熊谷組、EARTHBRAINの生成AI安全支援アプリ導入、過去の事故事例で現場管理を高度化

株式会社熊谷組は、株式会社EARTHBRAINが手がける「安全支援アプリ」を導入し、同社が施工を担う建設現場での運用を開始しました。
生成AIを使ってこれまでの事故・災害事例を活用し、現場の安全管理や若手技術者への教育を、より実践に即したものへと高める狙いがあります。単に新しいツールを取り入れるだけでなく、自社で蓄積してきた経験を現場に還元する取り組みとして注目されます。
AIで安全管理を高度化
建設現場における事故・災害の防止は業界全体にとって長年の重要課題であり、今回の運用開始はその解決に向けた一つの試みとして位置づけられます。
安全管理という目に見えにくい業務にAIを取り入れることで、これまで属人化しがちだった判断の基準を、現場全体で共有しやすくする効果も期待されています。
若手技術者不足という課題
建設業界では技能労働者の高齢化や担い手不足が進み、施工の技術だけでなく、安全管理に関するノウハウの継承も難しい課題となっています。とりわけ経験の浅い若手が現場管理を任される場面が増える中、現場写真や作業状況から危険の芽を見つけ出す力をどう育てるかが問われてきました。
過去の事故・災害事例はこれまでも安全部門から共有されてきたものの、日々の安全活動や教育の現場では十分に生かしきれていない実情もあったといいます。
こうした背景から、蓄積された知見を日常の業務に取り込みやすくする仕組みが求められていました。ベテラン技術者が感覚的に培ってきた危険への気づきを、若手にもわかりやすい形で伝える手段が必要とされてきたのです。
写真から危険を分析
安全支援アプリは、スマートフォンやタブレットで撮影した現場写真をアップロードすると、AIがそこに潜むリスクを読み取り、知らせてくれるWebアプリケーションです。特別な操作を覚える必要はなく、写真を送るだけで、主に次のような情報が示される仕組みになっています。
- 安全指摘事項:現場に潜む危険箇所
- 対策案:危険を避けるための具体的な行動
- 過去の事故事例:似た状況で起きた事故の記録
- 関連法令:指摘の根拠となる労働安全衛生法などの規定
現場の職員はこうした情報をもとに危険要因を客観的に把握でき、危険予知活動や安全ミーティング、若手への指導、報告書の作成など、さまざまな場面で活用できます。
継続しやすい安全管理を実現
写真という誰もが扱いやすい手段を入り口にすることで、経験の差にかかわらず一定水準の気づきを得られる点も特徴といえるでしょう。
忙しい現場作業の合間でも短時間で確認できる手軽さは、日々の安全管理を継続していくうえで大きな助けになりそうです。指摘内容が具体的な法令や過去事例とともに示されるため、指摘を受けた側も納得感を持って対策に取り組みやすくなる点も見逃せません。
熊谷組独自データの活用
今回の取り組みで特徴的なのは、熊谷組がこれまでに蓄積してきた事故・災害事例をデータベース化し、アプリと連携させた点です。
これにより、一般的な法令情報や公開されている事例に加え、同社の現場で実際に起きた事故・災害を踏まえた安全指摘や対策案を確認できるようになりました。
自社の現場特性や施工実績に即した内容だからこそ、より具体的で実践的な対策の検討につながります。また、これまで記録として保管されるだけだった事例を、日々の安全活動や教育に生かせる資産として活用し直す試みでもあり、社内に眠っていた知見を現場に還元する取り組みともいえます。
知見を現場に還元
この連携により、現場では安全意識の底上げやリスク要因の早期把握が期待され、事故・災害の未然防止にもつながっていくと見込まれます。
社内に散らばっていた過去の記録を一つのデータベースとして整理し直したことで、必要な情報にすぐたどり着ける環境が整った点も見逃せないポイントです。過去の失敗を風化させず、次の世代に伝える仕組みとして機能していく可能性もありそうです。
今後の運用方針
熊谷組は今後、現場での利用を重ねながら職員からの意見や活用状況を集め、運用方法やデータ連携の内容を継続的に改善していく方針です。事故・災害事例の更新を続けるとともに、独自の安全ルールや管理上の知見も反映し、より実務に即した安全支援の仕組みへと発展させていく考えです。
生成AIとこれまで積み上げてきた安全管理データを組み合わせることで、現場での危険の見落としを防ぎ、安全教育の充実と管理業務の効率化を進め、事故・災害の未然防止に継続して取り組んでいく方針です。
出典情報など
出典:株式会社熊谷組,生成AIを活用した「安全支援アプリ」の運用を開始―過去の事故・災害事例を活用し、建設現場の安全管理と若手技術者教育を高度化―,https://www.kumagaigumi.co.jp/news/2026/pr-20260701-004275.html,リリース日:2026-07-01