フルハーネスの着用義務化とは|基礎知識と建設DXの関わりを解説

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著者:碧海

トレンドワード:フルハーネスの着用義務化

「フルハーネスの着用義務化」についてピックアップします。建設業界は、デジタル技術の進化と建設デジタルトランスフォーメーション(DX)の台頭により、大きな変革期を迎えています。この変革の中で、フルハーネスの着用義務化が重要なトピックとして浮上しています。本記事では、フルハーネスの着用義務化と建設DXの関連性について解説します。

フルハーネスの着用義務化とは

義務化の背景

フルハーネスは、建設現場や高所作業などで作業員の安全を確保するための重要な装備です。過去においてはフルハーネスの着用が不十分であり、落下事故や労働災害が多発していました。こうした事故は作業員の安全性を脅かすだけでなく、プロジェクトの遅延などの問題を引き起こす可能性もあります。

そういった背景から、墜落・転落事故による死傷者、さらには墜落・転落事故そのものを減らすために、それまでの「安全帯」から、フルハーネス型の「墜落制止用器具」の使用が義務化され、2022年1月1日までの猶予期間を経て、1月2日より施行されました。

建設業等の高所作業において使用される胴ベルト型安全帯は、墜落時に内臓の損傷や胸部等の圧迫による危険性が指摘されており、国内でも胴ベルト型の使用に関わる災害が確認されています。

また、国際規格等では、着用者の身体を肩、腰部、腿などの複数箇所で保持するフルハーネス型安全帯が採用されています。

このため、厚生労働省では、現行の安全帯の規制のあり方について検討を行う専門家検討会を開催し、その結果※を踏まえ、安全帯の名称を「墜落制止用器具」に改め、その名称・範囲と性能要件を見直すとともに、特別教育を新設し、墜落による労働災害防止のための措置を強化しました。

また、墜落制止用器具の安全な使用のためのガイドラインも策定しています。
なお、墜落制止用器具の構造規格については、2019(平成31)年1月25日に告示されました。

※ 墜落制止用の個人用保護具に関する規制のあり方に関する検討会報告書(平成29年6月13日・厚生労働省取りまとめ)

   出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000473567.pdf

建設DXとの関連性

建設DXは、デジタル技術を駆使して建設プロセスの効率化、品質向上、リアルタイムデータの活用、持続可能性の強化などを実現する取り組みです。そして、フルハーネスの義務化と建設DXは以下の点で関係し合っています。

IoTセンサーとデータ収集

フルハーネスにはセンサーが組み込まれ、作業員の位置や動き、体調などのデータをリアルタイムで収集します。これらのデータは建設DXの一環としてクラウドにアップロードされ、監視や分析が行われます。万一、落下事故や異常が検出された場合、自動的に警告が発せられ、即座の対応が可能になります。

予測保守と安全性向上

データ分析によって、フルハーネスの状態や耐用年数を予測することができます。これにより、適切なタイミングでフルハーネスの交換やメンテナンスを行い、安全性を確保することができます。

バーチャルトレーニングとシミュレーション

バーチャルリアルリティ(VR)やシミュレーション技術を活用して、作業員にフルハーネスの正しい着用方法をトレーニングします。これにより、新入りや経験の浅い作業員も安全に高所作業を行うスキルを身につけることができます。

まとめ | 建設プロセスの質の向上に

フルハーネスの着用義務化と建設DXは、建設業界において安全性、効率性、品質の向上を追求するために密接に結びついています。デジタル技術の活用により、フルハーネスの着用を強化し、事故の予防と作業員の安全を確保する一方で、建設プロセス全体を効率化し、質の向上を目指すことができます。

今後、この両者の関わりは、建設業界における持続可能な発展に不可欠な要素として重要性を増すことでしょう。