建設DXをリードする清水建設、デジタルツイン活用事例を一挙ご紹介|㈱キャパ メディア連携企画

リアルなものづくりの知恵と先端デジタル技術により、ものづくりをデジタルで行い、リアル空間とデジタル空間の両方でサービスを提供する建設会社。清水建設はこのような会社を「デジタルゼネコン」と呼び、将来目指すゼネコン像として位置づけてきました。
この記事では清水建設が行ってきた、デジタルツインを活用した3つの事例についてご紹介します。

ミチノテラス豊洲

豊洲エリアは、「国土交通省スマートシティ先行モデルプロジェクト」と「スマート東京の実現に向けた先行実施エリアプロジェクト」に選定されています。また清水建設は、「豊洲スマートシティ連絡会」「豊洲スマートシティ推進協議会」の幹事企業として、まちの課題解決に向けたさまざまな取り組みを進めています。
清水建設がスマートシティを実装する拠点として、2022年4月にホテル、オフィス、都市型道の駅が一体となった大規模複合施設「ミチノテラス豊洲」がオープンしました。ここでは産官学と連携しながら、民間主導でのまちの課題解決に向けた取り組みを進めています。

どのようにデジタルツインを活用するか

この巨大な施設では建築のBIMデータとともに土木的な基礎インフラをBIMデータなどのデジタルデータとして融合させており、都市全体でデジタルツインを行っています。
こうしてバーチャル空間に構築したデジタルツインに、カメラやセンサー群が収集した交通や人流、物流、エネルギー、環境等の動的なデータをリアルタイムに反映させます。そうしてバーチャル空間上にフィジカル空間とリンクした動的な仮想モデルを構築します。このようにしてできた動的な仮想モデルでシミュレーションを行うことで施設運営や次世代型モビリティサービス等の効果検証を行います。その結果をもとに施設の利便性を向上させ、新規サービス事業開発を加速していきます。
同じ要領で、シミュレーションの結果を踏まえて実行した変更点のフィードバックを得ることも容易なのでまち全体がより快適で住みやすく生まれ変わっていくことが期待されます。

動的なデータの例

デジタルツインに反映させる動的なモニタリングデータには次のようなものがあります。

・監視カメラ映像のAI解析
敷地内外に設置している監視カメラの映像を利用し、建物周辺の車の流れや共用部エリアの人の流れを解析します。そしてリアルタイムな車の進行方向、通行量、車種情報、そして歩行者の進行方向、通行量などを取得しデータを蓄積します。蓄積されたデータを基に、混雑状況の予測や高潮や地震といった災害時のシミュレーションを行います。さらにマルシェなどのイベント開催時には、出展者に混雑状況や集客予測などの情報を提供したりすることも可能です。

・カメラの映像で人流解析(ヒートマップ)
監視カメラで認識された人の滞在時間や回数を画面上にヒートマップで表示し、人流を見える化します。イベント開催時には、会場全体の効果的な出店の配置計画を立てることが可能となります。出展者は売上予測や仕入量、商品補充のタイミングなどの検討に活用することもできます。

・電車・バスの運行情報
「ミチノテラス豊洲」は東京BRTの停留所であり、羽田空港・成田空港とも行き来する高速バスターミナルにもなっており、ゆりかもめ市場前駅とも直結してます。運行情報と上記の人の流れを組み合わせることで利用者の分析や時間帯に応じた人流の分析を行うことができます。

このほかにも電子決済の情報や天気予報などのデータが利用されています。

プラントエンジニアリング「Growing Factory」

Growing Factory(グローイングファクトリー)は、工場建設向けのエンジニアリング事業の一環です。
初期設計段階から運用段階に至るまで、デジタルツインを継続的に活用しながら施設価値の最適化を図る新たなエンジニアリングサービスです。*2

工場の設計段階だけでなく、工場稼働後もデジタルツインを継続的に活用することで、実際の稼働データと設計段階の検証データを比較・検討して運用の改善を図ります。目標である「時代の変化に適応し、10年後も成長し続ける工場」を実現するためのサポートをしています。

工場建設が抱える課題と概要

近年の工場建設においては、労働力不足や働き方改革を背景に、生産ラインの自動化・省人化が課題となっています。それだけでなく、脱炭素化の推進を目的に、省エネルギー化やカーボンニュートラルへの対応を重視する傾向にあります。このような多様なニーズに対応するためには、将来の市場環境の変化を見定めつつ、限られた予算の中で費用対効果を最大化する施設計画を立案することが重要です。しかしその作業には膨大な時間と手間を要してきました。

設計段階のサポート

工場の設計段階から、独自に開発した生産シミュレーターと3Dプラントモデルを連携し、バーチャル空間にプラントモデルのデジタルツインを構築します。建設した複数の工場プランに対して稼働シミュレーションを行います。イニシャルコスト、ランニングコスト、品目別生産能力などの検証を行い、短時間で最適な施設計画モデルを抽出し、理想のプラン提案を行います。提案に基づいて全体構想を確定させた後、工場内の生産・物流ラインの自動化・省人化、働きやすい環境作りなどのオプション機能の検討を行います。このシミュレーション結果に基づいて製造設備や搬送機器の最適な組み合わせを導き出し、これをもとに工場の建設を行います。

運用段階のサポート

工場稼働後は、実際の稼働データに基づいて、生産ラインのボトルネックやライン稼働率、構内物流をデジタルツインで可視化します。そうして市場環境の変化も踏まえながら改善策の検討・実践、工場の稼働率向上に継続的に取り組んでいきます。工場の電力使用データと過去の実績データをデジタルツインで比較検証することで、エネルギーの使用状況を解析し、省エネルギー化にも取り組みます。加えて、工場の立地に適した創エネルギー設備の導入やグリーン電力の活用も状況に応じて検討し、カーボンニュートラルな工場を実現します。
 

実例

ヤマサ醤油株式会社のHACCP対応の食品工場である成田工場は「Growing Factory」で建設されました。厳しい安全基準に達するために、生産設備を主体に空調、排水、ユーティリティ、建築など様々な要素を勘案することが必要です。それぞれの要素に適切な機能、役割をバランスよく配分することで、機能の重複が避けられ、高性能でコストパフォーマンスに優れた工場が実現されました。
また、オプションの機能として、多品目製品の製造出荷量シミュレーションとレシピ解析から、製造の機器・ライン能力、ライン数、タンク容量などの細かいところの最適なスペックも一つ一つ決定していきました。

シミズ・スマート・トンネル

清水建設はICT、IoT、AIなどの最新技術を活用した次世代型トンネル構築システム「シミズ・スマート・トンネル」の開発を行いました。

「シミズ・スマート・トンネル」は、トンネル建設工事の従事者や建設機械、作業環境、建設地周辺の自然環境などのあらゆる情報を集約し、AI解析に基づくガイダンス情報をリアルタイムに現場へフィードバックすることで、トンネル現場の施工における生産性と安全性の向上を目指す、デジタルツイン統合管理システムです。*3

「シミズ・スマート・トンネル」に使われた技術

この事業に使われている技術を一部ご紹介します。

続きは株式会社キャパ オウンドメディア「建設DXをリードする清水建設、デジタルツイン活用事例を一挙ご紹介」にてお読みいただけれます。