大成建設、太陽光発電のみで建物運用を実証、蓄電池と水素活用でエネルギー自立確認

2026年4月16日、大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、同社の技術センター「人と空間のラボ(ZEB実証棟)」(横浜市戸塚区)において、太陽光発電だけで建物の運用に必要な電力を賄う運用を実証したと発表しました。蓄電池と低圧水素貯蔵設備を組み合わせた独自のエネルギーマネジメントシステム(EMS)を活用し、電力の余剰分を無駄なく蓄えて使うことで、外部の電力に頼らないエネルギーの自立が実現できることが確かめられました。
目次
太陽光発電が抱える課題とは
政府が掲げる2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及は今後ますます重要になります。
ただし、太陽光発電には大きな弱点があります。発電中にCO2を出さないクリーンな電源である一方、発電量が天候・季節・時間帯によって大きく変わってしまうのです。発電が多すぎる時間帯と少なすぎる時間帯のバランスをうまく取れないと、突発的な停電や発電の強制停止といったリスクが生じます。こうした不安定さを解消するためには、余った電力を蓄え、不足時に有効活用する「蓄エネルギー技術」の活用が欠かせません。
独自EMSで短期・長期の貯蔵を両立
この課題に対応するため、大成建設は独自のEMSを開発しました。このシステムは、蓄電池と低圧水素貯蔵設備の両方を組み合わせて制御し、年間を通じた電力の需給バランスを最適に保てるよう設計されています。
今回の実証に使われた設備と役割は、次のとおりです。
・リチウムイオン型蓄電池:一日単位の短期的な電力の過不足を調整
・低圧水素貯蔵設備:余剰が多く発生する中間期に水素を製造・貯蔵し、電力需要が増す時期に発電して供給
EMSはこれら2つの設備を状況に応じて使い分け、太陽光発電による電力を無駄なく管理します。実証は2023年の冬から、2014年より11年間にわたり年間エネルギー収支ゼロを達成してきたZEB実証棟で開始されました。
実証の結果――6月と2月、それぞれの代表日
実際に計測されたデータから、季節ごとの運用内容をご紹介します。
6月の晴天日(日照時間12.1時間)
2024年6月の晴れた日には、太陽光発電で合計444kWhの電力が生み出されました。
・建物の消費分として57kWhを直接供給
・余剰電力387kWhのうち155kWhを蓄電池に充電し、夜間の消費電力40kWhに活用
・残る232kWhは水の電気分解に使い、水素として製造・貯蔵
日照が長く発電量が多いこの時期に、水素をまとめて蓄えておく仕組みです。
2月の晴天日(日照時間8.4時間)
2025年2月の晴れた日には、太陽光発電で297kWhの電力が得られました。
・中間期に蓄えておいた水素を燃料電池で発電
・夕方から翌朝早くにかけて、建物へ168kWhを安定供給
日照時間が短く発電量が落ちる冬場でも、事前に貯蔵した水素を活用することで、建物運用に必要な電力を賄うことが確認されました。
今後の展開と社会への貢献
今回の実証を通じて、蓄電池と低圧水素貯蔵設備を組み合わせた短期・長期の需給バランス調整が、計画どおりに機能することが確認されました。
大成建設は今後、このシステムの計画・制御・効率化についてさらなる検証を続けていく方針です。年間を通じて電力の需給バランスを最適に保てるこの技術を確立し、太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの普及を後押しすることで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していくとしています。
出典情報
大成建設株式会社リリース,蓄電池・低圧水素貯蔵設備を用いた”太陽光発電のみによる建物運用”を実証-余剰電力の短期・長期貯蔵と最適制御により、エネルギーの自立を実現-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260416_10997.html