建設現場でロボット活用広がる|溶接等の業務を効率化
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トレンドワード:建設ロボット
『ソニーとイクシス、建設分野でのロボット活用を共同推進|自律移動ロボット実装』でご紹介した「建設ロボット」についてピックアップします。
建設ロボットとは
建設ロボットとは、建築現場で使われる作業用ロボットのことを指します。最近まで建設現場でのロボット使用事例は少なく、ほぼ人力で作業を行うのが一般的でした。しかし2019年ごろに掃除や警備といった簡単な仕事をこなすロボットが登場し、徐々に導入事例が増加。ロボットの活用で、人手不足解消や業務効率化、安全性向上などが期待されています。
建設ロボット市場規模は?
REPORT OCEANの調査によると、建設ロボットの市場規模は、24億5070万ドルと評価されています(2019年)。また2020年から2027年までに78億8030万ドルに達するとの予想も。これは年平均成長率23.3%となっており、飛躍的な拡大と言えるでしょう。
さらに日本では、2024年に建設ロボット特需が起きるとの予想も。建設業界全体で時間外労働の上限規制が適用されることにより、さらに人手不足となることが理由です。ロボットの活用で過重労働が減れば、現場の労働環境改善も期待できるでしょう。
【参考】Report Ocean
建設現場ロボットの種類
ここでは、現場で実際に活用されている建設ロボットの種類を紹介します。
建設現場ロボットの種類①溶接ロボット
溶接ロボットは、鉄骨造の躯体接合部の施工で用いられます。溶接は有資格者が行う作業になっており、技術の習得には熟練の経験が必要とされていました。しかしロボットを活用すれば、誰にでも同じ品質の施工が可能に。
建設現場ロボットの種類②耐火被覆ロボット
耐火被覆工事は、鉱物繊維を躯体に直接吹き付ける作業です。防護服やマスク着用で行いますが、まれに隙間から繊維が入り込んでしまう場合も。こういった事情から常に人手不足となっており、ロボット化が進められています。
建設現場ロボットの種類③コンクリート工事ロボット
コンクリート床は、生コンクリートの打設を行ってから金ゴテで仕上げる作業が必要です。コンクリート工事ロボットを使えば、仕上げ作業が自動で行えます。特に面積の大きい現場だと負担の大きい作業になるため、ロボット化により業務効率化が期待されます。
建設現場ロボットの種類④鉄筋工事ロボット
鉄筋コンクリート造の建物で、鉄筋の結束作業を行うロボットです。壁の差し筋、かぶり厚といった寸法をチェックしながらの作業となり負担が大きいですが、ロボットに任せれば効率化が期待できます。
建設現場ロボットの種類⑤ビス止めロボット
建物の内装工事には不可欠な、ビス止め作業を行うロボットです。大規模な建物になると数万本のビス止め作業が発生しますが、ロボットで自動化が可能に。脚立の必要な高所での作業も任せられるので、作業員の安全管理にも役立ちます。
建設現場ロボットの課題
建設現場へのロボット導入にはメリットが多いですが、やはり費用面での課題は大きいでしょう。自社で開発する場合は数年単位での研究費用がかかるなど、ある程度大規模な企業でないと導入が難しいケースもあります。
またロボットを管理する知識を持ったオペレーターが必要になるため、人材確保も課題に。場合によっては人力作業の方がコストや手間が掛からないこともあるため、総合的な判断が求められるでしょう。
建設ロボットの事例紹介
ここでは、各ゼネコンやメーカーが独自に開発、実用化している建設ロボット事例を紹介します。
建設ロボット事例①鹿島建設|現場溶接ロボット
鹿島建設では「作業の半分はロボットと」をコンセプトに、積極的に建設ロボット導入を進めています。特に現場溶接ロボット工法に注力しており、現場溶接ロボットのオペレータや溶接管理者の育成と直庸をスタートするなど、グループ連携による現場溶接ロボットの開発・運用体制を確立。
溶接ロボットは、品質の高さもクリアしています。熟練溶接工による施工と同等レベルの品質を確保しながら、一日あたりの溶接歩掛が従来工法に比べて約60%向上・不良箇所が約30%低減するというデータも。
建設ロボット事例②竹中工務店|自走式墨出しロボット
竹中工務店では、墨出し作業を自動で行うロボットを開発。レーザで地点を指定し、自動で目的地まで自走して墨出し作業を行います。職人の手作業に比べて効率が3倍にアップするというケースもあり、建設現場の業務効率化が期待されます。
建設ロボット事例③大和ハウス工業|耐火被覆吹付ロボット
大和ハウス工業では、鉄骨の柱や梁をロックウール・モルタルで耐火被覆吹付するロボットを開発しています。本来耐火被覆吹き付けは職人3人掛かりで行う作業になりますが、ロボットの活用で約30%の時間削減に。
建設ロボットで現場作業を楽に
建設ロボットを導入すれば、業務効率化や労働環境改善といったメリットに繋がります。働き方改革の面からも、今後ますます建設現場でのロボット活用が期待されるでしょう。
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