【前編】建設DX展大阪で見えた2026年の建設DXトレンド

2026年8月26日(水)~28日(金)に開催された建設DX展[大阪]は、建設業界のDXをテーマとした専門展示会です。当サイトでは会場を取材し、最新の建設DXトレンドや注目サービス、ゼネコン目線で押さえておきたい展示内容を全3回の記事でご紹介します。
前編では、今回取材した展示・サービスから見えてきた2026年の建設DXのトレンドをピックアップします。AIを活用した業務の自動化や安全管理DX、現地調査・施工のデジタル化、図面解析、BIM活用、3Dプリント型枠などを通して、建設業界で進むDXの現在地を分かりやすく解説します。
建設DX展大阪・会場全体の印象

今回の建設DX展[大阪]を取材してまず印象的だったのは、建設業界向けのDXサービスが幅広く登場する一方で、とくにAIを活用した展示が目立っていたことです。展示方法は企業によってさまざまでしたが、パネルを使ってサービスの特徴や導入事例を説明し、必要に応じてパソコンで実際の画面を見せるブースが多く見られました。
一方で重機などを展示しているブースは実物の存在感があり、デジタルサービスとは異なるインパクトを感じさせました。単に最新技術を見せるだけでなく、「その技術を建設現場でどう使うのか」を具体的に伝える展示が多かったことも印象的でした。
注目キーワード3選
ここでは、建設DX展[大阪]で感じた注目キーワードを3つご紹介します。
①AIによる「自動化」が本格化

今回の取材で特に目立ったのが、AIを単なる検索・回答ツールとしてではなく、実際の業務を担う存在として活用する動きです。株式会社Archでは、作業内容をもとにAIが翌日の作業内容と現場の気象条件から潜むリスクを予測・提案するサービスを提供しています。
そして株式会社KK Generationでは、図面の整合性・適合性チェックや数量拾い、BIM化までAIが支援します。さらに株式会社Arentでは、見積・積算・図面データから工程表を作成したり、BIMと360度カメラを組み合わせて施工進捗の確認を自動化したりする取り組みも進んでいます。
このように建設DXは、「紙をデジタルに置き換える」段階から、「これまで人が行っていた作業そのものをAIが担う」段階へ進みつつあるようです。
②「人に依存する仕事」をデータ化

建設業界が抱える人手不足や技術継承の課題に対し、「人の経験や勘に頼ってきた業務をデータ化する」というアプローチも広がっています。具体的にはnat株式会社の「Scanat」は、現場を歩きながらスキャンすることで空間を3Dデータとして記録し、従来は経験者に頼りがちだった現地調査を効率化します。
そして株式会社Arentも「暗黙知を民主化する」を掲げ、熟練者が持つノウハウを可視化・数値化して、誰もが使えるシステムへの変換を進めています。 また株式会社KK Generationでは、図面の読み取りや数量拾いなど、経験や知識が求められてきた業務をAIで支援します。ベテランの知識を個人に閉じず、組織のデジタル資産として活用する動きが進んでいます。
③現場で使えるDXから、業務全体をつなぐDXへ

もう一つの大きな変化が、「導入すること」だけでなく「現場で使い続けられること」、そして蓄積したデータを次の業務につなげることを重視する動きです。株式会社Archはアプリのダウンロードすら不要なブラウザ型サービスとし、現場の導入ハードルを低減します。またnat株式会社も、iPhone・iPadだけで利用できる手軽さを特徴としています。
一方で株式会社ArentではBIMを中心に設計・施工・維持管理をつなぎ、工程表や進捗情報も一元化しています。 そして株式会社KK Generationも企画・設計・積算・施工までの一気通貫した自動化を目指しており、個別業務の効率化から、部門や工程をまたいだデータ連携へと、建設DXの焦点が広がっています。
編集部が感じたトレンド
今回の展示会を通じて感じた大きなトレンドの一つが、AIの活用が「試してみる」段階から「実際の業務で使う」段階へ進んでいることです。指示するだけでBIMモデルを作成したり、工程管理を支援したりするなど、AIを実務に組み込むサービスが数多く見られました。
また今後さらに広がりそうな技術としては、3Dデータや仮想空間を活用してオンライン上で現場を確認する仕組みにも注目です。施工状況を3D空間上で確認したり、完成後の空間を歩くように検証したりすることで、移動の削減や設計・施工時の確認作業の効率化につながる可能性があります。
またドローンについても、以前のように「ドローンそのもの」を前面に出すのではなく、撮影した映像をAIで解析したり、現場情報の収集・確認に活用したりするなど、複数の技術を組み合わせた使い方が進んでいるようです。さらにロボットによる資材搬送など、人がいない時間帯も活用して現場を効率化する発想も見られました。
一方で、展示内容から見えてきた建設業界の課題は、やはり人手不足と生産性向上です。単純に人員を増やすのではなく、遠隔管理やAI、ロボットなどを活用して「限られた人数でいかに効率よく現場を回すか」という方向へ、業界全体が動いていることが感じられました。
ゼネコン担当者へのメッセージ
今回、建設DX展[大阪]を取材して感じたのは、AIやBIM、3Dデータ、ロボットなどの技術が、すでに建設現場の具体的な課題を解決するために使われ始めているということです。
とくに印象的だったのは、単に人を置き換えるのではなく、限られた人員で現場を効率よく運営するために、AIやデータ、ロボットを組み合わせようとしている点です。人手不足や技術継承といった課題を抱えるゼネコンにとって、今後のDXを考えるうえで参考になる技術やサービスが数多く展示されていました。
今回会場に足を運べなかった方も、建設DXがどこまで実務に入り込んできているのかを知るきっかけとして、ぜひ今後のDX関連の展示会やサービスに注目してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回の建設DX展大阪の取材からは、建設DXが「デジタル化」から「AIによる自動化」へ、さらに「人の経験やノウハウをデータとして活用する」段階へ進んでいることが見えてきました。また個別の業務を効率化するだけでなく、現場で使いやすい仕組みを通じて、設計・施工・維持管理など複数の工程をデータでつなぐ動きも広がっています。
人手不足や技術継承といった課題に対し、現場に根差したDXをどう定着させるかが、今後ますます重要になりそうです。
次回予告
建設DX展の会場で見つけた注目DXサービスを取り上げる【中編】を9月中旬に公開予定です。続く【後編】では、ゼネコン目線から見た注目展示3選をお届けします。展示会レポートの続編もぜひご覧ください。