリアに大きく影響します。
入職先を選ぶ際は、給与だけでなく、資格取得支援制度や担当できる工事の種類、将来的なキャリアパスまで確認しておくようにしましょう。
電気工事士の将来性はある?
電気工事士の将来性は、今後も安定していくと考えられます。その理由は、住宅や工場、商業施設など、あらゆる場所で電気設備は必要で、設備の新設だけでなく、更新やメンテナンスの需要も継続して発生するためです。
以下に、将来性がある具体的な理由を整理しました。
- 建物がある限り、電気設備工事や保守点検の需要がなくならない
- 太陽光発電やEV充電設備など、新しい分野の仕事が増えている
(経済産業省が推進する2050年カーボンニュートラル政策がきっかけ) - 技術者の高齢化が進み、若手人材の需要が高まっている
- 第一種電気工事士や施工管理資格を取得すると、キャリアアップしやすい
- 独立開業という選択肢もあり、働き方の自由度を高められる
もちろん、体力面や安全管理など、仕事ならではの大変さはあります。しかし、資格と実務経験を積み重ねることで、現場作業だけでなく、施工管理や設備保守、独立など多様なキャリアを選べることは大きな強みです。
手に職を付けて長く働ける仕事を探している方は、まず第二種電気工事士の取得から検討してみてはいかがでしょうか。
電気工事士が向いている人・向いていない人
電気工事士は安定した需要がある職種ですが、仕事内容や働き方の特徴を踏まえると、向いている人と向いていない人が比較的はっきり分かれます。まずは、自分がどちらに近いか確認してみましょう。
| 向いている人 | 向いていない人 |
| 手に職を付けて長く働きたい人 | 完全なデスクワークを希望する人 |
| ものづくりや設備に興味がある人 | 体を動かす仕事が苦手な人 |
| 資格取得や勉強を継続できる人 | 資格勉強をしたくない人 |
| 将来的に独立や年収アップを目指したい人 | 安定より楽さを重視する人 |
| 現場でチームと協力して働ける人 | 屋外作業や現場環境に抵抗がある人 |
特に電気工事士は、資格を取得した後も新しい設備や工法を学び続ける必要があります。そのため、「手に職を付けたい」「技術を身に付けて成長したい」という人ほど活躍しやすい傾向があります。
一方で、現場作業そのものに強い抵抗がある場合は、CADオペレーターや設備設計など、別の技術職の方が適しているケースもあります。資格の人気だけで判断するのではなく、自分の働き方に合うかどうかを考えてみてください。
まとめ
電気工事士は安定した需要があり、未経験からでも挑戦しやすい国家資格です。ただし、仕事内容や働き方には向き不向きがあるため、年収や将来性だけで判断しないように気を付けましょう。
実際には、第二種取得後に住宅工事などで経験を積み、第一種や施工管理資格へ進むキャリアが一般的です。まずは自分がどのような現場で働きたいのかを整理しながら、無理のないステップで資格取得を検討してみてください。