2023年スギ花粉は「非常に多い」|木材利用促進で軽減できる?

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著者:小日向

トレンドワード:スギ花粉

「スギ花粉」についてピックアップします。「目がかゆい、腫れる」「くしゃみや咳」「鼻水、鼻づまり」「頭痛」「眠い」「肌荒れ」…など、様々な不快症状を伴う花粉症にお悩みの方も多いのではないでしょうか。今年もいよいよ花粉シーズンが到来し、本格化する前の早めの対策がおすすめです。

本記事では、2023年の花粉最新情報や「なぜスギを植える?」という疑問、国や建築設備での取組等についてご紹介していきます。

2023年スギ花粉はいつからいつまで?

日本気象協会によると、「九州から東北にかけて前シーズンより飛散量は多い」とされています。東京や大阪などの大都市でも、昨年よりも入念な対策が必要になってくるでしょう。

スギ花粉のピークは、東京など関東甲信越では3月いっぱい続き、大阪など関西地方では3月上旬〜中旬となる予測です。

スギ花粉とヒノキ花粉の違いは?

スギ花粉とヒノキ花粉の主な違いは「飛散時期」です。スギ花粉が2~3月なのに対し、ヒノキ花粉は3~4月に飛散します。しかし「スギ花粉症患者の7割はヒノキ花粉でもアレルギーを起こす」ため、両方に悩まされている方も多いでしょう。

ちなみに木材としては、ヒノキ材はスギ材よりも1.5倍の値段という違いがあります。ヒノキは「火の木」と言われるように水に強く、古くから土台や根太に使われてきました。他にも防水性を生かしてヒノキ風呂に使われるなど、高級木材としての価値が高いです。

一方でスギは「直ぐ(すぐ)」が語源と言われており、生長期間が短くまっすぐ育つのが特徴です。ヒノキに比べると、中心部と外周部の色の違いがはっきりと出ます。またヒノキより柔らかく加工しやすいので、建材や家具など多様な使い道があります。

スギを全部伐採したい…|木材利用が進まないのはなぜ?

「スギ林を全部切れば花粉症も無くなるのに…」と思ったことはないでしょうか。

そもそもなぜ日本にスギ林が多いのかというと、1960年の「所得倍増計画」が関係しています。高度経済成長で住宅用木材の需要が増えたため、天然林伐採跡地にスギの植林が進められました。これにより、現在日本では「約448万haがスギ林」となっているのです。

林野庁でも花粉症対策として伐採を推進していますが、「伐採したまま山を放置すれば、水害や山地崩壊を引き起こす」という点がネックとなっています。年間の伐採量や苗木の生産量から考えても、すべて植え替えるには相当の長時間が掛かると想定されます。

スギ花粉緩和への取り組み

ここでは、国や自治体で進められているスギ花粉症対策についてご紹介します。

東京都|花粉の少ない森づくり運動

東京都では、多摩地域に広がるスギやヒノキを伐採して「花粉の少ないスギ」を植栽する取り組みを行っています。

世界的な大都市である東京都ですが、じつは「総面積の4割は森林」です。西部の多摩地域にはスギの人工林があり、ここから都心部にも花粉が飛散しているのです。そこで東京都では「花粉の量が1/100」のスギを開発し、植林を進めています。

林野庁|花粉発生源対策「3本の斧」

林野庁では、「3本の斧」からなる花粉発生源対策を推進しています。

①第一の斧:伐って利用します

花粉の飛散源であるスギ人工林を伐採・利用する取り組みです。また伐採されたスギについては、住宅や商業施設や公共建築物の木造化等に利用し、「資源」として活かしていきます。

②第二の斧:植え替えます

花粉症対策に資する苗木の生産増大に最優先で取り組み、スギの伐採跡地への植栽を促進します。条件不利地においては、「広葉樹の導入」を進めます。

③第三の斧:出させません

スギ花粉の「飛散防止剤」の開発・普及等、スギ花粉の発生を抑え飛散させない技術の実用化を図ります。

国土交通省|官庁営繕における木材の利用の推進

国土交通省では「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に基づき、公共建築物における木材の利用の促進に取り組んでいます。

2020年度の木造公共建築物は132棟で、低層の公共建築物の木造化率は96%を達成しています。木材の利用は「炭素の固定」などSDGsにも貢献するため、今後も積極的な利用が求められます。

建築設備での花粉対策事例

ここでは、建築設備での花粉対策についてご紹介していきます。

大和ハウス|商業施設やホテル向け「リフレッシュエアルーム」

大和ハウス工業は、フジタと共同でエアシャワーと室内コーティングを組み合わせた花粉対策空間「リフレッシュエアルーム」を2023年1月に発表しました。ホテルや商業施設などのエントランスやエレベーターホールに設置することを想定しており、導入検証では88%の満足度という高い結果が得られています。

花粉が衣服に付着する原因となる静電気を除去することで、弱い風でも衣服に付着した花粉などを取り除く仕組みです。エアシャワーで吹き飛ばした花粉などは、壁や床に施した光触媒コーティングにより不活化することで、空気の清浄化を図ります。

一条工務店|エアジェット

一条工務店では、住宅用ビルトインシステムの「花粉ジェット」を提供しています。玄関扉の外でジェット噴射による花粉除去を行うことで、衣類に付着した花粉を97%カットします。

本体内部は壁内に収まっているので、耐久性に優れ外観も損ねません。またファンが露出しないため、小さな子どもでも安全です。この取り組みは、キッズデザイン賞にも評価されています。

まとめ|木材利用で花粉症撲滅に期待

日本は木材が豊富ですが、まだまだ利用量が少ないのが課題です。国土交通省でも木造建築の推進に取り組んでおり、今後のさらなる利用拡大が求められます。

スギやヒノキの花粉症はつらいものですが、木材としての価値は高く評価されています。今後「花粉の少ない樹種」等の取り組みを通して、人間にも地球にも優しい環境づくりが期待されます。