建設業でもクラウド型の勤怠管理は当たり前になる?活用のポイントを解説
建設業界では、残業規制が施行されたことも影響し、勤怠管理システムの導入が急速に進んでいる状況です。管理者からすれば、従業員の勤怠管理が複雑になりがちであることから、クラウド型の勤怠管理システムが活用しやすいといえるでしょう。
そこで、本記事では、クラウド型勤怠管理システムの概要や導入するメリット、選び方のポイントについてみていきましょう。
目次
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クラウド型の勤怠管理システムやツールは、インターネット環境さえあれば、どこからでも打刻を行うことができます。リアルタイムでの打刻や直接報告が可能となるため、管理者と作業者の負担を軽減することが可能となりました。
かつて建設業では、作業者の退勤時間を厳密に管理するという方法は浸透していませんでした。しかし、現在は、現場単位で必ず管理者が勤怠管理を行う必要があります。残業に関しては上限規制があり、仮に抵触してしまった場合には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。
そのため、スマートフォンやタブレットなどからアクセスできる勤怠管理システムに注目が集まっている状況です。また、選択するツールによっては、個人ごとの労働時間の集計が自動されます。そのため、労働時間の分析の分析や報酬の支払いも効率化できる点はメリットだといえるでしょう。
なぜ建設業に勤怠管理システムが必要なのか
建設業において、勤怠管理システムやツール、アプリが必要になる理由は大きく分けて以下のようになります。
- 直行直帰の就業形態による時間管理が難しい
- 労務管理を厳格に行う必要がある
- 勤怠管理に関しても業務効率化が必須
建設業界では、生産性の向上に加えて、労働環境の改善が求められています。週休2日制の推進や残業の上限規制の適用は、労働環境の改善と業界イメージの向上を目指す重要な取り組みです。
そのうえで、現場単位で働く人々の正確な勤務時間の把握が必須となり、公共工事においては週休2日制も導入率が90%を超えている状況になりました。一方で、建設業では労働人口が減少したうえで、人材の適正配置や労働時間を管理しながら、これまでと同等かそれ以上の生産性を求められている状況にあります。
そういった背景から勤怠管理システムが必要とされているといえるでしょう。
クラウド型勤怠管理システムを導入する3つのメリット
クラウド型勤怠管理システムを導入するメリットは以下のとおりです。
- 直行直帰の就業スタイルでも管理がしやすい
- 非常に人数の多い現場や様々な勤務スタイルでも対応しやすい
- リアルタイムでの労働時間把握がしやすい
システムによって、自動的に勤怠管理ができることに加え、スマホからアクセスできるため、事務所への移動時間や紙での管理による手間を削減できます。クラウド型の勤怠管理システムと組み合わせた日報を作成するツールやシステムと連携できれば、より効率化できるでしょう。
また、クラウド型の勤怠管理システムでは、シフト制や人数の多い現場でも問題なく活用できるため、管理者のシフト作成や労働時間の集計を行う手間を省くことも可能です。
クラウド型の勤怠管理システムを選定する場合のポイント
クラウド型の勤怠管理システムを選択する場合は、以下のポイントを意識しましょう。
- スマホからアクセスしやすいか(GPS機能による勤怠時間の不正防止)
- シフト制や突発作業に対応できるか
- 他のシステムやツール、アプリとの連携ができるか
- 現場で活用できるリソースやスキルはあるか
- 承認機能があるか
勤怠管理や打刻機能に特化したシステムやツールで良いのか、工数や日報まで作成できるのかなど、企業活動に必要な機能の選定からスタートすることが大切です。経営層のみで決めるのではなく、現場担当者の声も反映したうえでクラウド型の勤怠管理システムを選定しましょう。
また、複数のシステムやツール、アプリを組み合わせる方法も検討できます。その場合は、「どのような場面でどのように活用するのか」「目的として何につなげたいのか」といった具体的な運用内容を決めておくことも大切です。
建設業におけるクラウド型の勤怠管理システムの活用事例
ここでは、建設業におけるクラウド型の勤怠管理システムの活用事例についてみていきます。従来の紙やエクセルでの管理から、スマートフォンやタブレットを活用した労務管理によって「何がどのように変化するのか」を知っておきましょう。
紙からクラウド型の勤怠管理へ
ある建設会社では、2019年の段階で他業界に適用された残業時間の上限規制を受けて、早い段階でクラウド型の勤怠管理に切り替えています。
過去の勤怠管理方法は、出勤・退勤時刻を紙に記述したうえで、エクセルへ転記するという方法でした。しかし、実際に労働時間があっているかどうかを把握しにくく、仮に間違っていた場合には修正する手間や時間もかかるという状態でした。
しかし、給与システムと関連性の高い勤怠管理システムを導入したことで、労働時間の可視化に加え、適切な人材配置も実現可能となっています。集計作業や管理作業の時間は半分程度まで抑えられていることから、生産性の向上も実現できた事例だといえるでしょう。
Excel管理で問題が発生。その後、クラウド型勤怠管理に
ある建設会社では、Excelでの勤怠管理で問題が生じたことをきっかけにクラウド型勤怠管理システムを導入しています。Excelによる勤怠管理では、次のような問題が生じていました。
- まとまった記述による実際の労働時間との乖離
- 法改正への対応ができない(知識として規制内容を知っていても個人の労働時間把握に時間が掛かり過ぎる)
- 客観的な情報共有ができない
課題をふまえて、クラウド型勤怠管理システムを導入したことで、業務の効率化に成功しています。導入後はリアルタイムの労働時間把握が可能となり、給与ソフトとの連携もスムーズに行われ、社員のモチベーションも改善されました。
まとめ
建設業界では、残業規制の影響によって、クラウド型勤怠管理システムの導入が進んでいる状況です。スマホから打刻できるため、リアルタイムの労働時間管理や集計生産性向上、自動集計が可能となります。
また、システム選定時には、GPS機能や他システムとの連携、現場リソースの活用などを検討しましょう。