【首都圏】内装仕上げ工事業、「適正工期への見直しの動き実感せず」と6割が回答|ビルドアップニュース調べ
BuildAppで建設DXに取り組む野原グループ株式会社は、「建設DXで、社会を変えていく」情報メディア「BuildApp News(ビルドアップニュース)」が首都圏の内装仕上げ工事業従事者を対象に2024年5・6月に実施した「【建設の2024年問題】内装仕上げ工事業の実態調査(非住宅分野)」の結果を発表します。
内装仕上げ工事業の実態調査(非住宅分野)の結果からは、首都圏においては、適正工期確保に向けた全体工期見直しの動きは鈍く、5割強が労務費の引き上げ交渉を実施できていないことから、処遇改善への道は遠い状況であることが分かりました。
野原グループは、今こそ、建設工事を支える専門工事企業、建設現場(施工)の取りまとめを担う建設工事の元請企業(主にはゼネコン)の「現場監督・所長(現場代理人)」が一体となって施工現場の生産性向上を実現していく必要があると考えます。そのためにはデジタル活用・建設DXが不可欠であり、野原グループはBuildApp事業で、施工プロセスの生産性向上に寄与し続けてまいります。
目次
調査実施概要 (調査元:BuildApp News 編集部)
- 調査期間:2024年5月28日、6月2日
- 調査対象者:野原装栄会・神奈川野原装栄会の正会員(内装仕上げ工事企業)
- 回答数:139名
- 調査方法:WEBまたは調査票配布 (野原グループ株式会社)
- 調査地域:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、長野県、山梨県
調査実施の背景
1.内装仕上げ工事は、木材、石膏ボード、壁紙、たたみ、カーペット、ふすまなどを用いて建築物の内装仕上を行う専門工事 で、建設工事の工期の終盤に実施されます。そのため、建設工事全体の工期遅れが発生した場合には、従来、内装仕上げ工事などの工期終盤の専門工事で突貫工事(多くの現場作業員によって短期間で工事を終わらせること)を行い、どうにか全体工期を順守してきたと言われています。
2.建設産業を巡っては、国会では6月に「第3次担い手3法」が可決成立しています 。今後は、ますます「働き方改革(適正工期)」「処遇改善(労務費)」生産性向上」が「持続可能な建設産業の在り方」にとってのキーワードとなりつつあります。また、2024年4月から時間外労働の上限規制厳格化(建設の「2024年問題」 )が建設産業にも適用され約3ヶ月が経過しました。
3.「BuildApp News(ビルドアップニュース)」が3月に発表した「現場監督・所長307名の実態調査」の結果からも、現場監督・所長(現場代理人)の4割が「適正工期の見直しは難しいため、働き方はかえって厳しくなる」と回答しています。
【首都圏】内装仕上げ工事業の従事者139名(非住宅)の実態調査|結果要点
1.【適正工期】
内装仕上げ工事業の従事者139名に「全体工期の見直しの動きを実際に感じていますか?」と尋ねたところ、「はい」と回答したのは36.0%、「いいえ」が64.0%だった。
<地域別>
地域別に「全体工期の見直しの動きを実際に感じている」との回答率(「はい」との回答率)をみると、2024年4月度着工建築物床面積(非居住用)が2023年4月と比べて増加傾向にある都道府県 のうち千葉県(66.7%)、東京都(37.7%)、新潟県(100%)、長野県(50%)では、全体(36%)よりも上振れしていた。
2.【適正工期と内装仕上げ工事】
内装仕上げ工事業の従事者139名に「全体工期の適正化に連動して、内装工事の工期の見直しの動きを感じていますか?」と尋ねたところ、「はい」と回答したのは28.0%、「いいえ」が72.0%だった。
この結果は、建築工事が各種専門工事から成り立っていることに由来する工期管理の難しさを示唆している。特に、内装仕上げ工事などの工期終盤の専門工事の工期適正化を実現するには一定の時間を要するのではないかと推察できる。
3.【処遇改善(労務費)】
内装仕上げ工事業の従事者139名に「労務費・労務単価の引き上げを元請け(工事発注会社)に交渉できていますか?」尋ねたところ、「はい」と回答したのは47.0%、「いいえ」が53.0%だった。
<会社規模(従業員数)別>
会社規模(従業員数)別に「労務費・労務単価の引き上げを元請け(工事発注会社)に交渉できている」との回答率(「はい」との回答率)みてみると、1~4人(n:23)で43.5%、5~50人(n:100)で46.0%、51~300人(n:13)で53.8%、301人以上(n:3)で66.7%、と、会社規模が大きいほど「労務費・労務単価の引き上げ交渉」ができていることが分かる。
<労務費・労務単価の引き上げ交渉ができていない理由(複数回答)>
「労務費・労務単価の引き上げを元請け(工事発注会社)に交渉できていない」と回答した74名に、交渉できていない理由を尋ねたところ(複数回答)、最多は「材料費と異なり労務費は見えない事が多く交渉が難しいから (30.0%)」、次いで「元請けと下請けの関係から労務費の交渉は難しいから(23.0%)」、「その他(7%)」との結果となった。
4.【生産性】
内装仕上げ工事業の従事者139名に「元請け(工事発注会社)から、“生産性を向上してほしい”との要請はありますか?」と尋ねたところ、「はい」と回答したのは50.4%、「いいえ」が49.6%だった。
<地域別>
地域別に「元請け(工事発注会社)から、“生産性を向上してほしい”との要請がある」との回答率(「はい」との回答率)をみると、2024年4月度着工建築物床面積(非居住用)が2023年4月と比べて増加傾向にある都道府県のうち千葉県(66.7%)、東京都(56.5%)、新潟県(100%)が、全体(50.4%)よりも上振れしていた。
※調査結果の詳細は、別紙をご参照ください。
野原装栄会について
野原装栄会は、野原グループ株式会社建材カンパニーが事務局を務め、約660社の優良な内装工事会社様と建材メーカー様を会員として全国8ヶ所の地区で活動を展開しています。業界に関係する様々な情報の交換と、良質な内装仕上工事の提供を目指し、各種の研修会や講演会を通じて業界の地位向上に努めています。
【WEB】https://nohara-inc.co.jp/company/group/soueikai/