奥村組と帝人、木質ハイブリッド遮音パネルを共同開発、重量床衝撃音遮断性能が4ランク向上

20261030_木質ハイブリッド遮音パネルを用いた乾式二重床

奥村組(大阪市阿倍野区)と帝人(大阪市北区)は、木造建築物に使う「木質ハイブリッド遮音パネル」を共同で開発しました。現在は特許を出願中です。

実大の試験体で性能を調べた結果、このパネルを取り入れた乾式二重床は、設置前と比べて代表的な周波数である63Hz帯域で、重量床衝撃音遮断性能が22dB(4ランク)向上することを確認しました。木造建築で課題になりやすい床の音を、パネルそのものの工夫で和らげようとする取り組みで、両社の技術を持ち寄って実現しました。

木材利用の拡大で浮上した床衝撃音の課題

2010年に施行された「公共建築物等木材利用促進法」は、2021年の改正で対象が一般の建築物にまで広がりました。建築分野では、木材をいっそう活用していくことが求められています。

一方で、木造建築物はコンクリート造に比べて、力を受けたときの変形しにくさを示す「剛性」や質量が小さく、床衝撃音が伝わりやすい課題があります。

木材利用を広げるうえで、音の問題の解消は避けて通れません。加えて、さまざまな工法や構造形式に対応できる、効果的な遮音対策の確立も求められていました。

炭素繊維と木材を一体化した高剛性パネル

こうした課題を受け、奥村組と帝人は共同開発に踏み出しました。土台になったのは、帝人が持つ炭素繊維強化複合材料と木材を組み合わせた炭素繊維強化集成材「LIVELY WOOD(ライブリーウッド)」の技術です。

この技術を応用して完成したのが「木質ハイブリッド遮音パネル」になります。炭素繊維強化複合材料と木材を一体にしたことで、合板の2倍以上という高い剛性を備えたパネルに仕上がりました。木の持ち味を生かしつつ、弱点を補う発想です。

質量ではなく剛性で遮音性能を高める仕組み

床の遮音性能を高める方法として、これまでは質量を増やす手法が一般的でした。本パネルはこれと異なり、パネルの剛性を高めることで遮音性能の向上をねらいます。

床に加わった衝撃は広い範囲へ分散され、振動が大きくなるのを抑えられます。その結果、人が飛び跳ねたときや物を落としたときに生じる重量床衝撃音を低くすることに役立ちます。

木造に多い軽量な構造でも、この考え方なら取り入れやすくなります。質量を増やすのではなく、パネルを変形しにくくすることで遮音性能を高める点が特長です。

防振ゴム付き支持脚と組み合わせた乾式二重床

このパネルを防振ゴム付きの支持脚と組み合わせたものが、「木質ハイブリッド遮音パネル乾式二重床」です。乾式二重床とは、床構造の上に防振ゴム付きの支持脚を置き、その上に床パネルなどの面材を載せて二重構造にした床のことです。

多様な工法や構造形式に対応できるため、さまざまな木造建築物へ取り入れられます。建物ごとに条件が異なる木造の現場でも、使い分けやすい仕組みといえます。

実大試験体で確認した22dBの性能向上

検証には、在来工法による木造建築物を奥村組の技術研究所内に再現した実大試験体を使いました。その結果、代表的な周波数である63Hz帯域で、重量床衝撃音遮断性能が設置前より22dB、つまり4ランク向上しました。

さらに、面材にパーティクルボード20mm、合板12mm、フローリング12mmを使う一般的な乾式二重床と比べても、高い遮音性能を示しました。重量床衝撃音遮断性能は、衝撃音を床がどれだけ遮れるかを表す指標です。実際の建物に近い条件で確かめた点も、この結果の裏付けになります。

実際の木造建築物での検証と脱炭素への貢献

今後は、パネルを使える範囲の拡大を検討します。あわせて、奥村組が計画する木造建築物に採用し、実際の建物で効果があるかを確かめる予定です。

その検証結果を踏まえて、性能の向上や技術の高度化を進めます。両社はこうした取り組みを通じて、脱炭素社会の実現への貢献を目指します。

木材を活用しながら静かな住環境を保つための技術として、今後の展開に注目が集まりそうです。実用化が進めば、木造建築の選択肢がさらに広がることも期待されます。

出典情報など

出典:株式会社奥村組,静かな木造空間を実現する「木質ハイブリッド遮音パネル」を共同開発~乾式二重床工法へのパネル適用により、重量床衝撃音遮断性能を4ランク向上 ~,https://www.okumuragumi.co.jp/newsrelease/2026/4-1.html,リリース日:2026-10-29