【2026年最新】経審(経営事項審査)とは?|点数・申請の流れ・費用・必要書類をわかりやすく解説

「経審とは何?」「公共工事を受注するには必ず受ける必要があるの?」「何点あれば入札に参加できる?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
経審とは「経営事項審査」の略称で、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が受けなければならない審査です。会社の経営規模や財務状況、技術力、社会性などを数値化し、総合評定値(P点)として評価します。国土交通省も、公共工事を直接請け負おうとする建設業許可業者が必ず受ける審査としています。
そこでこの記事では、経審の基本から、P点の仕組み、申請の流れ、必要書類、費用、有効期限、結果通知書の見方までわかりやすく解説します。2026年7月1日から施行された最新の改正内容についても紹介するので、これから経審を受ける方は参考にしてみてください。
目次
経審(経営事項審査)とは?
経審は、建設会社の経営規模や財務状況、技術力、社会性などを客観的に評価し、その結果は公共工事の入札参加資格審査などに活用されます。主な評価項目は以下の5つです。
- 完成工事高(X1)
- 経営規模(X2)
- 経営状況(Y)
- 技術力(Z)
- その他の審査項目・社会性等(W)
これらをもとに算出されるのが「総合評定値(P点)」です。ただし、経審を受けただけで公共工事の入札に参加できるわけではなく、発注機関ごとの入札参加資格審査も必要になります。
※総合評定値(P点)や評価項目の情報は後述
経審を受ける必要がある建設業者
経審を受ける必要があるのは、建設業許可を受けており、国や地方公共団体などが発注する公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者です。
一方、民間工事のみを請け負う場合や、公共工事でも元請業者から下請として工事を請け負う場合は、原則として経審を受ける必要はありません。つまり、すべての建設業者に経審が義務付けられているわけではなく、「公共工事を元請として受注したいか」が一つの判断基準になります。
「そもそも建設業許可とは?」を知りたい方は、以下の記事もご確認ください。
経審と入札参加資格審査の違い
経審と入札参加資格審査は、どちらも公共工事の入札に関係する審査ですが、目的や審査する内容が異なります。
| 比較項目 | 経審(経営事項審査) | 入札参加資格審査 |
| 主な目的 | 建設会社の経営力や技術力などを客観的に評価する | 発注機関が入札への参加資格を審査する |
| 審査内容 | 経営規模・経営状況・技術力・社会性など | 経審の結果や発注機関独自の基準など |
| 審査結果 | 総合評定値(P点)など | 入札参加資格や格付け・ランクなど |
| 申請先 | 許可行政庁など | 国・自治体など各発注機関 |
公共工事の入札に参加するには、基本的に経審を受けたうえで、入札を希望する発注機関の入札参加資格審査を受ける必要があります。
たとえば、東京都が発注する公共工事の入札に参加したい場合は、経審を受けるだけでなく、東京都が実施する入札参加資格審査への申請も必要です。つまり、経審は建設会社の「客観的な評価」を受けるための審査、入札参加資格審査は「希望する発注機関の入札に参加する資格」を得るための審査という位置づけになります。
経審を受けるメリット
経審を受ける最大の目的は、公共工事の入札参加につなげることです。また、自社の経営状況や技術力を客観的な数値で確認できるため、経営改善の判断材料としても活用できます。
ここでは、経審を受ける主なメリットを3つ紹介します。
公共工事を受注する機会を増やせる
経審を受け、発注機関の入札参加資格審査を通過することで、国や地方公共団体などが発注する公共工事の入札に参加できるようになります。
民間工事だけでなく公共工事にも受注先を広げられるため、売上機会の拡大や受注先の多様化につながる点がメリットです。
経営課題を把握して改善につなげられる
経審では、完成工事高や財務状況、技術力、社会性などが項目ごとに数値化されます。
どの項目が自社の強み・弱みなのかを把握しやすくなるため、財務体質の改善や有資格者の育成など、具体的な経営改善に取り組むきっかけになります。
取引先などに自社の経営力・技術力を示せる
経審を受けることで、自社の経営規模や財務状況、技術力などが客観的な数値として評価されます。
経審結果は、CIICの「経営事項審査結果の公表」サービスでも確認できるため、取引先などが企業の経営状況や施工能力を確認する際の判断材料となる場合があります。客観的な評価結果を示せることは、自社の信用力を伝える材料の一つになるでしょう。
経審の点数「総合評定値(P点)」とは
経審では、建設会社の経営規模や経営状況、技術力などを点数化し、最終的に「総合評定値(P点)」を算出します。P点は以下の5つの評価項目から構成され、それぞれの評点に一定の割合を掛けて算出されます。
| 評価項目 | 主な評価内容 | ウェイト |
| X1 | 完成工事高 | 25% |
| X2 | 自己資本額・利益額 | 15% |
| Y | 経営状況 | 20% |
| Z | 技術力・元請完成工事高 | 25% |
| W | その他の審査項目(社会性等) | 15% |
【計算式】
P=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W
各項目で何が評価されるのか、順番に見ていきましょう。
X1|完成工事高
X1は、業種ごとの完成工事高を評価する項目です。直前2年または3年の年間平均完成工事高をもとに評点が算出され、基本的には完成工事高が大きいほど評価も高くなります。
経審は建設業の業種ごとに審査されるため、どの業種でどれだけの完成工事高があるかがポイントになります。
X2|自己資本額・平均利益額
X2は、会社の経営規模を評価する項目です。自己資本額と平均利益額をもとに算出されます。
自己資本を充実させ、継続的に利益を確保することがX2の評価向上につながります。そのため、利益の確保と財務基盤の強化に取り組むことが重要です。
Y|経営状況
Yは、会社の財務状況を評価する項目です。財務諸表をもとに、負債への抵抗力や収益性、財務健全性などを複数の指標から分析します。
単純に売上が大きければ高得点になるわけではなく、利益率や自己資本比率、キャッシュフローなどを含めた経営の健全性が評価されます。
Z|技術力・元請完成工事高
Zは、建設会社の技術力を評価する項目です。主に、業種ごとの技術職員数と元請完成工事高をもとに算出されます。
施工管理技士などの有資格者を確保・育成することや、元請として工事を受注する実績を積み重ねることが、Z点の評価につながります。
W|その他の審査項目(社会性等)
Wは、会社の社会性や建設業への取り組みなどを評価する項目です。
建設業の営業年数や防災活動への貢献、法令遵守、建設業経理の状況、建設機械の保有状況、人材育成など幅広い項目が評価対象となります。
X1~Zとは異なり、企業の取り組みによって加点を目指せる項目が多いこともW点の特徴です。
経審の点数は何点あればいい?P点の見方
経審には「○点以上なら必ず入札できる」という全国共通の基準はありません。公共工事の入札では、P点だけでなく、発注機関ごとの入札参加資格や格付けなども確認する必要があります。
P点だけで入札できるかは決まらない
P点は、建設会社の経営力や技術力などを客観的に評価する指標ですが、P点を取得しただけで公共工事の入札に参加できるわけではありません。実際に入札へ参加するには、経審を受けたうえで、国や自治体など各発注機関の入札参加資格審査を受ける必要があります。
そのため、「P点が高い=すべての公共工事に入札できる」とは限らない点を理解しておきましょう。
発注機関ごとに格付け・ランクの基準が異なる
公共工事では、発注機関が建設業者をA・B・Cなどのランクに格付けし、参加できる工事の規模を分けている場合があります。
格付けには経審のP点が使われることがありますが、基準や評価方法は発注機関によって異なります。入札を希望する場合は、目標とする発注機関の格付け基準や入札参加資格を確認し、自社に必要なP点の目安を把握することが大切です。
結果通知書では業種ごとのP点を確認する
経審のP点は、土木一式工事や建築一式工事、電気工事、管工事など、審査を受けた建設業の業種ごとに算出されます。経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書を受け取ったら、自社が入札を希望する業種の「総合評定値(P)」を確認しましょう。
同じ会社でも業種によってP点は異なるため、入札したい工事の種類に対応するP点を確認することが重要です。
P点だけで決まらなくても経審を受ける必要がある理由
P点だけで入札参加や受注が決まるわけではありませんが、公共工事を発注者から直接請け負うには経審を受ける必要があります。
経審は「受ければ入札できる審査」ではなく、「公共工事の入札参加に進むために必要な審査」と考えるとわかりやすいでしょう。そのうえで、各発注機関の入札参加資格審査を受けるのが基本的な流れです。
経審のP点を上げる方法
経審のP点を上げるには、X1・X2・Y・Z・Wの各評価項目を意識して、継続的に経営改善へ取り組むことが重要です。
短期間で大幅に点数を上げることは難しいため、自社の経審結果を確認し、評価が低い項目や改善しやすい項目から対策を進めましょう。
完成工事高を安定させる
X1では、業種ごとの完成工事高が評価されます。そのため、P点を上げたい業種の工事を継続的に受注し、完成工事高を安定させることが重要です。
ただし、売上を増やすことだけを優先すると、利益率の低下や資金繰りの悪化につながる可能性があります。収益性とのバランスを考えながら受注を増やしましょう。
財務体質を改善する
X2やYの評価を高めるためには、会社の財務体質を改善することが重要です。
利益を確保して自己資本を増やすほか、借入金などの負債を適切に管理し、収益性やキャッシュフローを改善することがP点の向上につながります。
有資格の技術者を育成・確保する
Zでは、施工管理技士などの有資格者を含む技術職員数が評価されます。
社員の資格取得を支援して有資格者を増やすほか、必要な資格を持つ人材を採用することも有効です。技術者の育成・確保はすぐに実現できるものではないため、中長期的に取り組む必要があります。
W点の加点項目に取り組む
Wでは、人材育成や防災活動への貢献、建設機械の保有、建設業経理の状況など、さまざまな項目が評価されます。
自社の経営状況そのものを大きく変えなくても、対象となる制度や取り組みを導入することで加点につながる場合があります。まずは現在取得できていない加点項目を確認し、自社で対応しやすいものから検討するとよいでしょう。
【2026年7月改正】経審は何が変わった?
経審は制度改正が行われており、2026年7月1日以降の申請から新たな審査基準が適用されています(出典:国土交通省「経営事項審査の主な改正事項」)。
今回の改正では、主にW点(その他の審査項目・社会性等)の評価内容が見直されました。P点アップを目指す建設業者は、最新の加点項目や配点を確認しておきましょう。
| 主な変更点 | 改正内容 |
| 自主宣言制度 | 新たに加点対象として追加 |
| CCUS | 就業履歴蓄積に関する配点を変更 |
| 建設機械 | 加点対象となる機械を追加 |
| 社会保険 | 未加入による減点項目を削除 |
「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」が加点対象になった
2026年7月改正では、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」を行っている企業が新たにW点の加点対象となりました。
一定の要件を満たすことで5点が加点されるため、技能者の処遇改善や人材確保に取り組む建設会社は確認しておきたい項目です。
CCUSの就業履歴蓄積に関する配点が見直された
建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用した就業履歴の蓄積に関する配点も見直されました。
従来は、民間工事を含むすべての対象工事で措置を実施した場合は15点、すべての公共工事で実施した場合は10点でしたが、改正後はそれぞれ10点、5点に変更されています。
なお、CCUSの概要からチェックしたい方は、以下の記事で登録の方法やレベル判定について解説しています。
経審で評価される建設機械が追加された
W点の「建設機械の保有状況」では、新たに「不整地運搬車」と「アスファルト・フィニッシャ」が加点対象に追加されました。
対象となる建設機械を保有している企業は、経審申請時に加点対象となるか確認しておきましょう。
建設機械について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
社会保険加入に関する減点項目が削除された
これまでW点では、雇用保険・健康保険・厚生年金保険に未加入の場合、それぞれ減点される仕組みが設けられていました。2026年7月改正では、これらの社会保険加入状況に関する3つの減点項目が経審の審査項目から削除されました。
ただし、これは社会保険への加入義務そのものがなくなったという意味ではありません。法令上、加入義務がある事業者は、引き続き適切に社会保険へ加入する必要があります。
経審を申請する流れ
経審を受けるには、決算後の変更届から経営状況分析、経営規模等評価の申請など、いくつかの手続きが必要になります。基本的な流れは以下のとおりです。
| STEP | 手続き | 内容 |
| STEP1 | 決算変更届を提出 | 決算内容や工事実績などを許可行政庁へ届け出る |
| STEP2 | 経営状況分析を申請 | 登録経営状況分析機関に財務状況の分析を依頼する |
| STEP3 | 経営規模等評価を申請 | 完成工事高や技術力、社会性などの審査を受ける |
| STEP4 | 総合評定値を請求 | P点の算出を申請する |
| STEP5 | 結果通知書を受け取る | 経審の結果と業種ごとのP点を確認する |
| STEP6 | 入札参加資格審査を申請 | 入札を希望する発注機関へ申請する |
まず、事業年度終了後に決算変更届を提出し、その内容をもとに経営状況分析を受けます。その後、許可行政庁へ経営規模等評価を申請し、必要に応じて総合評定値(P点)を請求します。
結果通知書を受け取ったら、公共工事の入札を希望する国や自治体などへ入札参加資格審査を申請します。
手続きの順番や必要書類、申請時期は許可行政庁や発注機関によって異なる場合があるため、事前に確認して余裕を持って準備を進めましょう。
経審の申請に必要な書類
経審の申請では、会社の財務状況や工事実績、技術者の在籍状況などを確認するため、さまざまな書類の提出が必要です。主な必要書類は以下のとおりです。
| 分類 | 主な必要書類 |
| 申請書類 | 経営規模等評価申請書・総合評定値請求書 |
| 工事実績 | 工事種類別完成工事高・工事経歴書など |
| 財務関係 | 経営状況分析結果通知書・財務諸表など |
| 技術者関係 | 技術職員名簿・資格を証明する書類など |
| 社会性等 | W点の各評価項目を証明する書類など |
このほか、申請内容を確認するために、建設業許可通知書や契約書、請求書、社会保険関係の資料などの提示・提出を求められる場合があります。
必要書類は申請先の許可行政庁や申請内容によって異なるため、必ず最新の申請要領を確認したうえで準備しましょう。
(出典:東京都|都市整備課「経営事項審査 説明書、申請書類及び記載要領」)
経審にかかる費用
経審を受ける際は、「経営状況分析」「経営規模等評価」「総合評定値の請求」にそれぞれ費用がかかります。主な費用は以下のとおりです。
| 項目 | 費用 |
| 経営状況分析 | 登録経営状況分析機関によって異なる |
| 経営規模等評価 | 8,100円+2,300円×審査対象業種数 |
| 総合評定値の請求 | 400円+200円×審査対象業種数 |
たとえば、1業種について経営規模等評価を申請し、総合評定値を請求する場合、行政庁へ支払う手数料は合計11,000円です。これに加えて、登録経営状況分析機関へ支払う分析手数料が必要になります。
また、申請手続きを行政書士などの専門家へ依頼する場合は、別途報酬がかかります。申請する業種数や依頼範囲によって総額が変わるため、事前に確認しておきましょう。
経審の有効期間は1年7か月
経審の有効期間は、審査基準日から1年7か月です。結果通知書を受け取った日から1年7か月ではない点に注意しましょう。
一般的に、審査基準日は会社の決算日となります。経審の申請や結果通知には一定の期間がかかるため、実際に結果通知書を受け取ってから有効期限までの期間は1年7か月より短くなります。
公共工事を継続して元請として受注するためには、有効期間が切れないよう毎年経審を受けることが重要です。手続きに時間がかかることも考慮し、決算後は早めに申請準備を進めましょう。
経審の結果はどこで確認できる?
経審の結果は、「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」で確認できます。また、他社を含む経審結果は、一般財団法人建設業情報管理センター(CIIC)が運営する「経営事項審査結果の公表」サービスから検索できます。
主な検索方法は以下の2つです。
| 検索方法 | 内容 |
| 商号・名称検索 | 建設会社の会社名から検索する |
| 許可番号検索 | 建設業許可番号から検索する |
検索結果では、会社の基本情報のほか、業種ごとの完成工事高や技術職員数、X1・X2・Y・Z・Wの各評点、総合評定値(P点)などを確認できます。
自社のP点を確認するだけでなく、同じ地域や業種の建設会社と比較し、自社の強みや改善すべき項目を把握する際にも活用できます。
(出典:建設業情報管理センター(CIIC)「経営事項審査結果について」)
まとめ|経審は公共工事の入札参加に欠かせない審査
経審(経営事項審査)は、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が受ける必要のある審査です。経営規模や財務状況、技術力、社会性などが評価され、総合評定値(P点)が算出されます。
公共工事の入札参加を目指す場合は、経審を受けるだけでなく、発注機関ごとの入札参加資格審査も必要です。また、経審には有効期間があるため、継続して公共工事を受注する場合は毎年計画的に手続きを進める必要があります。
まずは自社のP点や各評価項目を確認し、必要に応じて財務体質の改善や技術者の育成、W点の加点につながる取り組みを進めてみてください。