国土交通省、改正建築士法の一部を令和9年4月1日に施行、設計・工事監理契約を全面的に書面化

国土交通省は令和8年10月6日、改正建築士法の一部について、施行日を定める政令などが閣議決定されたと発表しました。

建築士が行う設計や工事監理の契約が大きく見直され、書面での契約締結や見積書の作成が求められる環境が整います。施行は令和9年4月1日で、事務所や発注者が備える期間は約半年です。

改正法の一部は令和9年4月1日から始まります

今回閣議決定されたのは、「建築士法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」と「建築士法施行令の一部を改正する政令」の二つです。

前者は、改正法附則第1条第2号に掲げる規定を令和9年4月1日から施行すると定めました。この規定は、設計や工事監理に関する書面契約の義務化や、見積書作成の努力義務化などを指します。

後者は、規定を運用するうえで必要な条文を整える内容です。施行日が決まったことで、建築士事務所や発注者は対応の時期を見通せるようになりました。

人材確保と契約の適正化が改正の狙い

改正法は、令和8年7月に公布された「建築士法の一部を改正する法律(令和8年法律第74号)」です。将来の建築士を確保することと、契約を適正なものにすることを目的としています。

このうち契約に関する規定は、公布から1年を超えない範囲で政令が定める日に施行すると、あらかじめ決められていました。今回の政令は、その具体的な日付を示したものです。

資格の取りやすさと契約の透明性という二つの課題を、同時に整える見直しといえます。なお、資格に関する規定は契約の規定とは別の日程で施行されます。

面積に関係なく全ての契約で書面が必要に

これまで契約書の相互交付が義務だったのは、延べ面積が300平方メートルを超える建築物の新築などに関する設計受託契約や工事監理受託契約でした。改正後は面積などを問わず、建築士が行う設計や工事監理の契約すべてが対象になります。

小規模な建築物でも、口約束ではなく書面で内容を残すことになります。設計や工事監理を請け負う側にとっては、すべての契約で契約書を用意し、相手方と交わす対応が必要です。業務の範囲や報酬について、当事者間の認識の違いを防ぎやすくなる効果も期待できます。

報酬の根拠を示す見積書づくりが努力義務に

建築士事務所の開設者は、設計などの業務に関する契約を結ぼうとするとき、報酬の算定根拠を明らかにした見積書を作るよう努めなければなりません。契約を結ぼうとする側にも、見積書の内容や契約に関わる事情を考慮し、委託内容に見合った適正な委託代金で契約するよう努める責務が生じます。

いずれも努力義務ですが、金額の中身を確認しやすくなる点は、依頼する側にも利点があります。受け取る側と支払う側の双方が、報酬の算定根拠を前提に話し合える土台ができます。

実務経験の期間が各資格で短くなります

改正法には、資格要件の緩和も盛り込まれています。一級建築士の免許に必要な二級建築士としての実務経験は、現行の4年から2年に短縮されます。

また、それ以外の実務経験を含めて8年以上の実務経験を有する者、または高等学校等で建築科目を修めて卒業した者で卒業後の実務経験が6年以上ある者も要件となります。

二級建築士と木造建築士は、免許に必要な実務経験が7年から4年に、試験を受けるために必要な実務経験が7年から2年に短縮されます。より早い時期から上位の資格や試験に挑戦できるようになり、将来の担い手を確保する狙いにつながります。

在学中の受験や建築設備士の定義も見直し

大学等に在学し、試験の行われる年度の末日までに卒業する見込みがある人は、国土交通大臣の指定する建築科目の単位を修得していれば、在学中でも一級建築士試験を受けられます。二級建築士と木造建築士の試験は、高等学校等の在学者も対象です。

また建築設備士は、国土交通大臣が定める機関に登録された者であることが定義に加わります。これらの資格に関する規定は、公布から3年を超えない範囲で政令が定める日に施行されます。

公布は10月9日、施行は来年4月1日の予定

今回の政令のスケジュールは次のとおりです。

  • 公布予定:令和8年10月9日(金)
  • 施行:令和9年4月1日(木)

国土交通省は、要綱や案文・理由、新旧対照条文などの資料もあわせて公表しています。契約書や見積書の様式を使う建築士や事務所は、施行までに自社の運用を見直しておくことが大切です。

出典情報など

出典:国土交通省,改正建築士法の施行に伴う関係政令を閣議決定~建築士が行う全ての設計受託契約等の書面契約義務化や見積書作成の努力義務化などが施行されます!~,https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_001153.html,リリース日:2026-10-06