大和ハウス工業、木鋼ハイブリッド耐火柱Dkitto-Column開発 1.5時間耐火を実現

大和ハウス工業株式会社は、事務所など9階建てまでの建築物に使用できる木と鉄を組み合わせた耐火柱「Dkitto-Column(ディキットコラム)」を開発し、1.5時間耐火の大臣認定を取得しました。同社は3月28日から、この新技術を搭載した環境に配慮した事務所向け商品の全国販売を開始します。
木材利用を推進する取り組み「Future with Wood」の一環
大和ハウスグループでは、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた重点領域として、「木造・木質建築事業」を掲げています。この事業は、温室効果ガスの固定化や森林資源の循環利用に貢献することを目指しています。2023年10月には、非住宅建築物の木造化・木質化を推進するプロジェクト「Future with Wood(フューチャー・ウィズ・ウッド)」を立ち上げ、官民が連携した木材利用や木質化の技術開発などの取り組みを加速させています。
今回開発された「Dkitto-Column」は、「Future with Wood」の一環として開発されたもので、使用する木材の樹種に制限がなく、1.5時間耐火を実現できるとともに、二酸化炭素排出量の削減にも貢献できます。
大和ハウスは今後も、環境に配慮した木材の利用を通じて、社会や地域の脱炭素化と森林資源の循環利用に貢献し、カーボンニュートラルの実現と自然環境との調和を目指していくとしています。
どんな樹種も使える1.5時間耐火の技術
「Dkitto-Column」は、木材や網入強化せっこうボードを被覆材として使用することで、1.5時間の耐火性能を実現した耐火柱です。具体的には、45mmの木材を「燃え代層」として使用し、炭化することで高い断熱性能を発揮させます。また、15mmの網入強化せっこうボードを2枚重ねた「燃え止まり層」を設けることで、耐火性能をさらに高めています。
この1.5時間耐火の性能により、最大9階建てまでの建築物での使用が可能になります。大和ハウスが建設した事務所建築物の9割以上が9階建て以下であるため、木のあたたかみを感じられる空間を希望するお客様のニーズに応えることができます。
また、使用する木材の樹種に制限がないため、地域で産出される木材(地域産材)の利用など、お客様の多様なニーズに合わせた対応が可能です。
二酸化炭素排出量の削減効果
「Dkitto-Column」は、軽量で高強度の鋼材と、炭素を固定する効果がある木材を組み合わせることで、従来の柱材と比較して、1本あたりの製造時に発生する二酸化炭素排出量を117kg削減できます。これは杉の木(50年生)8本分の年間二酸化炭素吸収量に相当します。
大和ハウスは今後、自社の施設での導入を始め、お客様の事務所建築にも積極的に提案することで、二酸化炭素排出量の削減に貢献していく方針です。
東京都「環境性能向上支援事業」の活用
「Dkitto-Column」を搭載した環境配慮型事務所は、東京都の「環境性能向上支援事業」を活用して開発された商品です。
東京都は脱炭素社会の実現に向けて、「H(電力を減らす)T(つくる)T(ためる)」というアクションの取り組みを推進しています。2025年4月からは、延床面積2,000㎡未満の中小規模の新築建物に対して、断熱・省エネ性の確保や再生可能エネルギーの利用、ゼロエミッション車の普及促進を図るため、「建築物環境報告書制度」を開始します。
この制度では、大手ハウスメーカーなどに対して、ソーラーカーポートを含む太陽光発電設備やV2H充放電設備(電気自動車などのバッテリーに蓄えられた電力を家庭用電源として活用するシステム)の設置を義務付けています。さらに、この制度を推進するため、環境性能の高い中小規模建築物の開発や改良にかかる経費の一部を助成する「環境性能向上支援事業」を実施しています。
今後の展望
大和ハウスはこの支援事業を活用して木質化技術の耐火性能検証を進め、1.5時間耐火構造の「Dkitto-Column」を搭載した9階建てまでの環境配慮型事務所を開発することができました。
今後、大和ハウスは「Dkitto-Column」を採用した環境配慮型事務所商品の販売を通じて、東京都の「HTT」アクションに貢献するとともに、脱炭素社会の実現を目指していきます。
出典情報
大和ハウス工業株式会社リリース,●樹種の制限なく、1.5時間耐火を実現 木材を鉄骨の被覆材に使用した木鋼ハイブリッド耐火柱「Dkitto-Column」を開発,https://www.daiwahouse.co.jp/about/release/house/20250326182814.html