【動画付】日建設計独占インタビュー|BIMハンドブック制作の経緯(連載第1回)
日本の建築領域でDX推進による生産性向上が必要とされる中、日建設計ではBIMの効果的な活用を促すためのハンドブック「BIM Uses Definitions Vol.1 BIMを活用するプロセスやタスク」を制作しました。
BIMハンドブックの紹介記事はこちらからご覧ください。
BuildApp Newsでは、制作者の一人である日建設計 安井謙介氏にインタビューを実施し、詳しくお話を伺いました。BIMハンドブックの特徴や制作意図など、舞台裏を知ればさらにBIM活用の幅が広がるでしょう。
本連載ではインタビュー内容を動画と記事の2パターンでご用意致しました。
ぜひ、ご覧ください!
インタビュー動画の視聴はこちら
制作の経緯
Q1|BIMハンドブックを制作した経緯は?
日建設計 安井氏 –
BIMが国内で普及し始めて14年程経ちます。最近では国土交通省の建築BIM推進会議等、業界全体でBIMを活用しようとしていますが、発注者のBIM活用が進んでいないという課題があります。
その課題を解決するために国土交通省は発注者側に立ち、プロセス全体でBIMの活用を促すLife Cycle Consultingという新しい業務を策定しました。
実際にLife Cycle Consultantとしてプロジェクトを見ていると、発注者と受注者の間でBIM活用方法が正しく共有できず、効果的なBIM活用には課題があることが分かってきました。
発注者と受注者の間でBIM活用方法を共有するため、EIR、BEPの活用が推奨されています。
EIRとは発注者情報要件、プロジェクトにおいて、発注者が求める業務委託仕様書の内、BIM に関する業務仕様を定めるものです。BEPはBIM実行計画。プロジェクトにおいて、受注候補者がEIR に基づき、業務委託仕様書の中でBIM に関する業務仕様を提案し、発注者受注者間でBIMに関する業務仕様を取り交わそうとするものです。
しかしながら、発注者の求めるBIM活用方法をEIRに文章で記載し、受注者が正しく理解することは実は難しいと感じています。
業務でLife Cycle Consultingの業務を行う際、発注者のBIMメリットの説明の仕方を探している時に、「The New Zealand BIM Handbook」に目を付けました。
この付録資料に「Appendix D BIM Uses Definitions」という資料があるのですが、彼らはEIR,BEPで発注者のBIM活用を記述する際、添付のBIM Uses Definitionsから選択する仕組みを採用していました。発注者がBIM活用方法を理解するために便利な資料だったことから、業務で活用してみたところ、発注者からも高評価を得られました。
そこで国内で公開し、だれでも活用出来るハンドブックの作成することになりました。ハンドブック作成にあたり、翻訳と資料公開について発行元のBIMinNZから許可を得ています。
他社でも使えるよう、本文には日建設計の記載はありません。出典を明記すれば発注者や他の会社でも二次利用が可能ですのでどんどん使っていただきたいと思っています。
Q2|ニュージーランドのハンドブックと異なる点は?
国内向けに解説をつけ、国内ではなじみのない言葉には註釈を加えています。また、21項目のBIM Usesにナンバリングを加え、元素記号のようなイメージを追加しました。手に取りやすく、議論しやすいインターフェースを目指しました。
BIM Uses毎に解説がついていることはNZのBIM Uses Definitionsと変わりません。BIM Usesごとに、利用方法の説明、利用価値、必要なリソース、チームに必要な能力、アウトプット出来る情報等が記載され、必要に応じて日建設計が補足を加えています。
BIM Uses DefinitionsはEIR(発注者情報要件)と共に使う資料です。使い方に関しては国土交通省のBIMモデル事業で日建設計と荒井商店が作成した「Life Cycle Consulting」(PDFが開きます)というレポートで説明を行っています。こちらは国土交通省のHPよりダウンロードできますのでご活用いただければと思います。
連載の第2回では、BIM Uses Definitionsの使い方についてお話いただいています。ご期待ください。