renueと丸紅、数量拾いAIアプリを共同開発、作業時間を最大12時間から約10分に短縮

静岡県島田市の土木建設会社・株式会社丸紅と、AIコンサルティング企業の株式会社renue(本社:東京都港区)が共同開発したAIアプリの取り組みが、一般財団法人経済調査会が発行する専門誌「建設マネジメント技術」2026年7月号(通巻578号、2026年7月10日発行)の91〜93ページに掲載されました。
図面PDFをもとに構造物の種別や寸法、数量を自動で一覧化するこのアプリは、これまでベテラン技術者に限られていた「数量拾い」業務を、経験の浅い社員でも担えるようにするものです。
建設業界を襲う人手不足と属人化の壁
団塊世代が全員75歳以上となる「2025年問題」を背景に、熟練技術者の退職が加速しています。建設業の就業者数は2014年度の507万人から2024年度には477万人まで減少し、築50年を超える道路橋は2040年に全体の約75%に達する見通しです。
需要が増える一方で担い手が減るという構造的な課題が、業界全体を圧迫しています。株式会社丸紅も例外ではなく、ベテラン技術員の離職と若手採用の難しさに直面していました。
積算業務の要「数量拾い」に潜む課題
見積もり作成の中心となる「数量拾い」は、設計図面から構造物の名称や寸法、数量を目視で読み取り、手作業で集計する工程です。
丸紅ではこれまで5〜6人のベテラン担当者がこの業務を担当し、1案件あたり2〜15時間もの時間を費やしていました。図面を読み解くための知識は言葉で説明しにくく、マニュアル化が難しいため、若手が関わる余地はほとんどなかったといいます。負荷がベテランに集中することで、見積書の提出が遅れ、受注のチャンスを逃す事態も生じていました。
renueとの共同開発で見えた解決策
こうした課題を解消するため、丸紅は2025年8月、AIコンサルティング企業のrenueとともにAIアプリの開発に着手しました。renueは業務のヒアリングから導入後の定着支援まで一貫して伴走する支援を強みとする企業です。現場を知る丸紅の知見と、renueのAI技術を組み合わせることで、プロジェクトが本格的に動き出しました。
図面をアップロードするだけで数量を自動抽出
両社が開発した「種別数量拾いアシスタントAIアプリ」は、設計図面のPDFをアップロードするだけで、構造物の種別や寸法、数量をAIが自動で読み取る仕組みです。
駐車場の図面であれば「車止め8個」「フェンス10m」といった具合に、一覧表がExcel形式で自動生成されます。抽出した箇所は図面上にハイライト表示されるため、確認作業もスムーズに進みます。複数の図面をまとめて処理することも可能です。
開発にあたっては、AIの出力をそのまま採用するのではなく、技術者による目視確認を品質管理の中心に据えました。この「AIと人の協業」という設計が、現場への導入をスムーズにした要因といえます。
数量拾いが最大12時間から約10分に
導入による効果は数字にも表れています。最も大きく変化したのは数量拾いの工程で、これまで最大12時間を要していた作業が約10分にまで短縮されました。
積算業務全体の工数も、最大15時間から約4時間へと大幅に削減されています。AIの認識精度は高く、資材名を誤って認識するケースはほとんど見られないといいます。
若手や未経験者にも開かれた業務へ
数値面の成果に加え、業務の担い手にも変化が生まれました。専門知識がなくても一覧表を作成できるようになったことで、これまでベテランに限られていた数量拾いが、若手や未経験の社員にも開放されています。付加価値の高い業務に人員を集中させられるようになり、組織全体の生産性向上にもつながっているということです。
紅林社長「多様な人材が活躍できる現場へ」
丸紅の紅林眞実社長はコメントの中で、創業40周年を迎えた同社にとって人手不足が年々深刻な課題になっていると述べています。見積もり業務はベテランの経験に頼ってきた領域であり、若手への引き継ぎが特に難しかったと振り返ります。
renueとの協業でAIを導入した結果、経験の浅い社員でも図面から数量を拾えるようになり、見積書の提出スピードも向上しました。
紅林社長は、若手や女性を含む多様な人材が見積もり業務に参加できるようになったことを最大の成果と位置づけ、今後はこのシステムを外部にも提供し、同じ課題を抱える全国の建設会社に届けたいという考えを示しています。
属人化した知見の標準化がもたらす未来
今回の取り組みの本質は、これまで言葉にしにくかった熟練者の知見をAIによって標準化し、誰もが参画できる業務へと転換した点にあります。
若手技術者の早期戦力化と、限られた人材を高付加価値な業務に集中させる仕組みづくりが進むことで、労働時間あたりの付加価値向上が期待されます。丸紅とrenueは今後、このアプリを土木業界向けのSaaSとして外部提供し、地方発のAI活用モデルを全国へ広げていく方針です。
- 会社名:株式会社renue
- 所在地:〒105-7105 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター 5階
- 代表者:山本悠介
- 事業内容:AIコンサルティング業
- URL:https://renue.co.jp/
出典情報など
出典:PR TIMES,最大12時間の数量拾いが、約10分に。静岡の建設会社と共同開発したAIアプリの実践が専門誌『建設マネジメント技術』に掲載 renueと静岡県島田市の建設会社・株式会社丸紅が共同開発。図面PDFから種別・寸法・数量の一覧表を自動生成するAIアプリで、ベテランに限られていた数量拾いを未経験の社員でも担える業務に,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000074.000091210.html,リリース日:2026-08-21