大成建設、ゲリラ豪雨による都市の浸水を数分で予測する技術を確立、作業所の安全対策を強化

20261014_都市型浸水の短時間予測技術

大成建設は2026年10月13日、突発的に発生する局地的大雨(ゲリラ豪雨)による都市部の浸水を、数分で予測できる技術を確立したと発表しました。「生産プロセスのDX」の取り組みの一つで、地表面と下水道などの管路内を流れる水を一体で解析する点が特徴です。

低地や地下工事を伴う作業所での被害を未然に防ぐほか、浸水BCP(事業継続計画)の作成や評価にも役立てられます。建設現場の安全確保と事業所の防災計画の両面で、活用の幅が広がります。

作業員が異変に気づきにくい地下空間の豪雨リスク

近年、ヒートアイランド現象や地球温暖化を背景に、ゲリラ豪雨は都市部の大きな脅威になっています。短時間で急激に水があふれ、河川の氾濫だけでなく、アンダーパスの冠水や地下空間への浸水といった深刻な被害も起きています。

特に地下での工事では、作業員が地上の天候の急変に気づきにくく、判断がわずかに遅れるだけで重大な災害につながるおそれがあります。地下での作業員の安全を確保するため、早い段階での状況把握が欠かせません。

広い範囲のデータだけでは避難判断に限界があった

これまで現場の安全判断は、気象庁の雨量観測データなどに頼ってきました。しかし、予測が難しい局地的な豪雨に対し、素早く実効性のある避難の判断を下すには、広域を対象にしたデータだけでは限界がありました。

同社はこの課題に応え、人命を守るための確かな根拠を示すため、より詳細で正確な浸水予測を極めて短い時間で行えるシステムとして、今回の技術を開発しました。

地表と下水道をまとめて計算し予測の精度を高める

中核となるのは、地表面の水の流れと、マンホールでつながる下水道網の動きを統合して計算する連成解析です。気象庁の「高解像度降水ナウキャスト」による最新の降雨予測と、自治体の下水道台帳にもとづくインフラ情報を細かく組み合わせています。

地上と下水を別々に扱う従来のシミュレーションでは捉えにくかった、地表の氾濫と下水の溢水の影響も再現でき、作業所周辺の特定の場所について浸水リスクを高い精度で予測できるようになりました。

工事の進行を反映し施工中の弱点を可視化

一般的な浸水シミュレーションは、変化しない地図情報を前提にしています。これに対して本技術は、日々変わる建設現場の状況を解析に反映できる点が大きな強みです。

工事の進行で変わる建物の配置や形状、掘削や盛土による地盤の高さを、細かいメッシュで解析モデルに随時取り込みます。

既存のハザードマップでは把握しきれない施工中ならではの弱点が見えるため、現場の実態に合った信頼性の高い予測を行えます。現場ごとに地形や構造物の条件が異なるだけに、個別の状況に合わせた予測が求められます。

GPUで計算を高速化し退避までの時間を確保

突発的な豪雨では、数分の遅れが命に関わる事態を招きかねません。そこで同社は、膨大な計算を並列で処理できるGPU(画像処理装置)を採用し、計算の手順も最適化しました。

従来のCPUによる処理より速度が大きく向上し、気象庁のデータ配信間隔である5分よりも短い時間で予測結果を出せます。最新の降雨予報に合わせて予測を更新するため、地下からの退避や資機材の保護に必要な時間を確保しやすくなります。結果が早く得られるほど、現場の責任者が落ち着いて判断できる余裕も生まれます。

3D都市モデルと連携し浸水BCPの検討にも活用

解析結果は、数値のデータにとどまらず、経営や安全管理の判断材料としても使えます。国土交通省の3D都市モデル「PLATEAU(プラトー)」と連携し、浸水の様子を立体的なハザードマップとして表示します。

施設が受ける被害を立体的に再現することで、浸水BCPの策定や評価に有用な情報が得られ、防災投資の判断や、災害時に事業を続けられるかどうかの判断を後押しします。立体的な表示は、専門知識のない担当者にも浸水の深さや広がりが伝わりやすい利点があります。

全国の作業所へ展開し避難アラートの自動発出も目指す

今後は、浸水の危険性が高い全国の作業所へ本技術を広げ、安全管理の信頼性向上に取り組みます。解析結果をもとに避難アラートを自動で発出するシステムを構築し、人の判断が介在する部分をできるだけ減らし、迅速な退避判断に活用する予定です。

同社は、気象災害が当たり前になりつつある現代において、予測技術を通じて社会の安心・安全と、災害に強い都市づくりに貢献することを目指します。

出典情報など

出典:大成建設株式会社,ゲリラ豪雨による都市型浸水の短時間予測技術を確立 局地的大雨への作業所の安全対策の強化と、浸水BCPへの社会実装を加速,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/261013_11172.html,リリース日:2026-10-13