八重洲一丁目北地区再開発|10駅連結で金融都市東京を地下から支える呉服橋プロジェクト

トレンドワード:呉服橋プロジェクト(八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業)

出典:地方創生2.0,都市再生特別地区(八重洲一丁目北地区)都市計画(素案)の概要,https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/tokyoken/tokyotoshisaisei/dai15/shiryou1.pdf,参照日2026.8.10

東京駅の東側に位置する八重洲は、かつて江戸城の城下町として発展したエリアです。幕府ご用達の呉服店があったことから、「呉服町」(ごふくちょう)と呼ばれていました。今回ご紹介する「呉服橋プロジェクト(八重洲一丁目北地区再開発)」は、この八重洲エリアを中心に、国際金融都市東京を強化する再開発計画です。

この記事では、八重洲一丁目北地区再開発で変わる東京駅周辺の地下インフラの詳細と、国際競争力向上のための具体的な計画について、わかりやすく解説します。

事業概要

最初に、呉服橋プロジェクト(八重洲一丁目北地区再開発)の事業概要を見ていきましょう。

  • 所在地:東京都中央区八重洲一丁目1番他
  • 面積:全体 約9,260㎡、南街区 約7,560㎡、北街区 約1,700㎡
  • 構造・規模
    南街区:鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造 地上44階、地下3階、塔屋2階
    北街区:鉄骨造 地上2階
  • 着工日
    北街区:2031年
    南街区:2024年11月19日
  • 竣工日
    北街区:2032年12月31日(予定)
    南街区:2029年
  • 設計:日本設計
  • 施工:大成建設

八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業の所在地は、JR東京駅近くの「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」の隣になります。同エリアでは現在、「Torch Tower(トーチタワー)」が建設中です。

出典:PR TIMES,「八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業」新築着工,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000052843.html,参照日2026.8.10

北街区:水辺のウォーカブルな再開発

出典:PR TIMES,「八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業」新築着工,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000052843.html,参照日2026.8.10

敷地は日本橋川に面した1区画で、北街区と南街区で構成されています。北街区では、川沿いに隣接する「日本橋1丁目1・2番街区」「日本橋1丁目中地区」などの再開発事業と連続して、一体的に日本橋の水辺空間を整備しています。

南街区:地下で東京駅と日本橋駅をつなぐ大規模複合ビル

出典:国土交通省,日本橋川沿いエリアの国際金融機能を支える水辺空間が誕生,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001856806.pdf,参照日2026.8.10

南街区では、国際金融機能を強化するための拠点として、大規模複合ビルを整備しています。中高層部にオフィス、低層部に商業施設とラグジュアリーホテルを配置し、地下では東京駅と日本橋駅を接続する地下通路を整備する計画です。

地下から東京駅周辺を強化する

八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業では、都市のインフラを支える地下通路の整備が計画されています。

ここからは、東京駅周辺の利便性向上から都市全体の価値向上にもつながる、地下ネットワークの整備について見ていきましょう。

日本最大となる地下ネットワーク

出典:PR TIMES,「八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業」市街地再開発組合設立認可のお知らせ,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000052843.html,参照日2026.8.10

これまで、東京駅、大手町駅、有楽町駅、二重橋前駅、日比谷駅、銀座駅、東銀座駅の7駅が地下通路で連結されていました。本事業では、東京駅と日本橋駅が地下通路で接続されます。さらに、今後計画されている八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業(2029年1月末竣工予定)で、京橋駅との接続も予定されています。

現在、八重洲では「東京駅前3地区再開発」として、東京駅前八重洲一丁目東地区、東京ミッドタウン八重洲、八重洲二丁目中地区の再開発が進められています。

これらの再開発が完了すると、現在連結されている7駅に加え、日本橋駅、京橋駅、茅場町駅が新たに東京駅と接続されることになります。10駅連結の地下歩行者ネットワークは、完成すれば日本最大となる見込みです。

10駅連結で何が変わる?

東京駅を含む10駅連結により、地下インフラがどのように変わるのか具体的に見ていきましょう。

京橋駅から東京駅

これまでは、京橋駅から東京駅へ徒歩で移動する際、一度地上に出なければなりませんでした。地下通路が接続されれば、地下通路で移動が完結することになります。

天気に関係なく地下通路で東京駅から各駅まで歩けるようになることで、歩行者の利便性が向上します。

都営浅草線から東京駅

これまで、都営浅草線で東京駅に行こうとすると、こちらの2つのルートがありました。

  • 宝町駅で降りて地上を約7分歩く
  • 東銀座駅で降りて地下通路を約20分歩く(地下通路は銀座駅や有楽町駅まで回るため回り道になる)

日本橋駅と東京駅が地下通路で接続されると、日本橋駅で降りてそのまま地下通路で歩けるようになります。

東京メトロ銀座線から東京駅

東京メトロ銀座線から東京駅へ行く場合、もっとも近いルートは、日本橋駅か京橋駅から地上を歩いて約5分でしたが、今後は地下通路で歩いていけるようになります。

東京駅の北側・南側への移動が便利に

東京駅の北側(八重洲北口)に行きたいなら日本橋駅へ、南側(八重洲南口)に行きたいなら京橋駅へ、と使い分けができるようになります。東京駅の中でも、各方面への移動の利便性が向上します。

金融都市東京を強化する機能

八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業の南街区では、地下ネットワークの整備とあわせて、南街区に地上44階建ての大規模複合ビルが建設されます。国際金融都市として、東京の競争力を強化する施設が整備される計画です。

金融人材育成施設FIANの整備

出典:PR TIMES,オックスフォード大学教授陣等と提携した最先端プログラムを提供デジタル金融施設「FIAN」、東京・日本橋に開設,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000395.000052843.html,参照日2026.8.10

南街区の2階には、高度金融人材の育成施設「FIAN」(東京フィナンシャル庵)が開設される予定です。FIANは、東京都が進める「国際金融都市東京」構想を実現するための施設です。

また、近隣の日本橋一丁目中地区の再開発では、MICE(大規模ビジネスイベント)のための施設が整備される計画があります。こうした近隣施設と連携して、国際金融のための都心型MICEの活性化を図り、日本橋川を拠点とした国際競争力の強化につながる金融拠点の形成を目指しています。

FIANでは、既存人材のリスキリングや、AIなどのデジタル分野に精通した高度金融人材を育成するための、最先端プログラムの提供を計画しています。すでに2025年に東京建物日本橋ビルで先行開設されており、南街区完成後に機能移転する予定です。

ラグジュアリーホテルの誘致

南街区の6階から9階には、ラグジュアリーホテル「SEN/KA TOKYO by The Crest Collection(センカ東京 by クレストコレクション)」が誘致されます。クレストコレクションは、世界40か国で展開するホテルグループ「アスコット」が手がける最上位ブランドで、今回が日本初進出となります。

客室数は92室で、短期宿泊のほか、一年などの中長期滞在も可能なホテル・イン・レジデンスのサービスを提供する計画です。国際的ビジネスパーソンが長期滞在可能な施設を八重洲に整備することで、東京の国際金融都市としての競争力向上を目指しています。

まとめ

東京駅周辺では、トーチタワーをはじめとする地上の再開発が注目を集めていますが、地下でも再開発が進んでいます。これからの再開発は、地上のランドマークをつくる再開発だけではありません。地下ネットワークの整備も、都市機能を支える重要な再開発のひとつです。

呉服橋プロジェクトは、金融都市東京を地下から支える都市開発として、今後の都心再開発の新たなモデルになるかもしれません。