【独自調査】建設2024年問題への意識調査を実施|現場は働き方改革で時間給・日給の低下を危惧

BuildAppで建設DXに取り組む野原グループ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:野原弘輔)は、「建設DXで、社会を変えていく」情報メディア「BuildApp News(ビルドアップニュース)」が2024年1月に実施した「建設業界従事者1,000人への独自調査」から、「建設2024年問題の捉え方」(*)に関する結果を発表します。

2024年4月から、時間外労働の上限規制厳格化(建設の「2024年問題」 )が建設産業にも適用されます。長年、人手不足と生産性向上に課題を抱える建設産業において、建設の「2024年問題」が意味するものは何か。

結果からは、建設の「2024年問題」で人手不足や働き方等の改善を楽観視する傾向は少なく、「適正工期の見直しは難しいため、働き方はかえって厳しくなる(34.3%)」や、建設現場での施工関連業務の従事者(施工管理、施工、専門工事)では「時間給・日給が減ることになるためむしろ困る(27.6%)」との懸念が伺えました。

同時に、「人手不足と採用の改善」に期待するのは6.9%であるにもかかわらず、「建設2024年問題」の対策として若手の採用を重視する傾向が強く、さらに「デジタル化による生産性向上」は進んでいない実態が分かりました。

野原グループは、今後の労働人口不足 が確実と言われ「人手不足」「採用」の改善が厳しいなか、これまでのように「人」に頼りすぎるのではなく、デジタル化による「建設産業の工業化」「省人化」による生産性向上に着目し、その基盤環境としてのBuildApp事業を強化し、建設産業のDX化を通じた働き方の改善、新たな魅力の創出を目指します。

(*)建設業界従事者1,000人への独自調査の結果は、今後「現場の痛み」「デジタルツールに対する意識」について発表予定です。建設業界全体が、今後どのように「働き方」「工期」「品質」「給与」を考え行動していけばよいのかを考察します。


調査実施概要 (調査元:BuildApp News 編集部)

調査期間:2024年1月15日~1月22日回答数:1,000人
調査対象者:全国の建設業界従事者(20~70代)調査方法:インターネット調査(ゼネラルリサーチ株式会社)

建設業界従事者への独自調査(結果総評)|建設2024年問題の捉え方、意味合いとは?

1.【建設2024年問題の認知】「聞いたことがない・知らない」と回答したのは全体の15.7%で、「建設2024年問題」は一定の認知がされていると言える

2.【建設2024年問題で悪化すると思うこと(複数回答)】全体の1位は「適正工期の見直しは難しいため、働き方はかえって厳しくなる(34.3%)」、2位「ますます若手入社希望者が減少する(28.0%)」、3位「臨時的な特別の事情がある場合がある限り、残業は減らず休暇も取れない(23.5%)」との結果となった。

1)「適正工期の見直しは難しいため、働き方はかえって厳しくなる」との懸念は、大手企業(33.6%)よりも中小企業(34.6%)が強く、経営層(28.9%)よりも管理職(36.7%)・一般職(35.1%)の方が強い。建設現場での施工関連業務の従事者(施工管理、施工、専門工事)では36.0%となり、現場に近いほどその傾向が強いことが分かった。

2)従事業務別では、建設現場での施工関連業務の従事者(施工管理、施工、専門工事)において1位、2位は全体と同じ項目がランクイン(比率はいずれも全体よりも多い)、3位「時間給・日給が減ることになるためむしろ困る(27.6%)」となった。

3.【建設2024年問題と人手不足・採用の今後】「人手不足と採用の改善」に期待するのは6.9%であるにもかかわらず、「建設2024年問題」の対策の最多は「若手の採用(40.1%)」で、「デジタル化による生産性向上(14.9%)」は進んでいないことが分かった。

トピックス

1.【建設2024年問題の認知】「聞いたことがない・知らない」と回答したのは全体の15.7%で、「建設2024年問題」は一定の認知がされていると言えるが、事業規模別では大手企業と中小企業で認知度に大きな差があることが分かった。

■建設2024年問題の認知

1-1.従事業務別にみると、施工、専門工事に従事する方の「建設2024年問題」の認知状況が芳しくないことが分かった。

2.【建設2024年問題で悪化すると思うこと(複数回答)】建設2024年問題を「詳しく把握している」または「聞いたことがあるが詳細まで把握していない」と回答した方(n:843)に「建設2024年問題で悪化すると思うこと(複数回答)」を尋ねたところ、企業規模に関わらず、1位は「適正工期の見直しは難しいため、働き方はかえって厳しくなる」であった。

2-1.大手企業では、全体・中小企業で3位に上がっていた「臨時的な特別の事情がある場合がある限り、残業は減らず休暇も取れない」に加えて、同率で「時間給・日給が減ることになるためむしろ困る(27.2%)」が3位にランクインしていることに注目したい。

全体(n:843)中小企業(n:578)大手企業(n:265)
1位適正工期の見直しは難しいため、働き方はかえって厳しくなる(34.3%)適正工期の見直しは難しいため、働き方はかえって厳しくなる(34.6%)適正工期の見直しは難しいため、働き方はかえって厳しくなる(33.6%)
2位ますます若手入社希望者が減少する(28.0%)ますます若手入社希望者が減少する(27.5%)ますます若手入社希望者が減少する(29.1%)
3位臨時的な特別の事情がある場合がある限り、残業は減らず休暇も取れない(23.5%)臨時的な特別の事情がある場合がある限り、残業は減らず休暇も取れない(21.8%)臨時的な特別の事情がある場合がある限り、残業は減らず休暇も取れない(27.2%)時間給・日給が減ることになるためむしろ困る(27.2%)
■建設2024年問題で悪化すると思うこと

2-2.「適正工期の見直しは難しいため、働き方はかえって厳しくなる」との懸念は、経営層(28.9%)よりも管理職(36.7%)・一般職(35.1%)の方が強く、建設現場での施工関連業務の従事者(施工管理、施工、専門工事)では36.0%との結果となった。

これらの結果から、労働時間管理(勤怠管理)や現場に携わる方ほど、工期順守と労働時間の両立の難しさに懸念を感じていることがうかがえる。

2-3.従事業務別では、建設現場での施工関連業務の従事者(施工管理、施工、専門工事)において1位、2位は全体と同じ項目がランクイン(比率はいずれも全体よりも多い)、3位「時間給・日給が減ることになるためむしろ困る(27.6%)」となった。

2-4.建設工事は、工事発注者と受注者間の契約工期内での建物完成が求めれられる請負契約である。そして、長い工期設定や工期延長は費用増の傾向となることなどから、これまでは労働時間の制約なしに、突貫工事によって「工期順守による建物完成(契約履行)」にこぎつけていた場合もあると言われている。

このような背景がある建設産業において、2024年4月からは、工期・費用・品質に加え「労働時間の順守」が求められる。これこそが、「時間外労働時間の上限規制」が「建設2024年問題」と言われる理由であり、対応の難しさが伺える。

3.【建設2024年問題で好転すると思うこと(複数回答)】建設2024年問題を「詳しく把握している」または「聞いたことがあるが詳細まで把握していない」と回答した方(n:843)に「建設2024年問題で好転すると思うこと(複数回答)」を尋ねたところ、次表の通りの結果となった。中小企業では、1位に「期待できることはないと感じる(31.8%)」が上がっている点に注目したい。

全体(n:843)中小企業(n:578)大手企業(n:265)
1位残業上限が設定されることで、残業が減り休暇が取りやすくなる(32.3%)期待できることはないと感じる(31.8%)残業上限が設定されることで、残業が減り休暇が取りやすくなる(39.2%)
2位期待できることはないと感じる(27.0%)残業上限が設定されることで、残業が減り休暇が取りやすくなる(29.1%)適正工期の見直しが進む(31.7%)
3位適正工期の見直しが進む(25.3%)適正工期の見直しが進む(22.3%)働き方改革で若手入社希望者が増え、人手不足が解消される(23.8%)

3-1.全体3位の「適正工期の見直しが進む(25.3%)」については、【建設2024年問題で悪化すると思うこと(複数回答)】の1位「適正工期の見直しは難しいため、働き方はかえって厳しくなる(34.3%)」との結果も踏まえると、建設2024年問題が「適正工期の見直し」に及ぼす影響については建設産業内での見方は二極化していると推察できる。

4.【建設2024年問題と人手不足・採用の今後】建設2024年問題の内容を「詳しく知っている」「聞いたことはあるが詳細までは把握していない」と回答した方(n:843)に、「建設2024年問題対応が始まることで、人手不足・人材採用の状況が変化すると思いますか」と尋ねたところ、「人手不足と採用の改善」に期待するのは6.9%と、1割にも満たない結果となった。

4-1.事業規模別にみても、中小・大手企業ともに「良くなっていくと思う」との回答は1割にも満たず、大手企業においては「悪くなっていくと思う(49.1%)」が5割近い結果となった。

4-2.人手不足が深刻と言われている、建設現場での施工関連業務の従事者(施工管理、施工、専門工事)に注目してみてみたところ、2024年問題による人手不足と採用状況が「悪くなっていくと思う(46.7%)」が全体のそれよりも割合が高い結果であった。

4-3.会社業種別に、「悪くなっていくと思う」との回答割合に注目したところ、現場に近い事業内容の会社(サブコン、工務店、専門工事店)ほど、その割合が多くなる傾向にあることが分かった。

また、展示会などのイベントに関わる空間ディスプレイ業界では、建設2024年問題対応が始まることで、人手不足・人材採用の状況が「悪くなっていくと思う」との回答割合が7割に上っている。

5.【人手不足への対策】「建設2024年問題に限らず、人手不足問題に対して所属している会社はどのような対策を講じていますか?(最大3つまで回答可)」と尋ねたところ、1位「若手の採用(32.6%)」、2位「対策は出来ていない(検討もされていない)(31.5%)」、3位「従業員の給与ベースアップ(20.7%)」となった。

5-1.結果を総じてみてみると、「人手不足対策」は「採用活動(78%)」が最多であり、「デジタル化(ICT導入・DX化の導入推進)による生産性の向上(14.9%)」は進んでいないことが分かる。

一方で、今後の労働人口不足が確実と言われ、前述の通り、【建設2024年問題と人手不足・採用の今後】について「人手不足と採用の改善」に期待するのは6.9%と1割にも満たない。

このことから、建設産業では、従来同様の「人」に頼りすぎる対策よりも、「デジタル化(ICT導入・DX化の導入推進)による生産性の向上」への移行が求められるのではないか。


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参考

  • 建設の「2024年問題」とは、建設業における時間外労働の上限規制の適用開始を指します。国の方針として、「働き方改革関連法」の施行により、法律で定められた上限を超える時間外労働はできなくなっていますが、建設業は、長時間労働の背景に、業務の特殊性や取引慣行の課題があることから、時間外労働の上限についての適用が5年間猶予されていました。その猶予期間が間もなく終わり、建設業は2024年4⽉から時間外労働の上限規制が適用されます。これにより、2024年4月以降、建設業では、災害時における復旧及び復興の事業を除き、時間外労働の上限規制が原則通りに適用されるため、建設の品質を維持したより一層の生産性向上が急務と言えます(上限規制の時間は月45時間、年360時間。違反した場合には、罰則として6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれあり)【参考】厚生労働省 働き方改革特設サイト  
  • 2030年の労働人口について、首相官邸の発表資料(2022/8/18付け)によれば、2030年時点で850万人超の労働力が不足すると推計されています。BIM(ビム)とは、国土交通省によれば、「Building Information Modelling」の略称で、コンピュータ上に作成した3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げ等、建築物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築することです。 
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、経済産業省の定義によれば「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」を指し、単なるデジタル活用とは区別されています。
  • サプライチェーンとは、商品や製品が消費者の手元に届くまでの、調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連の流れのことをいいます。

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