「クリアソン新宿」から学ぶ建設DXを実行するマインド【後半】|変化に人を巻き込むには

本企画では、クリアソン新宿の選手兼株式会社Criacaoの取締役COO  剣持 雅俊 氏の体験談からDXに挑戦する建設プレイヤーに求められるマインドをお届けしています。

後編では、剣持氏がこれまでに築き上げたパートナー企業や日本ブラインドサッカー協会との共創関係から変化に人を巻き込むために重要なことを伺いました。

▶前編:「クリアソン新宿」から学ぶ建設DXを実行するマインド【前半】|アップデートを続ける人

クリアソン新宿にとってパートナーもチームの一員

私が居心地の良さを感じてクリアソン新宿に加入したように、パートナーの方々にもクリアソン新宿は「自分の居場所」であり「自分たちのチーム」だと感じてもらいたいです。

さらに、我々が試合に勝つことだけにパートナーシップの価値を感じていただくのではなく、クリアソン新宿のパートナーになると「誰かの役に立つことにつながる」。パートナーの皆様にそう思ってもらえるようなサッカークラブを目指しています。

こうした思いから今、株式会社Criacaoではスポーツの価値を通じて、様々な世界を繋げ、誰もが豊かさの体現者となれる世界に。というビジョンを掲げています。その実現のために「リーダーシップインパクト」「イキイキインパクト」「ビジネスインパクト」という形でインパクトモデルを設計している最中です。リーダーシップにも様々な形があり、チームを率いる力だけでなく、周囲と理解し合う力や、自らの潜在性を引き出す力など、決して一部の人だけが持ち合わせるものでもなく、皆が自分らしい形で発揮できるものと考えています。その力を自らに留めず、周りの方に波及させ、ありたい社会に対して適切に使っていく。

リーダーシップを育むことで、クリアソン新宿をハブとしたコミュニティが形成されて、そこで様々な立場の方と関わりを持つ中で「居心地の良さ」や「自分の行動が誰かの役に立っている」と感じてもらえるビジョン。こうしたビジョンと経済性を持ってクリアソン新宿の枠を超えて広げていけるビジネスモデルを作るサッカークラブになることが理想です。

ただ、それを証明するためにも試合に勝たなくてはならないし、勝つことでしか伝えられないこともあります。ビジョンと経済性を持って活動しつつ、試合に勝つクラブを作っていかなければなりません。

パートナー企業のハブとなってビジネスチャンスを拡大

創業当初からのパートナーに投資用不動産売買・仲介業などの価値で資産形成に取り組む株式会社アセットリードがあります。

もともと会社員時代から丸山と私は、株式会社アセットリードの顧客として資産形成のために不動産運用を行っていました。当時起業を考えていた時期で、お世話になった方からの誘いで、起業にチャレンジするためのリスクヘッジのために、株式会社アセットリードで不動産オーナーになりました。また、ちょうどこの時期にブラインドサッカーと出会い、日本ブラインドサッカー協会のパートナーシップ制度の営業活動を手伝うこととなります。

当時、株式会社アセットリードではCSR活動を始めることを考えていました。CSR活動を始めるにあたり、「遠く離れた知らない場所ではなく、自分たちが身近に存在を感じられるところで活動したい」と思っていたようです。

そのため、株式会社アセットリードに日本ブラインドサッカー協会のパートナーシップ制度の話を相談させていただいたところ、ブランドサッカー協会のビジョンや活動に深く共感して、二つ返事で引き受けてくださいました。こうした流れから現在はクリアソン新宿のパートナーにもなって頂いております。

先ほどのビジネスインパクトにも繋がりますが、私たちのチームが経済性を持って活動していくうちに、株式外会社アセットリードの顧客となるような方々にもたくさん出会い、お繋ぎをしてきました。ただ紹介をして終わりということではなく、資産形成をする意味や、他にもどのような手段があるのか、その中でなぜアセットリード なのか、を正しく知ってもらう機会を創出してきました。

未知のことでも正しい知識を得ることで、良い出会いとなる場合、自分のとる行動に良い影響を与えてくれます。私にとってブラインドサッカーがまさにそうでした。偏見がないつもりでしたが、関わってきていなかっただけで、「知らない」ことで自分とは何か違うのではという思いがあったことに気づかされました。最終的に不動産運用で資産形成をやる、やらないは顧客自身に決断をしてもらうことですが、そこにある価値を正しく届けることが大事だと考えています。

一つの事例ではありますが、株式会社アセットリードとのパートナーシップという関係を通じて、不動産運用による資産形成の正しい知識を得る機会を増やし、株式会社アセットリードと顧客になりうる方々をつないでいくハブのような役割を目指して経済を回していけたらと思っています。

健常者と障がい者が当たり前に「混ざり合う世界」に

日本ブラインドサッカー協会の事業推進部の事業部長として、ブラインドサッカーを通じて視覚障がい者と健常者が当たり前に「混ざり合う社会」を創り上げていくことを目的として活動しています。

具体的には、小中高校生向けの出張授業(体験型ダイバーシティ教育プログラム スポ育® 以下スポ育)や野原ホールディングスが先日体験いただいた企業研修やイベントを全国に広げていく取り組みです。スポ育は多い年で年間約600件実施していますが、早くスポ育を全国や世界に広げていきたいと考えています。ブラインドサッカーを通じて笑顔で障がいと出会える機会が子供達にとって重要な機会です。それを実現するためにも、新たな行政や企業とのパートナーシップを開拓する必要があります。

それから視覚に障がいがあっても、なりたい職業や希望とする働き方を自由に選べるような仕組みを構築していきたいと考えています。混ざり合う社会の実現にはキャリアをどう描くかが大事な問題です。ITが発達したことで見えなくてもPCやモバイルが読み上げてくれることで情報の格差を埋めることが出来たり、社会の側で障がいになるものを無くすという考え方です。

私はダイバーシティの推進とは、「自分自身が何者かを知り、他者に自己開示していくこと」だと考えています。周囲の人に自分を知ってもらうことは、チームを強くするのに貢献したり、仲間と共通認識を持って一緒に強くなっていったりすることに必要不可欠です。

自分を知り、自己開示することを繰り返していくことが、仲間と一緒に強くなっていく方法だと思いますし、それをフィードバックしてあげる環境を作っていける体験を大事にしてほしいです。

これからDXに挑戦する建設プレイヤーへのエール

建設業界の仕事は、社会的意義のあるとても価値の高い取り組みだと思います。私には建設業界の知見はあまりありませんが、DXが進むことで日本の建設プレイヤーが持つ高度な知識や繊細な技術が世界中の人たちに広く知れ渡ることを考えたらとてもワクワクします。

日本の建設プレイヤーの知識や技術力を生かすためにDXを推進したり、皆様の価値をより多くの人に届けたり、DXで変わったりしたいことを発信し続けていくうちに少しずつ仲間が増えていく。発信したことに嘘偽りのない信念があることが大事だと思います。

パートナーとしてクリアソン新宿が建設業界の方々と関わる機会があれば、「建設プレイヤーの知識や技術力を生かすためにDX推進が必要」「高度な知識と繊細な技術力を持つ建設プレイヤーの価値を届けたい」。こういったメッセージを発信できるパートナーになっていきたいと考えております。

選手兼取締役 COOである私の大事な役割は「世界一のサッカークラブになる」と言い続けることです。クリアソン新宿の2022年度の順位はJFL16チームの中で15位なので、はたから見たら「世界一」という夢は現実味がありません。しかし、現時点で世界一にたどり着いていなくても、そこを目指すことに変わりないし、「世界一になるためにどうすべきか」と言い続けることがすごく大事だと信じています。

建設プレイヤーの皆様も本当に実現したいことを恐れずに発信し続けてほしいです。

まとめ

DXは、数年以上かけて社内外の関係者と共に改善サイクルを回しながら実現する中長期的な取り組みです。そのため、DXを実行するには、「現状を変える」「あきらめずにやり遂げる」「周囲の関係者を巻き込む」といったマインドセットが不可欠です。

「2027年に世界一のサッカークラブになる」。壮大な夢に周りの人間を巻き込みながら挑戦を続けるクリアソン新宿の選手兼株式会社Criacaoの取締役COO である剣持氏の力強いマインドを、DXに取り組みたい建設プレイヤーの皆様も参考にしてみてください。