再下請負通知書とは?|書き方・記入例と電子化のメリットを解説

建設工事で元請会社から再下請負通知書の提出を求められたものの、「誰が作成するのか」「どの欄に誰の情報を書くのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。再下請負通知書は、下請会社が請け負った工事をさらに別の会社へ発注した場合に、その契約内容や施工体制を元請会社へ知らせる書類です。

この記事では、提出が必要になるケースや施工体制台帳との違い、基本的な書き方を解説します。電子化によって書類業務を効率化する方法も紹介しているので、提出する際の参考にしてください。

再下請負通知書とは

再下請負通知書とは、施工体制台帳の作成対象となる工事で、下請会社が請け負った建設工事をさらに別の建設業者へ発注した場合に、その内容を元請会社へ通知する書類です。

発注関係と再下請負通知書を作成する会社は、次のとおりです。

会社の立場工事の発注先再下請負通知書の作成
元請会社一次下請会社作成しない
一次下請会社二次下請会社一次下請会社が作成する
二次下請会社三次下請会社二次下請会社が作成する
三次下請会社四次下請会社三次下請会社が作成する
下位会社へ発注しない下請会社なし作成しない

つまり、下請の次数にかかわらず、自社が請け負った工事をさらに別の会社へ発注した場合は、再下請に出した会社が再下請負通知書を作成します。

なお、作成した通知書は、直近上位の注文者を経由するなどして元請会社へ提出します。元請会社は、各社から集めた情報をもとに、現場に参加する会社や担当工事、技術者などを把握し、施工体制台帳や施工体系図へ反映します。

(出典:国土交通省「建設業法に基づく適正な施工体制と配置技術者」

再下請負通知書が必要になるケース

再下請負通知書の提出条件は、民間工事と公共工事で異なります。それぞれの条件を確認しましょう。

民間工事の場合

民間工事では、元請が特定建設業者であり、次の2つの条件を満たす工事で再下請負通知書が必要です。

  • 元請会社が締結した下請契約の総額が5,000万円以上である
  • 一次下請以下で再下請契約が発生している

建築一式工事の場合、下請契約総額の基準は8,000万円以上です。金額は個々の下請契約ではなく、元請会社がその工事で締結した下請契約の合計額で判断します。

公共工事の場合

公共工事では、下請契約の金額にかかわらず、一次下請以下で再下請契約が発生した場合に再下請負通知書が必要です。

たとえば、一次下請会社が二次下請会社へ建設工事を発注した場合は、契約金額にかかわらず、一次下請会社が再下請負通知書を作成します。

原則として対象外となるケース

次のような業務のみを行う事業者は、原則として記載対象になりません。

  • 建設資材の納入のみを行う資材業者
  • 交通誘導などを行う警備業者
  • 測量・調査のみを行う事業者
  • 建設工事に該当しない運搬のみを行う事業者

ただし、契約の名称ではなく、実際に請け負う業務の内容によって判断されます。資材の納入に加えて設置工事まで請け負う場合などは、建設工事の下請契約に該当する可能性があります。判断に迷う場合は、元請会社や許可行政庁へ確認しましょう。

施工体制台帳・施工体系図との違い

再下請負通知書と施工体制台帳、施工体系図は、次のように作成者と役割が異なります。

書類主な作成者役割
再下請負通知書再下請に出した下請会社自社と再下請負業者の契約・施工情報を元請会社へ通知する
施工体制台帳元請会社現場に参加する会社や技術者、工事内容などをまとめて管理する
施工体系図元請会社元請・下請の関係や担当工事を図で分かりやすく示す

再下請負通知書は、元請会社が施工体制台帳を作成・更新するための資料です。これに対し、元請会社は、下請会社から集めた再下請負通知書の内容を施工体制台帳へ反映し、その情報をもとに施工体系図を作成します。

3つはそれぞれ別の書類ですが、作成・更新の流れは次のようにつながっています。

再下請負通知書の提出

施工体制台帳の作成・更新

施工体系図への反映

ちなみに、再下請負通知書の記載事項や施工体制台帳の作成方法は、建設業法施行規則で定められています。根拠となる条文や様式については、以下の記事も参考にしてください。

再下請負通知書の書き方・記入例

国土交通省は、再下請負通知書の作成例をExcel形式で公開しています。様式は大きく、欄外部分、左側の「自社に関する事項」、右側の「再下請負関係」に分かれています。

元請会社から指定された様式がある場合は、その様式を使用してください。ここでは、国土交通省の作成例に沿って主な記入項目を解説します。

(出典:国土交通省「施工体制台帳、施工体系図等」

欄外部分

欄外部分には、通知書の作成日と、工事に関係する会社の情報を記載します。

項目記入する内容
作成日再下請負通知書を作成した日。内容を変更した場合は変更日
直近上位の注文者名自社へ工事を発注した会社の名称
元請名称・事業者ID発注者から直接工事を請け負った元請会社の名称とCCUS事業者ID
報告下請負業者通知書を作成する自社の住所、会社名、事業者ID、代表者名

ちなみに、「直近上位の注文者」と「元請会社」は、必ずしも同じではありません。たとえば、自社が二次下請の場合、直近上位の注文者は一次下請会社、元請名称は元請会社となります。

CCUSに登録している場合は事業者IDを記載します。登録していない場合の扱いは、元請会社の指示を確認しましょう。

自社に関する事項

左側の「自社に関する事項」には、再下請負通知書を作成する会社の契約・施工情報を記載します。

項目記入する内容
工事名称・工事内容契約書に記載された工事名と、自社が担当する具体的な工事内容
工期自社が工事を行う開始日と終了日
注文者との契約日自社と直近上位の注文者が下請契約を締結した日
建設業の許可工事に必要な許可業種、許可番号、許可または更新年月日
健康保険等の加入状況健康保険、厚生年金保険、雇用保険の加入・未加入・適用除外
事業所整理記号等営業所名と各保険の整理記号・番号
技術者・責任者監督員、現場代理人、主任技術者、安全衛生責任者など
外国人材の従事状況一号特定技能外国人、外国人技能実習生の従事の有無

なお、工事内容は「電気工事」「内装工事」とカテゴリを書くだけでなく、契約内容に沿って具体的に記載します。

【記入例】

○○ビル新築工事に係る電気設備工事

また、主任技術者については、氏名、専任・非専任の別、資格内容を記載します。監督員や現場代理人を置く場合は、氏名に加えて権限と意見申出方法も記載します。該当する技術者や責任者を配置しない場合は、元請会社の指示に従って空欄または「該当なし」とします。

再下請負関係

右側の「再下請負関係」には、自社が工事を発注した再下請負業者の情報を記載します。主な記入項目は、自社に関する事項とほぼ同じです。

  • 会社名、事業者ID、代表者名
  • 住所、電話番号
  • 工事名称と具体的な工事内容
  • 工期、契約日
  • 建設業許可
  • 健康保険等の加入状況
  • 現場代理人、主任技術者、安全衛生責任者など
  • 外国人材の従事状況

工事内容には、自社が請け負った工事全体ではなく、再下請負業者へ実際に発注した範囲を記載します。

【記入例】

○○ビル新築工事に係る電気設備工事のうち、配線・器具取付工事

工期には再下請負業者が施工する期間を、契約日には自社と再下請負業者が契約を締結した日を記載します。自社の工期や、直近上位の注文者との契約日を書かないよう注意しましょう。

複数の会社へ再下請に出している場合は、契約先ごとに再下請負関係を整理します。また、記載内容は注文書や注文請書などの契約書類と一致させることが重要です。

再下請負通知書の提出時の添付書類と注意点

再下請負通知書には、自社と再下請負業者が締結した下請契約の内容を確認できる書類を添付します。

添付する書類

国土交通省の作成例では、次の書類を添付するものとされています。

  • 当初契約の契約書面の写し
  • 変更契約を締結した場合は、変更契約の契約書面の写し

契約書形式ではなく、注文書と注文請書によって契約を締結した場合は、その写しを添付します。

民間工事では、請負代金額が記載された部分を消した写しでも差し支えありません。一方、公共工事では請負代金額を記載した状態で提出する必要があります。

建設業許可証や社会保険の確認資料など、元請会社から追加書類を指定される場合もあります。提出前に、現場ごとのルールを確認しましょう。

提出時の注意点

再下請負通知書は、原則として施工体制台帳を作成する元請会社へ提出します。やむを得ない場合は、直近上位の注文者に経由を依頼して提出することも可能です。

提出後に工期、契約内容、技術者、社会保険の加入状況などが変わった場合は、変更日を記載し、変更後の内容や書類を遅滞なく提出します。

また、国土交通省が示す再下請負通知書の様式に押印は必要ありません。ただし、元請会社が独自の様式や提出方法を定めている場合は、その指示に従いましょう。

(出典:国土交通省「施工体制台帳の作成等について」

再下請負通知書を電子化するメリット

再下請負通知書は、Excelなどでも作成できますが、クラウド型の安全書類管理サービスを利用すれば、入力や回収、変更管理を効率化できます。

ここでは、電子化を進めるメリットを紹介します。

転記ミスや記入漏れを減らせる

電子化すれば、登録済みの情報を再利用でき、転記ミスや記入漏れを減らせます。

再下請負通知書には、会社情報、建設業許可、社会保険、技術者など、ほかの安全書類と共通する項目が多くあります。システムに登録した情報を複数の書類へ反映できれば、同じ内容を繰り返し入力する必要がなくなり、書類作成の負担も軽減できます。

回収・変更状況を把握しやすい

クラウド上で書類を一元管理すれば、会社ごとの提出状況や変更履歴を把握しやすくなります。

紙やメールによる管理では、どの会社が提出済みなのか、どのファイルが最新版なのかわかりにくくなることがあります。電子化すれば、未提出書類の確認や、工期・技術者などの変更内容の共有がしやすくなり、元請会社による確認や催促の負担を抑えられます。

建設業でペーパーレス化を進めるメリットや導入事例については、以下の記事で詳しく紹介しています。

CCUSの登録情報を活用できる

CCUSに対応したシステムを利用すれば、登録済みの事業者情報や技能者情報を書類作成に活用できます。

国土交通省は、CCUS(建設キャリアアップシステム)を利用して、施工体制台帳や再下請負通知書などを作成できると案内しています。会社名や事業者IDなどの入力作業を減らせるため、書類作成の効率化と情報の正確性向上につながります。

ただし、利用できる情報や連携方法はサービスによって異なります。導入時には、現在使用している安全書類や元請会社の運用に対応しているか確認しましょう。

CCUSの仕組みや登録方法、ホームページの使い方については、以下の記事をご覧ください。

再下請負通知書に関するよくある質問

再下請負通知書は誰が作成しますか?

請け負った建設工事をさらに別の建設業者へ発注した下請会社が作成します。下請の次数は問いません。

再下請負通知書はどこへ提出しますか?

原則として施工体制台帳を作成する元請会社へ提出します。やむを得ない場合は、直近上位の注文者を経由して提出することも可能です。

再下請負通知書に提出期限はありますか?

再下請契約を締結した場合は、その都度、遅滞なく提出します。元請会社が独自の提出期限を設けている場合は、その指示に従います。

まとめ|再下請負通知書は正確な記入と変更管理が重要

再下請負通知書は、施工体制台帳の作成対象工事で、下請会社が請け負った建設工事をさらに別の会社へ発注した場合に必要な書類です。

作成時は、左側に自社、右側に再下請負業者の情報を記載し、工事名称や工期、契約日などを契約書類と一致させましょう。提出後に契約内容や技術者などが変わった場合は、変更内容を遅滞なく報告する必要があります。

また、安全書類を電子化すれば、情報の転記や書類の回収、変更状況の確認を効率化できます。再下請負通知書の作成だけでなく、施工体制台帳や施工体系図を含めた管理方法も見直してみましょう。