2025大阪万博|建設業注目のパビリオンは?
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「万博」についてピックアップします。2025年の大阪万博では、多くのパビリオンが出展予定です。本記事では建築設計の視点から、特に注目したいパビリオンについてご紹介していきます。SDGsやスマートハウスといった新時代の取組に注目してみましょう。
2025大阪万博とは
2025年に大阪万博が開催されます。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、150の国と25の国際機関をはじめ、企業やNGO/NPO、市民団体等が参加する予定です。
会場はベイエリアの人工島「夢洲」で、大阪駅や関西国際空港とのアクセスが充実しています。それだけでなく、ARやVRといった最新技術を活用した「バーチャル万博」も実施予定です。
大阪万博の基本計画には、以下5つの特徴があります。
- ①海と空を感じられる会場
- ②世界中の「いのち輝く未来」が集う万博
- ③未来の技術と社会システムが見える万博
- ④本格的なエンターテインメントを楽しめる万博
- ⑤快適、安全安心、持続可能性に取り組む万博
万博コンセプトである「People’s Living Lab(未来社会の実験場)」に基づき、次世代技術が体感できます。具体的にはカーボンニュートラル、デジタル技術、次世代モビリティなど、未来社会ショーケース事業が行われる予定です。
万博をやる意味って?
万博は「万国博覧会」の略称で、第1回は1851年のロンドン万博でした。国力誇示や最新技術の展示が目的とされ、パリのエッフェル塔は万博のシンボルとして造られたという歴史があります。
しかし近年は、インターネットの普及で最新情報がすぐ手に入るので「万博の意味が薄れてきている」という声もあります。実際に万博には多くの費用が掛かり、環境への負荷も大きいことから「万博をやる意味は?」という意見もあるでしょう。
そんな中、2025大阪万博は以下を目標・意義として掲げています。
- 持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献
- 日本の国家戦略Society5.0の実現
- 2兆円の経済効果
2030年のSDGs達成目標に向け、取り組みを加速するプラットフォームとしての役割が期待されています。またサイバー空間とフィジカル空間を融合させた「Society 5.0」 により、経済発展と社会的課題の解決を両立することを目指します。万博により「約2兆円の経済効果」が見込まれ、地域経済の活性化に繋がることも大きな目的の一つです。
万博パビリオンとは|注目の建築設計
大阪万博では、各国や企業ごとに「パビリオン」が設けられます。パビリオンとは仮設的な展示館のことで、会期終了後には撤去されることが多いです。デザイン性やエンターテインメント性が高く、展示内容はもちろんのこと建築自体も注目されます。
ここでは、特に注目したいパビリオン設計の事例をご紹介していきます。
①隈研吾|茅葺きの循環型建築
隈研吾氏が手掛けるパビリオン「EARTH MART」は、地球環境や飢餓問題がテーマです。「いのちをつむぐ」というテーマに則り、食文化の可能性とテクノロジーによる食の最先端を提示します。
建物には丸太や茅葺き屋根など「転用可能な素材」を用い、循環型建築を実現します。「木材の多用や周辺環境との調和」といった点は、隈氏が手掛けた東京オリンピックスタジアムとも共通する部分があります。
②SANAA|不定形の大屋根
妹島和世氏と西沢立衛氏による建築家ユニット・SANAA(サナア)は、「Co-being」の設計を手掛けます。
中央広場である「静けさの森」に近いという立地を生かし、環境に溶け込むような「不定形の大屋根建築」が計画されています。霧・雨・光のインスタレーションが想定されており、まるで森の中にいるような雰囲気が体感できると考えられます。
「金沢21世紀美術館」に代表されるように、SANAAの建築は曲線やガラスを多用したデザインが特徴です。今回のパビリオンでも、開放的で環境に調和する建築が期待されます。
③坂茂|カーボンファイバー建築
坂茂氏は、特定非営利活動法人ゼリ・ジャパンによるパビリオン「BLUE OCEAN」を設計します。同法人は2001年設立のNPOで、環境保全活動の啓発を通じて循環型産業システムを構築することを目的としています。パビリオンは「海の蘇生」がテーマで、海洋汚染防止や海の持続的な活用についての展示を行います。
坂氏は「紙の建築」で有名ですが、今回のパビリオンでは「カーボンファイバー」を使った世界初の建築に挑みます。さらに展示コンテンツは、無印良品等のアートディレクションで有名な原研哉氏が手掛ける予定です。建築やデザインに興味のある方は、必見のパビリオンになるでしょう。
③藤本壮介|会場シンボル「大屋根(リング)」
大阪万博では、会場全体の主動線として円環状の「大屋根(リング)」が配置されます。建築家の藤本壮介氏による設計で、「建築面積約60,000㎡、高さ12m(外側は20m)、内径約615m」という世界最大級の木造建築物です。リングの下を雨風や日差しを避けながら通行できるほか、屋上に上ることも可能です。
施工は大手ゼネコンの大林組が担っており、2023年5月時点で試験施工を終えています。7月頃には組み上げが始まり、会期終了後は解体され木材がリユースされる予定です。
建築・住宅関連の民間パビリオン
ここでは、建築・住宅関連の主な展示内容をご紹介します。
①スマートハウス|飯田グループ
大手不動産の飯田グループホールディングスは、大阪公立大学と共同でパビリオンを出展します。テーマは「ただいま/TADAIMA」で、街・家の役割についてメッセージを届けます。
具体的には「ウェルネス・スマートハウス」、「人工光合成技術・水素エネルギー利用研究」といった展示が予定されています。
②木材活用|住友グループ
住友グループは、森・自然をテーマにしたパビリオンを出展予定です。リアルとデジタルを駆使した「ここにしかない森での体験」を提供します。
建物には住友グループが全国に保有する森の「木材を全面的に活用する」など、自然環境にも配慮されています。
まとめ|2025大阪万博に期待
大阪万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」実現のため、建築に関してもSDGsが考慮されたものが目立ちます。また新型コロナウイルスの影響が少なくなったことにより、国内外からの多くの来場が予想されるでしょう。ICTを使った最新技術の活用にも注目です。