鹿島建設、炭酸化養生装置Carbon Lockを海外の工場へ初導入、マレーシアで試験製造開始

20261030_炭酸化養生装置Carbon Lock

鹿島建設は、自社で開発したコンクリート炭酸化養生装置「Carbon Lock」を、マレーシアのプレキャストコンクリート工場に導入し、試験製造を始めました。

海外の実際の工場でこの装置が稼働するのは初めてで、同社の海外展開に向けた取り組みが具体的に動き出しています。

「Carbon Lock」が海外の実工場で初めて稼働

鹿島は2026年10月29日、コンクリート炭酸化養生装置「Carbon Lock」を、シンガポールのプレキャストコンクリートメーカーであるJOE Green社が持つマレーシア・ジョホール州の製造工場に導入したと発表しました。

Carbon Lockが海外の実工場で運用されるのは、今回が初めてです。同工場では、Carbon Lockを使ったコンクリート製パーティションウォールの試験製造がすでに始まっています。

CO₂を吸収・固定する炭酸化養生の役割

炭酸化養生とは、コンクリートが固まっていく過程でCO₂を吸収させ、内部に固定する技術です。今回の試験製造によって、現地の気候や製造条件のもとで、装置の使いやすさや制御の精度がどの程度発揮されるのかを確かめられるようになりました。

鹿島は、パーティションウォールなどの製品を実際に製造しながら、今後の海外展開に必要となる知見を少しずつ蓄えていく考えです。

建設分野でCO₂削減が急がれる理由

建設分野でのCO₂排出量の削減は、カーボンニュートラル社会を実現するうえで避けて通れない課題です。コンクリートの分野では、セメントの使用量を減らして排出を抑える方法に加え、製造の途中でCO₂を吸収・固定する炭酸化養生の活用が進んでいます。

ただし、製品の製造工程に取り入れるには、製品へCO₂を安定して供給し、槽内のCO₂濃度、温度、湿度を適切に管理することが欠かせません。これらの条件が崩れると養生の効果にばらつきが出るため、制御の仕組みが技術の普及を左右します。

国内工場への導入を経て海外での検証へ

鹿島は、CO₂吸収固定コンクリート「CO₂-SUICOM」などの開発で培った炭酸化養生の技術を生かし、プレキャストコンクリート工場で安定的かつ効率的に養生できるCarbon Lockを開発しました。

これまでに国内のプレキャストコンクリート製品工場などへ導入しており、実際に製品をつくりながら、海外展開に向けた検討を続けてきました。今回の海外導入は、国内で重ねてきた検討の成果を、現地の工場で試す段階に入ったことを示しています。

タッチパネルで設定できる装置の仕組み

Carbon Lockは、CO₂を封入した槽の中で、コンクリート製品にCO₂を吸収・固定させる装置です。槽内のCO₂濃度、温度、湿度は、タッチパネルから簡単に設定でき、運転中は自動で制御されます。

さらに、CO₂の注入量と槽内に残った量などをもとに、コンクリートに固定されたCO₂の量を算定することも可能です。

2026年8月の導入から9月の検証開始まで

JOE Green社のジョホール工場は、環境配慮型コンクリートを使ったパーティションウォールの製造を検討していました。そこで2026年8月にCarbon Lockが導入され、試運転が行われました。

試運転を終えたあと、同年9月からは、工場の製造工程における装置の運転状況と、炭酸化養生の効果を確かめる検証が始まっています。

導入モデルの構築で海外市場への展開を探る

鹿島は今後、この取り組みを通じて、現地の気候や製造条件に合わせた設備の制御、運用、保守管理に関する知見を積み上げていきます。そこで得た成果をもとに、製造する品目や工場の条件に応じた導入モデルをつくり、海外市場での本格的な展開に向けた検討を進めます。

海外展開に向けては、装置の性能だけでなく、現地の工場で安定して使い続けられる運用・保守の仕組みも検討していきます。なお、同社の環境配慮型コンクリートについては、下記のページで紹介されています。

参考:環境配慮型コンクリート「KAJIMA CONCRETE BASE」

出典情報など

出典:鹿島建設株式会社,コンクリート炭酸化養生装置「Carbon Lock」を海外の実工場に初導入 マレーシアのプレキャストコンクリート工場で試験製造を開始,https://www.kajima.co.jp/news/press/202610/pdf/29c1-j.pdf,リリース日:2026-10-29