国土交通省、7月の建設工事受注総額13.4%減 民間工事は5カ月連続の減少に

20260901_令和8年7月の建設工事受注動態統計調査結果

国土交通省は令和8年8月31日、建設工事受注動態統計調査の結果を公表しました。7月の受注総額は前年同月比13.4%減となり、2カ月ぶりの減少に転じています。

民間工事は不動産業や金融業,保険業、卸売業,小売業などで発注が落ち込んだことから同6.1%減少し、5カ月連続でマイナスとなりました。今回の調査結果からは、国内の民間・公共双方の工事に加え、海外工事の動向まで幅広く読み取ることができます。

受注総額は2カ月ぶりの減少

7月の受注総額は1兆1,383億円にのぼりました。前年同月と比べると13.4%減少しており、2カ月ぶりの減少局面です。国内工事に目を向けると、民間工事と公共工事のいずれもが前年を下回る結果となりました。

国内計は1兆1,266億円で、前年同月比5.6%減少し、こちらも2カ月ぶりの減少を記録しています。海外工事分を含めた総額の落ち込み幅が国内計を上回っている点からも、海外案件の減少が全体の数字を押し下げた様子がうかがえます。

民間工事は5カ月連続の減少

民間工事の7月受注額は8,678億円で、前年同月比6.1%の減少でした。減少は5カ月連続となり、業種によって明暗が分かれています。

製造業は前年同月比2.3%増と底堅さを見せた一方、非製造業は同9.3%減と落ち込みが目立ちました。発注者別および工事種類別の主な内訳は次のとおりです。

  • 発注者別:不動産業、金融業,保険業、卸売業,小売業等が減少、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸業,郵便業、サービス業等が増加
  • 工事種類別:建築が減少、土木が増加
  • 建築分野:建築その他、倉庫・流通施設、娯楽施設等が減少
  • 増加した工事:工場・発電所、電線路、土地造成等

業種によって濃淡が分かれた背景

製造業が前年同月比2.3%増となった一方、非製造業は同9.3%減と大きく落ち込みました。不動産業や金融業,保険業、卸売業,小売業などで発注が減少した一方、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸業,郵便業、サービス業などでは発注が増加しました。

製造業の増加に加え、インフラ関連の業種でも発注が増えた一方、非製造業の一部で減少が目立ったことが、民間工事全体の減少につながりました。

公共工事は3カ月ぶりの減少

公共工事の7月受注額は2,108億円で、前年同月比5.4%減少しました。3カ月ぶりの減少です。国の機関からの発注は同14.0%増と伸びを見せた一方、地方の機関は同22.1%減と大きく落ち込み、対照的な結果となりました。発注者別、工事種類別の詳細は以下のとおりです。

  • 国の機関:国は増加、政府関連企業と独立行政法人は減少
  • 地方の機関:市区町村と都道府県は減少、地方公営企業と地方その他は増加
  • 工事種類別:建築が減少、土木が増加
  • 建築分野:事務所・庁舎、教育・研究・文化施設、医療・福祉施設等が減少
  • 土木分野:土木その他、上水道・下水道、道路等が増加

国と地方で分かれた発注の動き

公共工事全体では地方の機関の落ち込みが目立ちましたが、内訳を見ると市区町村と都道府県からの発注が減少した一方、地方公営企業と地方その他は増加しており、地方内でも一様な傾向ではなかったことがわかります。

国の機関では政府関連企業と独立行政法人からの発注が減った一方、国そのものからの発注は増加し、公共工事全体を下支えするかたちとなりました。土木その他や上水道・下水道、道路といったインフラ整備関連の分野が増加している点も見逃せません。

海外工事は5カ月連続で大幅減

海外工事については、7月の受注額が116億円にとどまり、前年同月比では90.4%という大きな減少幅を記録しました。減少は5カ月連続で続いており、国内工事以上に厳しい状況がうかがえます。

なお、海外工事の受注額には現地法人分は含まれていない点に留意が必要です。大手ゼネコン各社にとって海外事業は成長領域のひとつとされてきただけに、今回の落ち込みは今後の事業戦略にも影響を及ぼしそうです。国内の一部分野が底堅さを見せる中、海外工事の減少基調は対照的といえます。

今回の調査結果が示す全体像

今回の調査結果を総じて見ると、国内では民間・公共ともに前年を下回り、海外工事もあわせて減少幅が拡大した月だったことがわかります。ただし内訳を見ると、製造業やインフラ関連分野では底堅い発注が続いており、一様な落ち込みではない点も見えてきます。

今後の数値の推移によって、建設業界全体の景況感がどう変化していくのか、引き続き注目が必要といえるでしょう。

出典情報など

出典:国土交通省,令和8年7月の建設工事受注動態統計調査(大手50社調査)結果,https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_001387.html,リリース日:2026-08-31