【建設DXの独自調査①】デジタル化に積極的な部門ほどBIMを利用
野原ホールディングス株式会社は、ゼネコンに勤務する267人に「建設DXの部門別実態調査」というテーマで独自のアンケート調査を実施しました。
その結果、建設DXに積極的な部門ほど業務でBIMを利用する割合が高いことが明らかに。加えて、ゼネコン各社が建設DXに期待する効果や課題について紹介します。
<▼二回目以降の記事はこちら>
第二回目:【建設DXの独自調査②】競合のデジタル化が自社のDX推進の起爆剤に
第三回目:【建設DXの独自調査③】DX推進で国交省やパートナーに支援を受けたい要素
調査概要
野原ホールディングス株式会社は、「建設DXの部門別実態調査」というテーマで下記アンケートを実施しました。
- 調査方法:ゼネラルリサーチ株式会社のモニターを利用した WEB アンケート方式で実施
- 調査対象:ゼネラルリサーチ社登録モニターのうち、全国のゼネコンにお勤めの方を対象に実施
- 有効回答数:267人
- 調査実施日:2022年5月27日(金)~5月30日(月)
65%のゼネコンが建設DXに積極的
「あなたがお勤めの会社は建設DXに積極的ですか?」という設問に対し、全体の65%が「積極的」と回答しました。
この傾向は企業規模の大きいゼネコンで顕著に表れ、スーパーゼネコンでは「積極的」と回答した人は85%に上りました。一方、地場ゼネコンで「積極的」と回答した人は41%と半数以下の数字です。
このことより、業務のデジタル化に資金力のある大手企業ほど有利であることが分かります。
DXが進む部門は施工管理と設計
「あなたが所属する部門では建設DXに積極的ですか?」という設問に関して主に従事する業務別に調べた結果、施工管理(所長)に携わる人たちが「積極的」と回答するケースが目立ちました。その数字は67%にも上ります。
僅差で2番目に多かったのが設計業務に携わる人たちで、65%が建設DXに「積極的」と答えています。
所長と比べてやや数値は下がるものの、施工管理(所長以外)に携わる人たちも54%と半数以上が建設DXに「積極的」だと感じています。
一方、建設DXに「積極的」だと考える人たちが少なかったのが営業と施工でした。いずれも50%に届かない数字となっています。
この結果より、ゼネコンでDXが進む部門は、施工管理や設計であると考えられます。
建設DXに積極的な部門ほどBIMを利用
「あなたが担当する業務案件でBIMを利用するのは全体の何割ですか?」という設問に対しては、施工管理(所長)が業務でBIMを利用する割合が最も多く、52%の人が「全体の7割以上」と答えています。
設計に携わる人たちもBIMの利用頻度が高く、46%の人が「全体の7割以上」と回答しました。
一方、営業や施工、施工管理(所長以外)に携わる人たちのBIMの利用頻度は下がり、それぞれ約40%の人が「全体の5割未満」と答えています。
この結果から、建設DXに積極的な部門ほど業務におけるBIMの利用頻度が高いことが分かります。そのため、建設業界のデジタル化を推進するにはBIMは欠かせないITツールと考えて差し支えないでしょう。
建設DXに期待する効果は「コスト管理」
「建設DXに期待するのはどのような効果ですか?」という設問では、「コスト管理」に期待を寄せる人が36%と最も多い結果となりました。この結果より、業務のデジタル化に期待することは、複雑な工事原価管理の効率化であると予測できます。
次に回答者が多かった項目が「プロジェクトの可視化」で34%となっています。工程ごとに細分化される建設プロジェクトでは、さまざまな関係者が関わり、不確定要素も少なくありません。こうした背景から、何からのITツールを活用してプロジェクトの可視化を実現したいと考える人が多いのでしょう。
建設DXの課題は「デジタル人材の不足」
「あなたの所属する部門での建設DXの課題はどれに当てはまりますか?」という設問に対しては、41%が「DX推進できる人材がいない」と回答。次に多かった課題が「現場での利用レベルに達しない」で31%となりました。
この設問では、業務や役職別で回答に大きな違いはありませんでした。いずれの業務においても、ゼネコンではデジタル化に対応できる人材が不足していると推測できます。
今後は、会社全体でデジタル化に対応できる人材を育成する環境を整えることが喫緊の課題であるといえるでしょう。
まとめ
今回の独自調査からゼネコンでは業務のデジタル化やBIMの利用に積極的であるものの、それに対応できるデジタル人材が不足していることが浮き彫りになりました。
本サイトでは、建設DXに関する独自調査を随時更新していきますので、競合他社の取り組みや業界動向を調べる際に活用してみてはいかがでしょうか?