3Dレーザースキャナとは?BIMへの活用例も紹介
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トレンドワード:3Dレーザースキャナ
『BIMデータの効率的な作成方法を検証する共同研究実施|三谷産業とUR都市機構』でご紹介した「3Dレーザースキャナ」についてピックアップします。
3Dレーザースキャナとは
3Dレーザースキャナとは、放射状に照射したレーザーにより3次元座標データを取得する計測機器のことを指します。高密度で精度の高い「点群データ」が得られるため、建築の世界ではBIMデータへの応用が進んでいます。
3Dレーザースキャナのメリット・欠点は?
3Dレーザースキャナの主なメリットは、以下となります。
- さまざまな対象物の3D解析が可能。
- 非接触で安全にデータ収集ができる。
- 複雑な建物でも計測できる。
高密度な点群データにより、建物や土地など幅広い対象物の3次元データが得られるのが大きなメリットです。また計測距離は50~300mと広範囲になっており、非接触でデータ計測ができます。これにより立ち入るには危険な山奥などのデータも、安全に計測可能に。
一方で3Dレーザースキャナにはデメリットや欠点もあります。
- 3Dデータの処理や加工に時間が掛かる。
- 対象物によっては計測できない場合も。
- 障害物を事前に取り除く必要がある。
3Dレーザースキャナでは、取得したデータの処理に手間が掛かってしまい、データを扱える技術者も必要になってしまいます。
また計測したい建物の面が天候により濡れていたり、反射鏡度が高かったりする場合にはデータ取得が難しいという欠点も。点群データにするには植栽などの障害物を事前に取り除く必要があるため、準備に手間が掛かってしまいます。
3Dレーザースキャナの原理
3Dレーザースキャナでは、レーザーの反射時間から求められる「計測対象までの距離」、「照射角度」により「座標値」を求めるという原理が使われています。
座標値以外にも対象の反射率、カラーデータも合わせて取得。これにより建物の質感や色味の情報も付加して分かりやすいデータに加工できるのです。
ただしこの原理では対象からの反射光を利用するため、レーザーを反射しにくいものはデータ測定不能になってしまいます。
たとえば表面が黒いディスプレイ画面、鏡面、水面、透明なガラスなどは物体と認識されず、データが欠落してしまうことに。
3Dレーザースキャナでの測定の際には、表面の素材も確認しておく必要があるでしょう。
3DレーザースキャナとBIMの連携
ここでは3DレーザースキャナのデータをBIMに応用している例を紹介します。
公共測量での図面データの作成
国土地理院では、公共測量においてレーザースキャナを導入。地形図の作成や、3次元点群データによる面的な土量管理などに役立てられています。
「地上レーザスキャナを用いた公共測量マニュアル(案)」が公表されており、制度の確保を確認するための資料として活用可能です。
出来形計測
従来までの出来高計算は、平均断面法という手法で一つひとつ算出するのが一般的でした。出来高部分の幅、長さ、距離などを実際に測定する作業が必要なため、手間や時間が掛かってしまうのがデメリット。
しかし3Dレーザースキャナ―を用いれば、点群データがスピーディーに取得可能に。データの正確性が向上するだけでなく、労働時間短縮といった効果も期待できます。
3DレーザースキャナでBIM促進
近年建設業界は人手不足が問題になっており、現場の負担感が増加しています。そういった課題を解決するには、ICT技術の導入による業務効率化が必要です。
今回取り上げた3Dレーザースキャナは、BIMデータへの応用で設計段階、維持管理、リフォームといった長期的な利用が可能に。
さらなる業務効率化のため、導入の広がりが期待されるでしょう。