清水建設、国内建設業界に先駆けてAIロボットによる現場巡回と塗装作業の実証を開始

20260709_AIロボットによる建設現場巡回と塗装作業

清水建設は、建設現場での人手不足を補い、生産性と安全性を高めることを狙って、AIロボットを現場に取り入れる取り組みを始めました。

人に代わって歩きながら巡回するロボットや、塗装作業をこなすロボットアームの実用化を目指し、本格的な実証実験に踏み出しています。

今後の労働力不足への懸念が強まる中、現場作業を支える新たな担い手として期待が寄せられています。少子高齢化が進む建設業界では若手の入職者が伸び悩んでおり、人手による作業が多い現場でAIロボットを活用することで、生産性や安全性の向上が期待されています。

フィジカルAIとは何か

今回の取り組みの土台となっているのが「フィジカルAI」と呼ばれる技術です。これはカメラやセンサーを通じて現実の状況を読み取り、その情報をもとにロボットや機械を柔軟に動かす仕組みを指します。

中でも注目されているのが、変化し続ける環境に合わせながら、実際に体を動かして作業をこなせるAIロボットです。センサーが捉えた情報をAIが解釈し、状況に応じて動作を調整できる点が従来の機械との大きな違いといえます。

汎用機としての可能性

これまで建設現場で使われてきたロボットは、決められた動きしかできない専用機がほとんどでした。そのため作業ごとに別々の機械を用意する必要があり、導入コストや運用の手間が課題となっていました。

一方でAIロボットが実用化されれば、1台で複数の作業に対応できる汎用機として活躍できる見込みです。日々状況が変わり、人の手による作業が多い建設現場との相性の良さから、清水建設は特にヒューマノイド型ロボットに大きな期待を寄せています。

現場巡回の実証結果

同社が施工を進める超高層複合施設「Torch Tower」の建設現場では、カメラを手に持ったヒューマノイドロボットが自律的に歩行する巡回実験がすでに行われました。

ロボットは秒速1.0メートルというペースで、あらかじめ決めたルートを進みながら、その場の状況を感知して判断する様子を見せています。

撮影した映像は、大規模言語モデルを活用したAI技術によって解析する計画で、これにより巡回といった管理業務の効率化を図りたい考えです。

塗装作業も自動化へ

巡回以外にも、作業者の動きを学習させたロボットアームによる塗装作業の実証が進められています。人の熟練した動作をロボットに覚えさせることで、単純な自動化にとどまらない、精度の高い作業の実現を目指す試みです。

塗装のようにムラなく仕上げる技術が求められる作業でも、AIによる学習を通じて安定した品質を保てるかどうかが焦点となっています。今後はロボットアームによる塗装作業など、建設現場におけるフィジカルAIの適用範囲を広げていく考えです。

建設業特化のAI基盤づくり

こうしたAIロボットを現場で活かすには、データの収集や分析、シミュレーション、AIモデルの構築、そして実証試験というサイクルを継続的に回す仕組みが欠かせません。

清水建設はこの一連の流れを、建設業に特化した基盤として整備を進めています。この過程で熟練技能者の動きをデータ化しアーカイブすることは、高齢化が進む業界において、貴重な技能を次の世代へつなぐ手段としても注目されています。

他社連携で実用化を加速

清水建設は今後、こうした基盤を土台にロボット活用の範囲を広げていく方針です。労働力不足という建設業界共通の課題に向き合うため、ソニーをはじめとする複数の企業から技術協力を受けながら、業界に先駆けてAIロボットの実用化を進めていく考えを示しています。

現場で培った知見を積み重ねながら、実際の作業への適用範囲を段階的に広げていく方針です。他業種の技術力を取り込むことで、建設業単独では実現が難しかったロボット開発のスピードを高めたい狙いもあるとみられます。

出典情報など

出典:清水建設株式会社,「AIロボット」の研究開発を本格化~国内建設業界の先陣を切ってAIロボットの実証を開始~,https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2026/2026027.html,リリース日:2026-07-08