エヌビディアは何の会社?AIを支える技術に注目|建設業の事例も

「エヌビディア(NVIDIA)」についてピックアップします。時価総額が全米3位になったことが話題になり、高性能GPUの開発が注目されています。本記事ではエヌビディアの概要や強み、建設業での活用事例についてご紹介します。

株価急騰の「エヌビディア(NVIDIA)」とは|何の会社?

ここでは、エヌビディア(NVIDIA)の概要や事業内容について簡単にご紹介します。

時価総額が全米3位に

https://www.nvidia.com/ja-jp/

エヌビディア(NVIDIA)とは、人工知能(AI)向けの大手半導体メーカーです。

2024年2月、エヌビディア(NVIDIA)の時価総額が2兆ドルを超えました。これはアメリカ企業で史上3番目の快挙で、Googleの親会社であるアルファベットをも上回っています。

1兆ドルから2兆ドルに増加したスピードについても、突出しています。Apple社やMicrosoft社は2年以上掛かったのに対して、エヌビディアは約1年で達成しました。今後、AIの普及に伴ってさらに成長することが期待されています。

エヌビディアの事業内容

エヌビディア(NVIDIA)は、主にGPU(グラフィックスプロセッサユニット)を開発している企業です。1993年に創立され、最初はゲーム用のリアルタイムGPUを開発していました。

その後、GPUが一般的な計算処理にも応用できることを発見し、現在に繋がっています。GPUは、AI開発やデジタルツインといった分野で広く活用されています。

またエヌビディアは、ファブレスメーカーとしても知られています。これは「工場を持たない」ことが特徴で、工場建設費を削減しながら優れたアイディアが実現できるのが強みです。

GPUとは|CPUとの違い

エヌビディアでは「GPU」を開発していますが、ここでCPUとの違いや特徴について整理しておきます。

種類機能用途
CPU汎用的な処理、複雑な演算事務作業
GPU画像処理、並列処理、単純な演算ゲーム開発、建築設計、AI

まず「CPU」とは、中央演算処理装置(Central Processing Unit)のことを指します。「頭脳」として一般的なPCに搭載されており、複雑な計算処理を行って各パーツに指令を送るのが役割です。

CPUは、高性能なタイプの方が処理速度が速くなります。主なCPUメーカーは「Intel」と「AMD」で、シェアのほとんどを独占しています。代表的な製品としては「Intel Core i7」、「AMD Ryzen 5」といった製品が有名です。

一方で「GPU」とは、画像処理装置(Graphics Processing Unit)のことを指します。主に画像や映像を処理するために機能し、ビデオゲーム等の分野で活用されてきました。しかし最近では、ビッグデータの処理といったAI開発にも応用されています。

CPUに比べて複雑な演算は苦手ですが、複数のタスクを並列処理する能力が優れているのが特徴です。AIのディープラーニングやVRでは膨大な単純計算をする必要があるため、GPUが用いられています。

主なGPUメーカーは、「NVIDIA」と「AMD」です。代表的な製品としては、NVIDIAの「GeForce」やAMDの「Radeon」が挙げられます。

エヌビディア(NVIDIA)は何がすごい?

ここでは、エヌビディアの技術が貢献している事例についてご紹介します。技術革新の裏にはエヌビディアのGPUが搭載されていることが多く、特にAI分野では不可欠となりつつあります。

ディープラーニング・AI(人工知能)

https://www.nvidia.com/ja-jp/data-center/h100/

Chat GPTなど「生成AI」の開発では、膨大な量のデータ処理が必要です。エヌビディアのGPUは、AIを開発するデータセンターで活用されています。

エヌビディアが開発しているGPUは、AI半導体市場で圧倒的なシェアを誇っています。2022年に発表した「H100 Tensor Core GPU」は、AIに向けた演算処理能力が高いのが特徴です。現在エヌビディアのGPUは、世界のAI向け半導体のシェア8割を占めています。

自動運転技術への貢献

https://www.nvidia.com/ja-jp/self-driving-cars/

GPUは、自動運転の分野でも活用されています。車載センサーで生成される大量のデータを処理して対応する必要があり、安全で高性能な自動運転システムの開発に貢献しています。

日本では高齢運転者の問題やタクシー業界の人手不足といった問題から、自動運転の必要性が高まっています。

エヌビディア(NVIDIA)の導入事例|建設業

ここでは、建設業でエヌビディアが導入されている事例をご紹介します。

コマツ|建設機械

建設機械大手のコマツは、エヌビディアと協業でAIを導入しています。具体的には3D画像を収集した地形データの作成や、GPUで認識した人や建機の可視化に役立てられています。

コマツの建機にAIが搭載されることで建機の周囲360°映像が提供可能となり、接触や衝突などの事故を防げます。将来的には、建設現場や採掘現場の高解像度レンダリングや仮想シミュレーションにも利用される予定です。

東急建設|BIMとCIMに活用

https://resources.nvidia.com/ja-jp-grid-case-studies/aec-tokyu-cnst-success-story

東急建設では、BIMの基盤としてエヌビディアの技術を導入しています。BIMでは大量の3Dデータを扱うため、GPUを搭載した環境が必要です。

「NVIDIA GRID」を導入したことで、高性能ではない標準的なPCでもBIM利用が可能になりました。今後、BIMとCIMを融合させた革新的な手法(UiM)への応用も検討されています。

NTT PC Com|VDIクラウド for デジタルツイン

https://www.nttpc.co.jp/lp/vdicloud/

NTT PC Comでは、建築業・製造業向け3Dモデルプラットフォームの「VDIクラウド for デジタルツイン」を提供しています。これは、BIM / CIMCAD / CAM、CAEをクラウド上で共同作業できるサービスです。

https://www.nttpc.co.jp/lp/vdicloud/

従来は、高性能マシンでしか作業できないのがデメリットでした。しかしエヌビディアのGPU計算環境を導入したことで、クラウド上で3Dモデルやデジタルツインが活用できるようになりました。在宅勤務や出張先、建築/生産現場からでもBIMシミュレーションが実行できて便利です。

まとめ

エヌビディアのGPUは、AIの普及により需要が高まっています。建設業でもBIMのスムーズな作動には欠かせないものになっており、さらなる活躍が期待されています。