ホーム BIM BIM最新動向 東大生産技術研究所、BIM等を核とする研究体制構築|「3領域連携」研究体制の実現へ

東大生産技術研究所、BIM等を核とする研究体制構築|「3領域連携」研究体制の実現へ

掲載日:2022年06月20日

東京大学 生産技術研究所 インタースペース研究センター豊田研究室は、5月1日より施井 泰平氏(スタートバーン株式会社 代表取締役)をリサーチフェローに迎えることで、これまで目指してきた「ゲームAI/ゲームエンジン」、「BIM」、「ブロックチェーン/NFT」の3つの核をベースとした「3領域連携」の研究体制が整ったことをお知らせいたします。今後、様々な分野での活用が期待できるため、学内外に幅広く連携を募ってまいります。

 4月1日より三宅 陽一郎氏(株式会社スクウェア・エニックス AI部ジェネラルマネージャー、リードAIリサーチャー)、石澤 宰氏(株式会社竹中工務店 設計本部アドバンストデザイン部コンピュテーショナルデザイングループ長)がリサーチフェローに着任しておりましたが、ブロックチェーン並びにNFTを活用した事業を幅広く手掛け、国内でも有数の知見を有する施井 泰平氏がリサーチフェローに加わることで、本センターの特色である「ゲームAI/ゲームエンジン、BIM、ブロックチェーン/NFT」の「3領域連携」が実現し、世界に先駆けた研究を進めてまいります。

「3領域連携」研究体制_関連性イメージ図「3領域連携」研究体制_関連性イメージ図

<トピックス>
・インタースペース研究センターの豊田研究室が「3領域連携」研究体制を構築
・ゲームAI/ゲームエンジン、BIM、ブロックチェーン/NFTの3領域連携の特色と強み
・インタースペース研究センター全体での「3領域連携」を実現する研究体制
・各リサーチフェローのコメント
・6/10(金)キャンパス公開イベント「インタースペースとは何か? その実装領域と可能性」のお知らせ

インタースペース研究センターの掲げる「3領域連携」とは

これまでは静的なデータ体系として扱われてきたBIMですが、ゲームエンジンという動的なデータ体系を通して、竣工後の活用可能性に接続されることで、コモングラウンドの社会実装を促進するものになります。また、BIMという建設業界に閉じた高度なデータアセットをNFTおよびブロックチェーン技術を通じ、より広範な社会インフラでのデータ流通へ可能性を拡張することを目指します。さらに、ゲームやVR空間内でのデータセットがブロックチェーンおよびNFTと接続することで、デジタル拡張領域での新たな市場開拓の可能性を模索することにもつながります。

インタースペース研究センターは、これまでデジタルツイン化がもたらす福利を最大化すべく、サイバー空間とフィジカル空間の境界領域(インタースペース)に両空間の高度な連携の基盤を設計し、その体系化と社会への実装を目指して研究を進めてまいりました。

今回、各領域にリサーチフェローを招聘することで「ゲームAI」「BIM」「NFT/ ブロックチェーン」の「3領域連携」を実現する研究体制を強固なものとし、これらの連携のための体系化や事業化に必要な基礎技術開発、あるいはより広域の社会的な体系化や価値化をリードする研究体制が整ったものと考えております。

3領域の研究意義3領域の研究意義BIM/GIS分野では、社会実装が先行する、セマンティクス記述に特化したデジタルアーキテクチャ(都市OS等)に対し、実空間のデジタル記述に特化した先行実装領域(建設、土木由来の静的体系)としての研究意義があります。GIS、BIM、点群、ボクセル、ゲームエンジンなどの領域と、位相幾何学的な解析空間、シミュレーションやデータアーカイブ化などの、産業領域ごとに異なる記述仕様を繋ぐ体系づくりと、その基準骨格としてのBIMおよびGISという位置づけを目指します。

ゲームAI/ゲームエンジン分野では、多様なエージェント視点で、可読かつ可変な環境をリアルタイムに記述することができるゲームエンジン・ゲームAIの特性を活かし、現実世界のデジタル記述とIoTプラットフォームとの連携により、ゲームエンジンの特性およびアーキテクチャが実空間で活用できる可能性を研究します。パス生成などを扱うスパーシャルAI、全体を制御するメタAI、あるいはキャラクターAIが、連携して行為空間を生成、制御することを、バーチャル空間において市販・通信ベースでの実装を目指します。

NFT/ブロックチェーン分野は、アイテムのみでなく、デジタル環境や行為などの記述を通した流通やNFT化などの価値化領域において特に重要視しています。あらゆるモノや行為がデジタル記述されることが標準化された世界での、データの流通と価値化の可能性を開拓することで、ゲームエンジンをもとにしたコモングラウンドの体系構築と実装に向けて、関連分野を横断する有識者とともに研究を進めていく基盤づくりを進めます。

インタースペース研究センターにおける「3領域連携」を中心とした研究体制

「3領域連携」研究体制イメージ図「3領域連携」研究体制イメージ図インタースペース研究センターでは、「ゲームAI/ゲームエンジン」「BIM」「ブロックチェーン/NFT」の「3領域連携」研究基盤を中心の核に据えることでセンター内の連携を強化し、東京大学生産技術研究所内の各分野の研究室と協働し、研究を進めてまいります。

センターに参画する各研究室では、空間システム工学、GIS地理空間記述、都市環境数理工学、建設カーボンフットプリント、時空間メディア工学、IoTシステム、IoTネットワーク、コモングラウンドなど、デジタル空間記述の体系化に向けて欠かせない領域を網羅しており、基礎研究を行う最適な環境が構築されています。

これら3領域を相互補完し、連携する研究体制はこれまで例がなく、サイバー空間とフィジカル空間の境界領域(インタースペース)に両空間の高度な連携の基盤を設計し、その体系化と社会への実装を目指す本センターにとって、重要な基盤であり欠かせない研究体制であると確信しております。
次世代のデジタル空間記述の体系化、インタースペースの社会実装に加えた連携の価値創出を目指してまいりますので、ご関心をお寄せくださる研究機関、企業との連携を積極的に模索していきたいと考えています。

リサーチフェロー 施井 泰平氏 コメント

 
デジタル空間と物理空間をつなぐコモングラウンドは、今後も情報技術の発展と共に、より一層重要性が増していくと考えます。特に近年は、DeFiやNFT、DAOなど、ブロックチェーン領域の台頭を受けながら、メタバースをはじめとしたデジタル空間の存在とその関連技術が改めて注目されています。それは、デジタル空間やそこに存在するアセットの維持管理をはじめ、ガバナンスやファンディング、独自経済圏の構築まで、ブロックチェーン技術に秘められた数多くのブレイクスルーの可能性に、人々が気づき始めているからでしょう。私はそのなかでも、パブリックベネフィットを念頭においた非競争領域の管理技術として将来性を感じています。この側面でブロックチェーン技術を社会実装してきた専門家として、コモングラウンドの壮大な構想に貢献できることを大変光栄に思います。建築家、建築情報技術者、ゲームAI技術者など、この領域のスーパーチームと共に未来を構築していけることを何より楽しみにしております。

<経歴>
1977年生まれ。少年期をアメリカで過ごす。東京大学大学院学際情報学府修了。2001年に多摩美術大学絵画科油画専攻卒業後、美術家として「インターネットの時代のアート」をテーマに制作、現在もギャラリーや美術館で展示を重ねる。2006年よりスタートバーンを構想、その後日米で特許を取得。大学院在学中に起業し現在に至る。2020年に株式会社アートビート代表取締役就任。講演やトークイベントにも多数登壇。

リサーチフェロー 三宅 陽一郎氏 コメント


現実の世界とデジタルの世界が交錯しようとする現代において、2つの空間の技術を融合する時期が到来しています。人類は現実の土地を超えて、新しい土地、新しい仲間を現実の地続きのデジタル空間で手に入れようとしています。現実世界とメタバースの接続、人間と人工知能の連携が、新しく人間の環世界と人工知能の生活世界を結び合わせます。これらの相反する世界の間の相互ブリッジを作るには、空間そのものに知能を持たせる空間知能の開発が必要であり、さらにその先には都市空間そのものに知能を与えるスマートシティの実現へ至る道があります。人工知能は個としての知能の構築から、空間そのものへと拡張され、新しい知能の形へと進化しようとしています。さまざまな変革が多重に重なる場がここにあります。時代をその中心において推し進める仕事をできればと考えています。

<経歴>
株式会社スクウェア・エニックス AI部 ジェネラルマネージャー/リードAIリサーチャー。博士(工学、東京大学)。2011 年(株)スクウェア・エニックス入社。人工知能学会理事,日本デジタルゲーム学会理事,情報処理学会ゲーム情報学研究会運営委員,国際ゲーム開発者協会日本ゲームAI専門部会チェア。著書に『戦略ゲームAI解体新書』(翔泳社)『ゲームAI技術入門』(技術評論社)『人工知能のための哲学塾』(BNN 新社)シリーズなど多数。

リサーチフェロー 石澤 宰氏 コメント


私が実務でBuilding Information Modeling(BIM)を使い始めてから10年が経ちました。10年前には想像もつかなかったほど、BIMというプロセスによって生み出されるデータの可能性は拡大し、建築以外の分野からの注目は昨今改めて高まっています。今やBIMは様々なデジタルトランスフォーメーションにとってのデータインフラになりました。そのBIMが様々な価値提供につながるためのLow-hanging fruit(克服しやすい課題)はどこにあるのでしょうか。私達にとっての「日常」を疑い、よりよい答えを探す、そのプロセスはBIMに通じる気もします。山本常朝「葉隠」には『智慧を磨く學問は、功者の衆とよりあひ、話聞くが肝要』とあります。仮説の「壁打ち」をたくさんの方々と行いながら見つけ出してゆくプロセスが楽しみです。

<経歴>
1981年生まれ。2006年慶應義塾大学大学院を卒業し竹中工務店に入社、設計本部アドバンストデザイン部コンピュテーショナルデザイングループ長。博士(政策・メディア)、一級建築士、LEED Green Associate、基本情報技術者。『建築情報学へ』共編著(millegraph, 2020)。

6/10(金)キャンパス公開イベント「インタースペースとは何か? その実装領域と可能性」のお知らせ

 本イベントでは、豊田研究室に新たにリサーチフェローとして参画した3名を迎え、今後のインタースペースの実装領域と可能性やセンターが担うべき役割と将来の展望について議論し、実際の研究内容についてもご説明いたします。企業のご関係者ならびに、本領域にご興味のある研究者や学生の方まで幅広い方々に聴いていただければ幸いです。オンライン形式で実施予定ですので、どうぞお気軽にご参加ください。

<イベント概要>
日時:6月10日(金)14:00-16:30
形式:オンラインウェビナー(事前申し込み制、当日まで申し込み可)
事前申込先:https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/webinar/register/WN__m1I_QMbRz6xCon2Od6pgA
※本イベントではご取材対応を予定しておりませんので予めご了承ください

東京大学 生産技術研究所 インタースペース研究センターについて

インタースペース研究センターは、デジタルツイン化がもたらす福利を最大化すべく、サイバー空間とフィジカル空間の境界領域(インタースペース)に両空間の高度な連携の基盤を設計し、その体系化と社会への実装を目指します。空間システム工学、GIS地理空間記述、都市環境数理工学、建設カーボンフットプリント、時空間メディア工学、IoTシステム、IoTネットワーク、コモングラウンドなど、各分野の専門家が集結する世界初の研究拠点として研究を進めてまいります。
URL:https://www.iis.u-tokyo.ac.jp/ja/research/department_center/lnterspace-Research-Center/

【本件に関するお問合せ先】
東京大学 生産技術研究所 インタースペース研究センター担当:久々江(くぐえ)
E-mail : kugue@iis.u-tokyo.ac.jp

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