日本HP、建設業向けクラウド型図面管理サービス提供開始、製図作業時間を最大80%削減

日本HPは、建築・エンジニアリング・建設業界のプロフェッショナル向けに、クラウド型プロジェクト管理サービス「HP Build Workspace」の日本語版提供を2026年9月2日より開始しました。
AIによる図面のベクター化機能を備え、紙とデジタルに分かれがちな設計データを一本化することで、現場の混乱や手戻りを防ぐ狙いがあります。
紙とデジタルの間で生じる食い違い
建設現場では、複数のチームが分散して働く体制やタイトな工程管理が求められる一方、デジタル設計データと現場で使われる紙図面との間にずれが生じやすいという課題があります。
デジタル図面は随時更新されるものの、現場の紙図面には反映されないことがあり、バージョンの違いによるミスや遅延、余計なコストにつながっていました。日本HPはこうした状況を踏まえ、米国など海外で先行提供してきたサービスを国内向けにローカライズし、日本語OCRの精度向上なども加えて展開に踏み切りました。
クラウド上で図面を一元管理
「HP Build Workspace」は、紙図面とデジタル図面をクラウド上でまとめて管理できるサービスです。スキャンした図面データを共有・保管できるほか、QRコードを使ったバージョン管理により、紙の図面と最新のデジタルデータを結びつけ、常に正しい情報をもとに作業できる仕組みを整えています。
現場担当者と設計者が異なる場所にいても、同じ最新図面を参照しながら意思決定を進められる点が特徴です。サービス自体は無償で利用可能で、幅広いチームが気軽に導入しやすい設計となっています。
AIが図面をCADデータへ変換
このサービスの中核を担うのが、AI駆動の図面ベクター化機能「HP AIベクタライゼーション」です。スキャンして取り込んだラスター形式の図面を、編集可能なCADファイルへ自動的に変換します。
これにより設計修正にかかる手間が軽くなり、製図作業の時間は最大80%削減できるといいます。この数値は、1,000件以上の図面を対象にした実証テストをもとに算出されたもので、手作業による製図と本サービス利用時の作業量を比較して導き出されました。
ただし図面の複雑さや原稿の状態によって効果は変動するとされています。なおCADファイルのダウンロード機能は有償で、利用開始は2026年10月以降となる予定です。従来、手作業でのトレースに多くの時間を割いていた設計担当者にとっては、作業配分を見直すきっかけになるかもしれません。
複合機と連携し作業をワンステップ化
日本HPは、このサービスと直接つながる複合機「HP DesignJet T2600 dr PS MFP A0モデル PE|Build Connected」も販売代理店を通じて提供しています。
フロントパネルから「スキャン to AI Vectorize」を選ぶだけで、紙図面のスキャンからクラウドへのアップロード、AIによるベクター変換までを自動化できるため、担当者の作業負担軽減につながります。
デジタルの設計意図と現場の施工をなめらかに橋渡しし、複雑になりがちなプロジェクトの進行を後押しする位置づけです。この複合機はHPが手がけるDesignJetシリーズの中でも、クラウドワークフローと直接つながる初めてのモデルとして位置づけられています。
CADファイルのダウンロードは10月以降に有償化
CADファイルのダウンロードにかかる参考価格は、次のように枚数ごとに設定されています。
- 10枚用:59,400円(税込)
- 50枚用:268,400円(税込)
- 100枚用:487,300円(税込)
CADファイルへの変換およびデータ確認自体は9月2日から無償で利用でき、ダウンロード機能のみ10月以降に有償で使えるようになります。
日本HPが進めるデジタル化への取り組み
日本HPは、180カ国以上で事業を展開するグローバル企業として、AIを組み込んだデバイスやソフトウェア、サービスを通じて、働き方そのものの充実を後押しする姿勢を掲げています。
今回のサービス提供も、そうした取り組みの一環として位置づけられており、今後は国内の設計事務所や建設会社での活用が広がっていくかどうかが注目されます。
出典情報など
出典:PR TIMES,日本HP、建築・エンジニアリング・建設業界向けのプロジェクト管理コラボレーションプラットフォーム「HP Build Workspace」日本語版の提供を開始 AIソリューションにより、複雑化するワークフローの分断を解消しプロジェクト遅延の大幅削減を実現,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000193.000068112.html,リリース日:2026-09-02