清水建設、救急対応に必要な院内リソースを見える化する業務支援システムHub360を開発

20261105_救急医療業務支援システムHub360

清水建設は、地域医療の中核を担う急性期病院の収益拡大と医療サービスの質の向上を目的に、救急対応に必要な院内リソースと患者への処置(タスク)の状況を見える化する業務支援システム「Hub360」を開発しました。株式会社NTTデータの協力を得ており、近くクラウドサービスとして提供を開始します。

国内初、平時も災害時も使える救急支援

Hub360は、平時と災害時を問わず急性期病院の救急対応を支える国内初のシステムです。約4年にわたり医療現場で性能を確かめてきました。すでに独立行政法人地域医療機能推進機構の人吉医療センター(熊本県人吉市、災害拠点病院)をはじめ、複数の医療機関が導入を予定または検討しています。

同社は年間の救急搬送受け入れが2,500件を超える急性期病院を主な対象に導入を働きかけ、2030年度までに50件の受注を目指します。

受け入れ判断の遅れが収益の機会を逃す

高齢化が進み、救急の需要は今後も高い水準が続くと見込まれます。急性期病院が収益を伸ばすには、救急患者の受け入れ機会を確保し、院内の人員や設備を有効活用することが求められます。

ところが救急の現場では、患者を受け入れてよいか判断するための情報が院内に散らばっています。集めてまとめる作業は今も人の手に頼っており、時間がかかるため、受け入れの機会を逃す一因になっています。

Hub360は、こうした課題の解消に向けて迅速で的確な受け入れ判断を支援し、受け入れ患者数の増加に貢献することを目指します。

空きベッドやスタッフの状況を即座に把握

中心となる機能は、救急センターなどで受け入れの可否を決めるために必要な「空きベッド」「スタッフ」「医療機器・施設」といった院内リソースと、急患に対する「タスク」の状況をリアルタイムで表示することです。

受け入れ可能な患者数、各診療科の医師の対応可否、受け入れが難しい疾患、手術室や人工呼吸器、CT、MRIの使用可否などをすぐに確認できます。

タスクの遅れをアラートで知らせる

タスクの見える化では、患者の緊急度に応じた区分(トリアージ)や診療の進み具合を把握できます。遅れている処置があればアラートで知らせるため、救急医療サービスの質の向上にもつながります。

災害モードで対策本部の判断を支援

災害時には、スタッフの安否や参集にかかる時間、救急処置室内のトリアージ別の患者数、稼働できる医師・看護師の数などを見える化する「災害モード」を活用できます。

災害対策本部の素早い意思決定と、医療サービスの継続を後押しします。発災直後は医療ニーズが急増し、病院自体が被災しても診療の継続が求められるため、スタッフには大きな負荷がかかります。

自然災害が激甚化・頻発化するなか、平時から災害時まで切れ目なく使えるフェーズフリーの業務支援システムが求められていました。

人吉医療センターの水害が開発の出発点

開発の背景には令和2年7月豪雨があります。熊本県球磨地域の災害拠点病院である人吉医療センターは浸水被害を受け、インフラや通信、ライフラインが途絶するなか、水害後の2日間で平時の10倍にあたる救急搬送に対応しました。しかし現場は大きく混乱しました。

この経験から、医師や看護師の出勤状況と所在、医療機器や処置室、手術室の使用可否といった院内リソースをリアルタイムで把握する重要性が明らかになりました。

平時の救急対応にも共通する課題

こうしたニーズは災害時に限りません。救急隊員が救急車から病院へ連絡しても、受け入れの可否を判断するのに時間がかかり、救急対応に支障が出る事態が起きています。

清水建設は人吉医療センターと水害対応のタイムラインづくりを進めるなかで救急現場のニーズを洗い直し、平時と災害時の別なく使え、電子カルテなど院内のさまざまなシステムとつながる仕組みが必要だと考えて、Hub360を開発しました。

急性期病院が担う高度な救急医療の特徴

急性期病院は、病気の発症やけがの直後、あるいは状態が急に悪化して病状が不安定な患者に、集中的で高度な医療を提供する医療機関です。

24時間体制で救急患者を受け入れ、緊急手術やICU(集中治療室)での治療にも対応します。重症度の高い患者に備えて医師や看護師を多く配置し、早期の病状安定を目指すため、入院期間は他の病床に比べて比較的短いのが特徴です。

負担を増やさず、院内情報をつなぐ

Hub360は院内に分散するさまざまな情報にアクセスし、受け入れ判断に必要な情報を見える化してリアルタイムに共有します。

スタッフは業務の負担を増やさずに利点を得られるため、今後は急性期病院を中心に広く普及することが期待されます。

出典情報など

出典:清水建設株式会社,平時から災害時までHub360で急性期病院の救急医療現場をシームレスに支援~救急対応に必要な院内リソースの状況をリアルタイムに見える化~,https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2026/2026045.html,リリース日:2026-11-04