西松建設ら4社、CO₂排出量を7割削減するアルカリ活性材料コンクリートの量産化技術を開発

西松建設は、宇都宮大学、JFEスチール株式会社、共和コンクリート工業株式会社との共同研究により、セメントを使わない低炭素コンクリート「アルカリ活性材料コンクリート(AAMコンクリート)」の量産化技術を開発したと発表しました。
実際のプラント設備を使った製造から施工までの一連の流れを検証し、実構造物への適用を通じてその実用性を確かめています。建設業界では脱炭素化に向けた材料開発が各社で進められており、今回の成果は、低炭素コンクリートの社会実装に向けた一つの前進となりそうです。
今後はJFEスチールと共和コンクリート工業を通じて、幅広い現場への採用を進めていく方針です。
製鉄副産物を活用した新素材
AAMコンクリートは、製鉄所から出る高炉スラグ微粉末を主な原料とし、アルカリ溶液と反応させて固める仕組みのコンクリートです。
一般的なコンクリートで使われる普通ポルトランドセメントを一切使用しない点が特徴で、製造時に発生する二酸化炭素の量を通常のコンクリートに比べて約7割抑えられます。
セメントの製造工程では原料の石灰石を高温で焼成する際に多くの二酸化炭素が排出されるため、これを使わない発想自体が排出削減につながる仕組みです。環境負荷の少ない建設材料として、これまでも研究者や建設会社から注目を集めてきました。
量産化を阻んでいた粘性の壁
一方で、これまでのAAMコンクリートには実用化を難しくする弱点もありました。粘り気が強く、練り上がってから10分から20分ほどで流動性が落ちてしまうため、製造拠点から施工現場までの運搬時間や打ち込み作業に大きな制約が生じていたのです。
運搬に時間をかけすぎると硬化が進み、型枠に流し込む段階で作業がうまく進まなくなるおそれもありました。また、既存の実機混錬プラントで製造した場合に設備へどのような影響が出るのかも、十分に検証されていませんでした。
実機プラントでの製造条件を確立
今回、西松建設を中心とする研究チームは、原料の投入方法や練り混ぜの条件、機械の洗浄手順などを一つひとつ見直しました。細かな作業手順を整理し直すことで、粘度の高いAAMコンクリートでも既存のプラントを傷めることなく扱えるようになったといいます。
その結果、既存設備への負担を抑えながら安全に製造・施工できる量産化技術の確立にこぎつけています。従来は実験室規模にとどまっていた技術を、実際の生産現場で通用する水準まで引き上げた点が大きな進展といえます。
2つの現場で実証工事を実施
開発した技術は、JFEスチール西日本製鉄所(倉敷地区)の基礎工事と、同社スチール研究所(千葉地区)の側溝工事という2つの実際の工事に適用されました。
いずれも通常のコンクリートと変わらない手順で製造から運搬、打ち込みまでを実施し、成形のしやすさや施工のしやすさが従来品と同等であることを確認できたといいます。多様な部材形状や用途にも対応できる可能性を、実物の構造物で示した形です。
2つの現場での施工体制
西日本製鉄所の基礎工事では、西松建設が施工を担当し、ランデス株式会社が製造に協力しました。
- 施工者:西松建設株式会社
- 製造協力:ランデス株式会社
- AAMコンクリート使用量:プレキャスト床版10.8立方メートル、現場打設6.0立方メートル
- CO₂削減量:約2.6トン
スチール研究所の側溝工事は次のような体制で進められました。
- 施工者:JFEシビル株式会社
- プレキャスト製造協力:共和コンクリート工業株式会社
- AAMコンクリート使用量:浸透側溝10個分、1.8立方メートル
カーボンニュートラルへの貢献目指す
西松建設は今後もエコプロダクトの開発に力を入れ、社会全体の二酸化炭素排出量削減に貢献していく考えを示しています。
今回確立された量産化技術は、低炭素コンクリートを一部の実験的な使用にとどめず、日常的な建設現場へ広げていくための土台になりそうです。持続可能な社会づくりに向けた取り組みは、今後さらに加速していくとみられます。
出典情報など
出典:西松建設株式会社,アルカリ活性材料コンクリートの実用化に向けた量産化技術を開発 ~実機プラントでの製造による低炭素コンクリートの社会実装に貢献~,https://www.nishimatsu.co.jp/news/2026/post_165.html,リリース日:2026-07-01