ワンストップBIMサービスの老舗ベンダーとしての応用技術の最新動向|深堀り取材【毎月更新】

建築BIM加速化事業にともない、BIMやDX化への注目および実施速度が本格化しています。第14回は、ワンストップBIMサービスを提供している老舗のベンダー、応用技術の最新動向について解説します。

老舗ベンダーによるワンストップBIMサービスの提供と最新動向

本稿では、「BIMを創る」「BIMを繋ぐ」「BIMを使う」というコンセプトを掲げ、人と技術の融合によるワンストップBIMサービスを提供している老舗のベンダー、応用技術の最新動向を報告する。

ファミリの検索・配置を可能にするアドインツール「ファミリエクスプローラー」を提供

応用技術では、BIMソフト「Revit」におけるモデリングに必要な部品データ「ファミリ」を検索・配置可能にするアドインツール「ファミリエクスプローラー」を提供している。「ファミリエクスプローラー」は、Revitの全ユーザーがAutodesk App Store※1から無料でダウンロードして利用できる。Revitの対応バージョンは、Autodesk Revit 2021~Autodesk Revit 2024で、ダウンロードにはAutodesk アカウントでのサインインが必要となる。

「ファミリエクスプローラー」は、Revitにおけるモデリングに必要な部品データであるファミリをクラウドサーバー上から検索・配置を可能にするツールだ。このツールを用いることで全てのRevitユーザーが同一品質のファミリを取得して作業を行うことができ、合わせて各部材メーカーが提供するファミリの標準化や一元管理も可能となり、BIMモデリングの効率化と建設業全体のBIM普及を促進する。

※1: https://apps.autodesk.com/ja

「ファミリエクスプローラー」の全体概要

一覧表示したファミリから目的のファミリを検索+モデリングとのシームレスな環境構築

 BIMソフトの普及が進む中で、Revitは、BIMモデルの強力なオーサリングツールであり、BIM構築の重要なインフラとして位置付けられるようになっている。一方で、モデリングに必要なファミリが不足しており、それら不足を補う活動も散見できるが、ファミリの作成は負担が大きく、作成されたファミリを配布する手段も課題となっていた。加えてファミリの作成と配布が個別に行われることから仕様の異なるファミリが流通するという二次的な問題も発生し、ファミリを入手する際も複数の配布サイトから探す必要があるなど作業負担も大きい。

それらの問題を包括的に解決するために「ファミリエクスプローラー」を無償配布する運びとなった。Revitのアドインコマンドとして動作する「ファミリエクスプローラー」には、無償で利用できるファミリが多数掲載されており、それらファミリは「BLCJ※2」「Japan Revit User Group※3」「設備BIM研究連絡会※4」の仕様に準拠している。そのためファミリの作成時には、それらの仕様に準拠すればよく、個別の作成に対応する負担から解放される。具体的にRevitユーザーは、一覧表示されるファミリから目的のファミリを容易に検索することができ、ファミリ入手とモデリングがシームレスな環境となる。

 当初は、Japan Revit User Group 2.0の設備機器のファミリから提供を開始するが、順次、「ファミリエクスプローラー」の展開に賛同するメーカーなどのファミリ掲載を行っていく。「ファミリエクスプローラー」へのファミリの掲載を希望するメーカーからの相談も受けつけている。

※2:BLCJ=BIMライブラリ技術研究組合の略でBIMオブジェクトの標準化、BIMライブラリの構築・運用を目指す団体。
※3:Japan Revit User Group=Revitのユーザーが自ら運営するユーザー会。
※4:設備BIM研究連絡会=設備BIMの標準化と普及・推進を目的とした建築設備会社の団体。

BIMモデルを活用して建設施工現場での数量算出の効率化を図るクラウドサービスを提供

 応用技術では、直近の1月17日にAutodesk Docs環境に登録されたBIMモデルから仮設部材と躯体体積の拾い出しなどをサポートする 「ConnecT.one QS」を Autodesk App Storeで公開している。

 「ConnecT.one QS」は、BIMモデルを活用し、建設施工現場における数量算出の効率化を図ることができるNon-BIM user向けクラウドサービスだ。オートデスク社のクラウド製品群であるAutodesk Construction Cloud(ACC)※5の「Autodesk Docs」と連携しており、Autodesk Platform Services※6を利用して開発している。

 施工現場においては、「BIMのモデリングソフトを利用できる担当者がいない」「BIMモデルを施工工程で活用できない」などの課題が顕著だ。それら課題に対して「ConnecT.one QS」は、「BIMモデリングソフトの起動が不要」で「施工工程でBIMモデルを活用する」環境を提供することでBIMデータの利活用を促進する。

※5:Autodesk Construction Cloud=施工のあらゆる段階でワークフロー、チーム、データを連携させ、リスクの軽減、効率の最大化、利益の向上を実現するためにオートデスク社が提供している製品群の総称。
※6:Autodesk Platform Services=ACCを含むオートデスク社のクラウドサービスを活用するためのユーザー向けサービス。

ConnecT.one QS操作画面イメージ