【連載】「なぜ日本のBIMはだめなのか」講演再録:BIM標準の違いを解決するヒントとは(第四回)

連載企画「なぜ日本のBIMはだめなのか?」では、BIMプロセスイノベーション 伊藤久晴氏の建設DX展BuildAppブースでの講演を再録します。

BIMエバンジェリストとして多数の実績を誇る同氏の日本のBIMの歩みについてや課題について、そしてあるべき姿など、BIMを活用する上で大変示唆に富む内容となっています。

第4回ではテーマの「NOHARAの課題であるBIM標準の違い」について、解決方法も踏まえ説明していきます。

他の連載記事はこちら

第1回連載はこちら:「なぜ日本のBIMはだめなのか」講演再録:日本のBIMの現状とは?(第一回)
第2回連載はこちら:「なぜ日本のBIMはだめなのか」講演再録:日本のBIMの課題とこれから(第二回)
第3回連載はこちら:「なぜ日本のBIMはだめなのか」講演再録:NOHARAのBIMとは(第三回)
第5回連載はこちら:「なぜ日本のBIMはだめなのか」講演再録:日本の建設業の未来はどうなる?(第五回)

課題“BIM標準の違い”へのヒント

応用技術さんが出されているBoot.oneという規格があります。
NOHARAさんはBoot.oneとの連携を今まさに考えようとされているというところをお話しようと思います。

BIMとの繋がりを考える

NOHARAさんの実施設計モデルをチェンジする時に、Boot.oneのデータが来るならば、Boot.oneの規格によってできているのでその対応の作業、処理は非常に楽になると考えてください。相手がわかると、対応もしやすくなるのです。

そして一番のポイントは、NOHARAさん側としては楽になるというだけではなくて、実施設計のモデルの調整自体がなくなるかもしれないのです。

そのまま施工図のモデルを作るというプロセスになれば、ここのプロセスがまるっきりなくなるわけですから、プロセスで考えてみると非常に大きなことです。こういうふうな変化が起きてこないと、本当に短い期間で多くの仕事をきちんとやり遂げるというのはできないのではないかというのが、私の1つのアドバイスするポイントであったりします。

Build AppとBoot.oneの連携

先日Boot.oneとBuild Appの連携の話がされていましたけれども、建具ローダーという建具を作り出す仕組みが、今年進化しています。その進化した建具ローダーに、今度はBuild Appが追従することで、その進化ができているということなのです。

それを見ていただきたいのですけれども、左側の黒い線の所がBoot.oneの新ドアローダーによる形状です。

これは施工図程度ということなので、施工図で必要な情報がこの形状として書かれていればいいという内容になるわけです。赤い線の所ですが、例えばドアの枠の形状やガラスの厚みやパネルの厚みなど、そういう所は施工図で必ずしも必要ではないとされるところだと思います。

ただ、いろいろ意見があるかもしれませんが、中にどんな部材があるのかわからないと数量も出せないですし、それぞれの部材を製作することもできないから、製造のためには必要なのです。
これが、詳細部の変化というものなのです。これをどのように変化させるのかという非常に高度なことを、NOHARAさんはしているということになるわけです。

この詳細度を変化していくとことができていけば、モデルの作成というところが設計・施工や製造につながるという1つのヒントになるのではないかなと思います。
それが現実的にどこまでできているのかということについては、ここで皆さんに聞いていただければなと思っているところでございます。

先程も言いましたけれども、これをするためには皆さんが何も変わらないで、こういった技術をすぐに受け取って最高の成果を出すわけにはいかないので、やはり皆さんも変わってください。
共通の基盤を作り、それからモデルを中心としたプロセスを作るというふうになったときに、これの良さがもっと出てくると考えていただければなと思います。

まとめ

今回は、BuildAppの課題がどう解決されるか、だけではなく、業界が変わり共通の技術基盤が必要になっていくということがわかりました。

いよいよ次回が最終回です。
次回は日本の建設業のみらいのために、すべきことはなにか、解説します。