熊谷組、脚線付電気雷管を使う親ダイを実トンネルで実証、切羽近傍への立ち入りなしで装薬可能

20261005_脚線付電気雷管を用いた親ダイの機械装填を実証

株式会社熊谷組は、一般的な脚線付きの電気雷管を使い、親ダイを機械で装填する装置を開発しました。同社がすでに開発している爆薬の遠隔装填システムと組み合わせ、新たな爆薬機械装填システムとして実際のトンネル工事で一連の装薬作業に適用し、有効性を確認しています。

作業員が切羽近傍に立ち入らずに済むため、安全性と生産性の向上が見込まれます。開発には、ニシオティーアンドエム株式会社とキヨモトテックイチ株式会社が協力しました。

無線電子雷管の機構を土台に脚線の課題を解消

今回のシステムは、無線電子雷管向けに先行して開発した親ダイ機械装填装置の機構をベースにしています。親ダイとは、雷管を取り付けた起爆用の爆薬のことです。

電気雷管ならではの課題である脚線の扱いを解決する工夫を加え、親ダイ・増ダイ・込め物の機械装填という装薬作業の流れ全体に適用しました。作業員は切羽近傍(切羽(天端)からの45度の範囲)に立ち入ることなく、装薬作業を進められます。

切羽直近の装薬作業が抱えてきた危険性

山岳トンネルの発破作業では、切羽直近で雷管と爆薬を装薬します。この場所は肌落ちや崩落の危険にさらされるため、労働災害の防止と省人化の両面から、機械化や無人化は業界全体の急務です。

熊谷組は装薬作業を切羽から離れて行えるよう、爆薬の遠隔装填システムを開発し、30現場以上で実績を重ねてきました。さらに内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)に参画し、結線が不要な無線電子雷管を用いた完全自動化システムも開発・実証しています。

電気雷管が主流の現場に合わせた開発

ただ、無線電子雷管は社会実装に向けた開発の途上にあります。実際のトンネル工事では、脚線と呼ばれる導線の付いた電気雷管が今も主流です。そこで同社は、すでに流通している製品を基にして現場の安全性を高めようと、最も普及している電気雷管を使った脚線付親ダイを機械装填できる技術を開発しました。

従来の遠隔装填システムは増ダイと込め物の自動装填ができましたが、親ダイは脚線の処理が難しく、人の手作業に頼らざるを得ませんでした。

脚線の張力を制御して親ダイを押し込む

新しい仕組みは、脚線のテンション(張力)を適切に調整しながら脚線を保護し、ガイドします。断線のリスクを抑えつつ、親ダイを所定の位置までスムーズに押し込めます。

装置は二つの部分で構成されています。親ダイ供給装置は、爆薬と雷管、脚線を分けて納めるマガジンと、親ダイを一本ずつガイドパイプ内へ正確に送る機構を備え、挿入装置の動きに連動して供給します。

親ダイ挿入装置は、装填パイプを発破孔へ入れる送り機構と、親ダイと装填パイプを正確に挿入するガイドパイプで成り立っています。

親ダイから込め物まで操作室で連続装填

装填パイプの後端には、遠隔装填システムの爆薬装填ホースがつながっています。そのため、親ダイを送り込んだあと、続けて紙巻き爆薬の増ダイと込め物を装填できます。

一連の作業は、ドリルジャンボなどの操作室内に設置した操作パネルで行います。作業員が発破孔への位置合わせを終えて「装薬開始ボタン」を一度押せば、親ダイの挿入から、後方の装填台車による増ダイ・込め物の装填まで自動で進みます。

実トンネルの試験施工で断線や絡まりなし

熊谷組は、親ダイ装填装置をドリルジャンボに架装し、実際のトンネル工事で試験施工を行いました。懸念されていた脚線の断線や絡まりといったトラブルは確認されず、確実に装填できることがわかりました。実際の現場で、脚線付親ダイの機械装填が成り立つことを示した結果です。

現行技術と次世代技術の両輪で自動化を進める

この技術の意義は、インフラや法整備が必要な次世代システムの普及を待たなくても、主流の電気雷管を使うトンネル工事で、親ダイ装填を含む装薬作業全般から切羽近傍への立ち入りをなくせる点にあります。

現在の施工環境のまま導入でき、安全性の向上と省力化に役立ちます。熊谷組は今後、実現場への水平展開を進めます。

あわせて、無線電子雷管と電気雷管の両方に対応する技術で装薬作業の完全自動化を先導し、国土交通省が推進する「i-Construction 2.0」の実用化に貢献する考えです。

出典情報など

出典:株式会社熊谷組,山岳トンネルの装薬作業を自動化し、切羽近傍における労働災害リスクを大幅に低減
― 脚線付電気雷管を用いた機械装填を実トンネルで実証 ―,https://www.kumagaigumi.co.jp/news/2026/pr-20261002-004368.html,リリース日:2026-10-02