国土交通省、建設工事紛争審査会の第4四半期状況公表、申請3件・次期繰越23件の結果に

国土交通省に設置されている「中央建設工事紛争審査会」は、令和7年(2025年)度第4四半期(2025年度末)における紛争処理の状況をまとめ、令和8年4月15日に公表しました。建設工事をめぐるトラブルが、裁判を使わずにどのように解決されているのかを示す資料として、毎期注目されています。

建設工事紛争審査会とはどんな機関か
建設工事紛争審査会は、建設工事の請負契約に関して生じたトラブルを、裁判によらずに簡易・迅速・妥当に解決することを目的とした機関です。建設業法の規定に基づいて、国土交通省と全国の各都道府県に設けられています。専門的な知識をもとに、当事者間の争いを調整する「裁判外紛争処理機関(ADR)」の一種です。
この機関では、あっせん・調停・仲裁という3つの手続きにより、工事代金の未払いや契約解除、工事の欠陥などをめぐるトラブルに対応しています。
今期の申請件数と全体的な動向
今期(令和7年度第4四半期)に新たに申請された件数は3件で、昨年同期と同じ水準でした。前期から持ち越されていた案件が25件あったため、今期の処理開始時点では合計28件が審査会に係属していたことになります。今期中に終了した件数は5件で、次の期に持ち越される件数は23件となっています。
・前期からの繰越件数:25件
・今期の新規申請件数:3件(昨年同期比 同数)
・今期の終了件数:5件
・次期への繰越件数:23件
手続き別の内訳
今期の申請3件はすべて「調停」による手続きでした。あっせんや仲裁の新規申請はありませんでした。手続き別の件数は以下のとおりです。
あっせん:前期繰越3件/今期申請0件/今期終了2件/次期繰越1件
調停 :前期繰越15件/今期申請3件/今期終了3件/次期繰越15件
仲裁 :前期繰越7件/今期申請0件/今期終了0件/次期繰越7件
合計 :前期繰越25件/今期申請3件/今期終了5件/次期繰越23件
終了した5件の内訳を見ると、調停成立が1件、打切り・その他が計2件(あっせん・調停各1件)、取下げが計2件(あっせん・調停各1件)となっています。仲裁については仲裁判断・和解ともに今期は0件でした。
申請の内訳:当事者の種類と紛争の内容
今期申請された3件すべてが、「下請負人」が「元請負人」を相手取った申請でした。発注者と請負人の間の紛争は今期はゼロで、いわゆる下請けと元請けの間でのトラブルが全件を占めています。工事の種類としては、建築工事が1件、土木工事が1件、設備工事が1件となっています。
・契約解除に関する争い:2件(最多)
・下請代金に関する争い:1件
・工事瑕疵・工事遅延・工事代金・その他:各0件
今期の紛争類型として最も多かったのは「契約解除」をめぐる争いで2件、次いで「下請代金」に関するものが1件でした。工事の欠陥(瑕疵)や工事遅延に関する申請は今期はありませんでした。
四半期ごとの公表義務について
中央建設工事紛争審査会は、建設業法第25条の25および同法施行規則第15条の規定に基づき、国土交通大臣に対して四半期ごとに紛争処理の状況を報告することが義務付けられています。この報告に合わせて、一般の人々にも広く活動状況が公表されています。
建設工事をめぐるトラブルは、金額が大きく専門的な内容を含むことが多く、裁判に持ち込まれると時間も費用も膨大になりがちです。こうした機関の存在が、当事者にとっての現実的な解決手段として機能しているといえます。
出典情報
国土交通省リリース,中央建設工事紛争審査会紛争処理状況(令和7年(2025年)度第4四半期),https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001996219.pdf