清水建設、現場内物流のムダをデジタル化で排除する建設物流DXシステムを開発・運用開始

20260929_建設物流DXシステム

清水建設は、建設現場の中で生じる物流のムダをデジタル化とクラウド化によって取り除く「建設物流DXシステム」を開発しました。資機材を運ぶ車両の入退場管理や、クレーンなど揚重設備の予約申し込みといった、これまで書類で進めてきた業務をクラウド上で一元的に管理できるようにします。

従来は紙の書類や現場ごとの調整に頼る場面が多く、情報の共有に時間がかかっていました。あわせて、新たに配置する誘導員と揚重センターが役割を分担することで、現場内の物流の進め方が大きく変わります。

搬入作業が協力会社の重い負担になっている

建設現場には毎日、さまざまな職種の協力会社が入場し、大量の資機材が運び込まれます。この搬入作業は、協力会社にとって大きな負担です。作業を行う階から入場ゲートまでの移動に始まり、搬入車両の到着待ち、場内での誘導、荷降ろし、揚重まで、一連の流れに多くの手間と時間がかかるためです。

とくに現場内の移動は、建物が高層になるほど長くなり、時間のロスも大きくなります。資機材の搬入は工事の進み具合に直結するため、待ち時間や移動時間が積み重なると、工程全体にも影響が及びかねません。

法改正も現場の物流効率化を後押し

現場の事情に加え、制度面の動きもあります。2024年度に物流効率化法が改正され、建設現場の物流についても、法律の面から効率化への対応が求められるようになりました。

荷待ちや荷役にかかる時間を減らす取り組みは、建設業界にとっても無視できないテーマです。現場で働く人の負担を減らすことに加え、建設現場の物流効率化が求められています。

四つの要素で課題をまとめて解決する

建設物流DXシステムは、こうした複数の課題を一度に解決するために作られました。中心になるのは四つの要素です。一つ目はシステムへの物流情報の入力、二つ目はクラウドを通じた情報共有です。

三つ目は資機材を積んだ搬入車両に対応する専門の誘導員、四つ目は揚重設備の予約管理と、資機材の荷役や揚重作業を担う揚重センターです。

これらを組み合わせることで、情報の入力から搬入、揚重までが途切れずにつながります。揚重とは、クレーンやリフトなどを使って資機材を作業する階まで運び上げる作業を指します。

協力会社の事前入力から揚重計画づくりまで

運用の流れは次のとおりです。まず協力会社が、資機材を載せた車両の入場予定日時に加え、内訳や数量、車両情報などを事前にシステムへ入力します。揚重センターは、この入力内容をもとに毎日の揚重計画を立てます。

こうした一連の物流情報はすべてクラウド上で共有されるため、関係者が同じ情報を見ながら動けます。従来のように書類でやり取りする手間が減り、情報の行き違いも起こりにくくなります。揚重計画が整理されていれば、当日の混雑や待ち時間も見通しやすくなります。

誘導員はタブレット入力、荷役は揚重センター

誘導員は、共有された物流情報を見ながら、搬出入車両のドライバーと連絡を取り、場内へ誘導します。車両が入退場した時間などの実績は、手元のタブレットからワンタップで入力できる仕組みです。実績のデータがその場で蓄積される点も特徴です。

資機材を揚重設備へ積み込む作業と、揚重作業そのものは、揚重センターが受け持ちます。協力会社の作業員は搬入に伴う付随業務から解放され、本来の作業に時間を充てやすくなります。

Torch Towerで運用中、今後はAI活用を進める

清水建設はすでに、千代田区の「Torch Tower」(トーチタワー)の現場で、このシステムの運用を始めています。現場内の物流のムダがなくなり、協力会社の実働時間の増加や生産性の向上に直結していることから、高い評価を得ています。

今後は、待機車両の削減や揚重計画の最適化、物流効率化法への対応などに向けて、データとAIを軸に機能の拡充を目指します。参考資料では、搬入車両の管理画面や揚重計画の管理画面、システム導入前後の資機材搬入作業の比較などが紹介されています。現場内の物流と働き方の改革を、さらに進めていく考えです。

出典情報など

出典:清水建設株式会社,「建設物流DXシステム」を開発・運用開始~建設現場の物流改革を推進~,https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2026/2026039.html,リリース日:2026-09-28