奥村組が日本初の実用免震ビルを揺らす、竣工40年で積層ゴムの性能を実測し長期変化を検証

20261002_40年目の免震自由振動実験

奥村組は、1986年に竣工した日本初の実用免震ビル「奥村組技術研究所管理棟」を実際に揺らし、免震装置の性能変化を調べる「自由振動実験」を2026年10月に実施します。40年にわたって使われてきた建物ならではの、貴重なデータを得る狙いがあります。

竣工40年を迎える日本初の実用免震ビル

株式会社奥村組(本社:大阪市阿倍野区)は、自社で設計と施工を担当した「奥村組技術研究所管理棟」が、本年で竣工から40年を迎えると発表しました。建物は茨城県つくば市にあり、1986年に完成した日本初の実用免震ビルです。

この節目に合わせ、同社は建物そのものを揺らして免震装置の状態を確かめる実験を行います。実際に使用されてきた免震建物で、40年後の免震装置の性能を検証する取り組みは、世界でも例がないとされています。机上の計算ではなく、建物の動きから性能を見極める点が特徴です。

長期データの不足を埋める実験の狙い

免震構造は、地震の揺れを大きく減らして建物を守る仕組みとして広く知られています。その安全性を支える装置のなかで、最も一般的なのが「積層ゴム」です。建物と地盤のあいだに設置され、地震の力が建物へ伝わるのをやわらげる役割を担います。積層ゴムは、年月がたつと性質が変わることを見込んで設計されています。

ただ、免震建物の歴史は約40年と浅く、長い期間にわたる構造性能や耐久性の実測データは十分とはいえません。設計上の想定が実際の建物でも当てはまるのか、確かめる材料が限られているのが現状です。

40年後を確かめられる唯一の立場

日本で最初に実用免震ビルを建てた奥村組は、40年を経た免震建物の性能を自ら検証できる立場にあります。積層ゴムが今も性能を保ち、地震から建物を守れるのか。免震建物が安心・安全であるか。いち早く建設したからこそ、こうした点を実測で確認できます。

同社は、実験で得られたデータを社会に広く共有する考えです。免震技術の信頼性を高め、防災・減災に役立てることを目指します。数値が公開されれば、免震建物を使う人や建てる人にとっても、判断の材料になります。

2,500トンの建物を10cm押して放す仕組み

実験では、総重量およそ2,500トンの建物全体を対象にします。まず、鋼棒製ダンパーを取り外し、積層ゴムだけで建物を支える状態にします。ゴム単体の性質を調べやすくするための準備です。そのうえで2基の油圧ジャッキを使い、建物を水平方向に10cm押し込みます。

次に、ジャッキの力を一瞬で解放します。外から力を加え続けない状態で、建物は自らの性質に従ってひとりでに揺れ始めます。これが自由振動です。その揺れの周期や振幅といったデータを測定し、分析します。この結果から、積層ゴムが年月とともにどう変化したかを検証します。

約10年ごとに続けてきた5回目の測定

奥村組は、これまでおおむね10年ごとに同じ実験を行ってきました。今回が5回目にあたります。過去の結果と並べて見ることで、積層ゴムの性能が長い時間のなかでどのように推移してきたかを追えます。同じ建物で測定を重ねてきたため、変化の傾向を長い目で確認できる点も強みです。

実施の概要は次のとおりです。

  • 実施時期:2026年10月
  • 実施場所:奥村組技術研究所(茨城県つくば市大砂387)
  • 実験内容:免震建物「技術研究所管理棟」の自由振動実験、免震装置(積層ゴム)の経年性能調査

実験を紹介する特設ページを公開

奥村組は、同社の免震技術を紹介するWEBサイト「免震WEB」に、今回の実験の特設ページを開設しました。ページでは実験の概要や背景に加え、同社が開発した免震技術も紹介しています。実験がなぜ必要なのかを詳しく知りたい方は、あわせて確認するとよいでしょう。

参考:40年目の自由振動実験特設ページ

出典情報など

出典:株式会社奥村組,日本初の実用免震ビルが竣工40年-免震のパイオニア 奥村組 建物を実際に揺らす「40年目の免震実証実験」を実施~世界でも例のない”実使用40年”の免震建物で免震装置の性能変化を検証~,https://www.okumuragumi.co.jp/newsrelease/2026/40–4040.html,リリース日:2026-10-01