点群データで簡単に3Dモデル化|DX活用事例紹介

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Tag:建設DX

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点群データ」についてピックアップします。ドローン等を使って土地や建物の形状を計測することで、3Dモデル化が手軽にできるようになりました。本記事では、点群データの仕組みや活用事例についてご紹介していきます。

国産BIM・GLOOBEが「点群アシスト」機能を新搭載

https://archi.fukuicompu.co.jp/products/gloobe/index.html

2023年3月8日、国産BIM・GLOOBEが新たに「点群アシスト」を搭載して発売されます。これにより、3DレーザースキャナーやLiDAR(ライダー)などから取り込んだ3D点群データの加工・編集・合成ができるようになります。

またGLOOBE Architect/Constructionとシームレスに連携することで、新築や増改築などに合わせた3D点群データとBIMのハイブリッド活用も可能です。そこで本記事では「そもそも点群データとは?」といった疑問や、具体的な活用事例についてご紹介していきます。

点群データとは

点群データとは、「位置情報(X,Y,Z)と色情報(R,G,B)を持った点の集合データ」のことを指します。地形や物体などを「大量の点の集合体データ」として表現することで、土木から製造まであらゆる分野で応用できるのが特徴です。

主にレーザースキャナーを用いてデータを取得できるため、従来の実地測量と比べてスピーディーで正確な値となります。

点群データのメリット

点群データのメリットとしては、下記が挙げられます。

  • 業務効率の改善
  • 図面が無くても3Dモデル化できる
  • 2Dの図面化も可能

点群データの活用で、業務のスピーディー化が実現します。たとえば従来の測量では、現場で「三脚や測量機器」を使って敷地面積や高低差を算出していました。しかし点群データではドローンで計測するため、作業時間が「2日から0.5日」に短縮されたという報告があります。

また古いインフラ設備や工場設備など、「3D図面が存在しないもの」に対しても、点群データならモデル化が可能になります。さらに3Dから2Dの平面図や断面図を切り出すことも簡単なので、設計や維持管理に応用できる点もメリットです。

点群データのデメリット

一方で、点群データのデメリットには下記が挙げられます。

  • 粗さがあり完全な曲線には不向き
  • データ変換の必要がある
  • 広範囲データはノイズ除去が面倒
  • 導入コストが掛かる

「点の集合体」である点群データは複雑な形状も表現可能ですが、完全な曲線など精緻さを求められる場合には不向きです。また3Dスキャンしたデータは、そのままでは使えません。3DCADで活用するために、メッシュデータに変換する必要があります。

さらにドローンで撮影した地形情報等には、草木や自動車といった「ノイズ」も含まれています。ノイズ除去はある程度手作業で行わなければならないため、手間が掛かってしまう点もデメリットでしょう。

点群データの取得方法

ここでは、点群データを取得する際の一般的な手順をご紹介します。

①レーザースキャナで計測

https://www.mlit.go.jp/common/001274268.pdf

まずは、レーザースキャナで対象物を計測します。代表的なデータ取得方法は以下の通りで、どれを選ぶかは規模や状況によって変わります。

  • ドローンによる航空測量(UAV:Unmanned aerial vehicle)
  • 地上設置型レーザースキャナ
  • 車両搭載型(MMS:モービルマッピング・システム)

一般的には大規模な土木工事にはドローンが使われ、道路や街並みの測量には地上設置型や車両搭載型が活用されることが多いです。「ドローン」について詳しくは、下記記事をご覧ください。

②ノイズを除去

3Dスキャナでは対象物以外のものも一緒に取り込んでしまうため、ノイズの除去作業が必要になります。ツールによっては自動で除去してくれるタイプもありますが、最終的には人の目で確認する必要があるでしょう。

具体的な作業としては、「ソフトウェアで不要な部分を選択・削除する」という工程になります。

③複数の点群データを合成

点群データは、あらゆる角度から撮影したデータを組み合わせて生成されます。ある程度ツールが自動合成を行ってくれるので負担は少ないものの、精度を高めるための「位置合わせ」の作業は重要です。

④データを変換

取得したデータは、「位置情報(X,Y,Z)と色情報(R,G,B)のみ」の状態です。使える状態にするために、専用ソフトにデータを取り込み「3Dモデルやメッシュデータ」へと変換を行います。

点群データの活用事例

ここでは、土木・建築分野における点群データの具体的な活用事例をご紹介していきます。

土木|バーチャル静岡(VIRTUAL SHIZUOKA)

2020年に、静岡県が富士山南東部・伊豆東部エリアのデータを「VIRTUAL SHIZUOKA」として無料公開したことが話題になりました。

航空レーザー測量やMMS(モービルマッピングシステム)を用いて伊豆半島を計測した高精度の点群データは、15テラバイトにも及びます。建設プロジェクトでの利用だけでなく、静岡でのサイクリングや釣り、ハザードマップなどにも活用できる仕様になっています。

このデータは「G空間情報センター」のサイトから誰でも取得可能です。「G空間」について詳しくは、下記記事をご覧ください。

建築|既存建物のBIMデータを作成

建築分野においては、国土交通省「建築BIM加速化事業」を実施するなどBIMの導入が広がっています。そんな中、最近では「点群データからBIMを作成する」という手法が注目されています。

従来まで既存建物をBIMデータ化する際には、図面との照合や現地調査など莫大な手間が掛かっていました。しかし上図に挙げた三谷産業とUR都市機構の共同研究では、点群データの活用で「精度が高くスピーディー」になることを実証しています。今後研究が進めば、建物維持管理の大幅な効率化が期待できるでしょう。

ちなみに「建築BIM加速化事業」では、BIM導入費用に補助金が交付されます。詳しくは下記記事をご覧ください。

文化|デジタルアーカイブ

点群データは、文化的資産の「デジタルアーカイブ」も可能にします。歴史的建築物は図面が残っていないことも多く、万が一のことが起きれば永遠に消失してしまう危険性があります。

しかし3Dスキャンしておけば正確な形状が記録でき、デジタル空間にいつまでも残せるのです。上図に挙げた「大阪ガスビル」は国の登録有形文化財ということもあり、2021年に点群データ化されました。

さらに2022年には、バーチャル空間にビルを再現したメタバースも構築されました。これにはレーザースキャナで取得した点群データが活用されており、御堂筋一帯が表現されています。

今後はメタバース空間でのイベント開催など、ビジネス展開も視野に取り組まれる予定となっています。

まとめ|点群データ活用でDX化推進

点群データは従来の測量作業に比べて計測が簡単で、スピーディーかつ高精度な点が魅力です。BIMとの連携も進められており、土木や建築分野で活用が広がれば大幅な業務効率化が期待できるでしょう。

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