熊谷組、国内初のスーパーホットコラムへの現場溶接ロボット適用で省人化と品質安定化を推進

20261006_スーパーホットコラムの溶接施工

熊谷組は、建築現場での鉄骨溶接作業の省人化や省力化、施工品質の安定を目的に開発と検証を重ねてきた現場溶接ロボットを、熱間成形角形鋼管「スーパーホットコラム」の現場溶接に適用したと発表しました。

同社が施工中の建築工事現場で、実際の建物を構成する柱継手部に使ったもので、スーパーホットコラムを実建物の柱部材として使用し、その現場柱継手溶接に現場溶接ロボットを適用した施工事例として国内初です。実工事での施工を実現したことで、現場溶接ロボットが活躍できる領域が新たに広がりました。

技能者不足と品質安定が背景にある

建築鉄骨の現場溶接は、建物の構造性能を確保するうえで欠かせない工程の一つです。一方で、高度な溶接技能が求められるため、技能者の不足への対応や作業負担の軽減、施工品質の安定が課題になっています。

熊谷組はこうした課題に応えるため、建築現場で使える小型で持ち運びできる溶接ロボットの実用化を目指してきました。

試験を重ねて蓄えた知見を現場へ

同社は、要素試験や実大試験体を使った施工実験を繰り返し、溶接条件や施工品質、溶接中に起こる現象について検証を進めてきました。

今回は、その過程で蓄えた施工条件に関する知見や運用のノウハウをもとに、実際の建築現場でスーパーホットコラムへの適用に踏み切りました。試験の場から実工事の現場へと舞台を移した形です。

角の曲げ半径が小さい鋼管に挑む

スーパーホットコラムは、熱間成形でつくられる建築構造用の角形鋼管です。角の部分の曲げ半径がR=2.0tと、ほかのコラム部材に比べて小さい点が特徴です。この形状にロボットを使うには、角の部分まで含めて安定した溶接を行うことが技術的な難所でした。

熊谷組は溶接条件や施工方法を何度も検討してこの課題を乗り越え、実工事への適用にこぎつけました。なお、「スーパーホットコラム」はナカジマ鋼管株式会社の商標または登録商標です。

建方後の柱継手部に設置して溶接

実際の施工では、建方を終えた柱継手部にロボットを据え付け、現場ならではの条件のもとで溶接を行いました。工場内とは異なり、天候や作業スペースといった制約を受けやすい環境での施工となります。

現時点では、スーパーホットコラム7本以上についてロボットによる施工を終えており、作業は引き続き進められています。

超音波探傷検査で検査基準を満たす

施工後には、対象の溶接部に超音波探傷検査(UT)を実施し、所定の検査基準を満たしていることを確認しました。これにより、実際の建物への適用性と施工品質が裏づけられた形です。

要素試験や実大試験体での検証から一歩進み、施工から品質確認までを実工事で行えたことは、実用化と適用範囲の拡大に向けた重要な知見になったと説明しています。

板厚63mmの極厚ボックス柱にも適用

今回の工事では、板厚63mm(実験では70mm)の極厚ボックス柱についても、ロボットによる溶接を実施しました。板厚が増すと溶接量や溶接パス数が増え、技能者の作業負担も大きくなります。

こうした極厚の部材にロボットを使うことで、負担の軽減に加え、施工品質の安定や生産性の向上が期待できます。柱の形式や板厚が異なる条件で施工実績を積めたことも、適用範囲を広げるうえでの成果になりました。

設置の合理化や複数台運用を検討

熊谷組は、今回得た施工実績と知見をもとに、現場溶接ロボットの実用化と普及をさらに進めます。今後は、使える材種や板厚、継手条件の拡大に加え、ロボットの設置や移設作業の合理化、施工時間の短縮、複数台での運用を検討する方針です。

あわせて、溶接技能者とロボットがそれぞれの強みを生かして協力する施工体制の構築を進め、作業負担の軽減、品質の安定、省人化、生産性の向上を図ります。

現場溶接ロボットのさらなる普及へ

同社は今後も、建設現場へのロボット技術の導入を積極的に推進し、建設業が抱える技能労働者不足をはじめとする社会課題の解決に取り組む考えです。

人手が限られるなかでも品質を保ち、効率よく施工を続けるための取り組みとして、現場でのロボット活用がどこまで広がるのか注目されます。

出典情報など

出典:株式会社熊谷組,国内初、「スーパーホットコラム」に現場溶接ロボットを適用~実工事への適用により、現場溶接ロボットの適用領域を拡大~,https://www.kumagaigumi.co.jp/news/2026/pr-20261005-004369.html,リリース日:2026-10-05