竹中工務店と爽美、技能工の手書き図をAIが解析しボード加工用CADを自動生成するシステム開発

竹中工務店(社長:丁野成人氏)と爽美(大阪市北区、社長:小野田拓也氏)は、建築内装の仕上げ材であるボード材を加工する自動加工機「i-Bow2」向けに、生成AIとクラウド技術を組み合わせた新しい施工支援システムを共同で開発しました。
クラウド基盤「i-Bow Cloud」の上に、加工用のCAD図を自動でつくるアプリ「AI i-Bow」を組み込んだもので、ボード加工にまつわる一連の作業をデジタルに置き換える仕組みです。
目次
手書き図をAIが自動でCAD化
現場の技能工がボード材加工のために描く手書きの図を、そのままスマートフォンなどで撮影するだけで作業が始まります。撮影した画像はクラウドへ送られ、AIが内容を解析して加工用のCADデータへ自動的に変換します。
できあがったCADデータは、独自に開発したCAM技術を通じて「i-Bow2」の動作指示へと変換され、実際のボード材加工へつながっていきます。従来、技能工自身が行っていたCAD作図による指示作業が不要になり、作業負担の軽減と生産性の向上、省人化を後押しします。
開発の背景と新ワークフロー
両社は2022年、ボード材加工アシスト機「i-Bow2」を開発し、指先で直感的に作図できる専用アプリ「YUBI CAD」を提供してきました。ただし加工データの作成には、タブレット上での専用CAD操作が必要で、特に熟練の技能工や、鉄骨造建物で求められる複雑な形状を扱う場面では、操作の習熟度や作業負荷が普及の壁になっていました。
今回、技能工が長年慣れ親しんできた「手書き図」を出発点に、AIが加工用CADデータを自動でつくり出す新しいワークフローを構築し、CAD操作の負担を減らすことで現場の生産性を高めています。
新システムが備える4つの機能
新システムには、現場での使いやすさを意識した工夫が盛り込まれています。順に紹介します。
撮影だけでデータを自動生成
技能工が描いた手書き図をスマートフォンなどで撮影すると、AIが画像を読み取り、加工用のCADデータを自動でつくり出します。
CAD操作に慣れていない作業者でも、加工データを手軽に用意できるようになりました。
クラウドで画像とデータを一元管理
撮影した手書き図の画像やAIが生成したデータは、「i-Bow Cloud」上にまとめて保存され、関係者の間で即座に共有できます。
情報の共有から加工までを途切れなくつなげることで、現場全体の作業効率を高める土台としての役割が見込まれます。
従来アプリとの併用も可能
これまで通り、専用アプリ「YUBI CAD」を使った手作業での作図も引き続き利用できます。
AIが生成したCADデータをもとに編集を加え、新たな加工データをつくることも可能です。あわせて、同アプリの視認性と操作性を高めるUI/UXの見直しも行われました。
技能工の表現慣習に対応した設計
AIは、技能工の間で長く使われてきた独特な手書き図の表現方法を踏まえて解析するよう設計されています。
従来の慣習や記号の意味合いを尊重しつつ、一部の記号や寸法の書き方を統一することで、より精度の高い解析とデータ生成を実現しました。
関東圏の現場で導入開始
本システムは2025年9月、株式会社オクジュー(社長:熊本辰視氏)により関東圏の作業所で初めて導入されました。
すでに関東圏での導入が進んでおり、今後は適用範囲をさらに広げながら、内装工事におけるDXの推進を加速させたい考えです。
近畿圏でのレンタルと大規模展開を計画
「i-Bow2」のレンタルは、爽美が2026年9月から近畿圏で順次開始する予定です。さらに2027年6月からは、大規模現場に数十台規模のi-Bowシステムを配置した加工ステーションの展開も計画されています。
両社は現場の課題解決に必要な技術領域を横断的に取り込みながら、建設現場の生産性向上と省人化への貢献を目指します。
将来的には、現場の情報から人員配置までを最適化して運用する「現場共有クラウド型施工プラットフォーム」への発展も見据えており、必要な技術を柔軟に連結させることで、効率化と品質向上を支える施工基盤づくりを進めていく方針です。
出典情報など
出典:株式会社竹中工務店,技能工の手書き図をAIで読み解くボード材自動加工システムを開発~生成AIとクラウドを統合し、ボード加工の作図・共有・加工連携をデジタル化~,https://www.takenaka.co.jp/news/2026/06/06/,リリース日:2026-06-30