国土交通省が公表、建設技能労働者の8月不足率1.3%に拡大 関東で人手不足が顕著に

国土交通省は、建設現場で働く技能労働者の需給状況をまとめた「建設労働需給調査結果」の令和8年8月分を公表しました。型わく工や左官、電工など建設の主要8職種全体で見た過不足率は1.3%の不足となり、前月の1.2%からさらに0.1ポイント広がっています。
前年の同じ時期と比べても0.4ポイントの拡大となっており、人手不足の傾向がじわじわと強まっている様子がうかがえます。とび工や鉄筋工など基礎的な6職種に絞った数値でも、1.2%の不足という結果になりました。
職種によって明暗が分かれる結果に
職種別に見ると、型わく工(建築)で過剰感が出ている一方、それ以外の職種はいずれも人手不足が続いています。特に目を引くのが鉄筋工(建築)です。
前年は9.0%もの過剰だったのに対し、今回は0.6%の不足へと転じ、対前年の増加幅が職種の中で最も大きくなりました。反対に、型わく工(建築)は前年の1.5%の不足から0.5%の過剰へと変わり、減少幅が最大となっています。
こうした職種ごとの差は、それぞれの工事の進み具合や季節要因によって毎月変動する傾向があります。特に鉄筋工(建築)のように前年から大きく数値が動いた職種については、単月だけでなく複数月の推移を見比べることで、より実態に近い傾向をつかむことができるでしょう。
関東は拡大、九州は緩和傾向
地域別の動きにも差が見られます。6職種計では、関東は前年同月に比べて1.9ポイント不足率が拡大し、全国で最も増加幅が大きい地域となりました。一方、九州は3.0ポイントの縮小となり、全国で最も改善が進んだ地域です。
新規募集の状況についても、6職種計は前年を下回る不足率にとどまった一方、8職種計は前年を上回る不足率となりました。
6職種計では多くの地域で人手不足
6職種に絞った地域別の状況を見ると、東北・北陸・四国・沖縄は均衡している一方、それ以外の地域はすべて人手不足という結果になりました。
都市部だけでなく地方の一部でも技能労働者の確保に苦労している現場があることがうかがえます。全国的に見ても、人手が余っている地域はほとんど見当たらない状況が続いています。
今後2〜3カ月の見通しも「普通」
今後の労働者確保に関する見通しについて、8職種計では「普通」との回答が中心を占めました。ただし詳しく見ると、翌々月にあたる10月の見通しでは「困難」「やや困難」の合計が27.4%となり、前年同月の26.9%からわずかに増加しています。
「やや容易」「容易」の合計も6.0%と、前年の5.0%から増えました。さらに先の11月の見通しでは、「困難」が24.0%で前年比0.3ポイント増、「容易」も13.2%で前年比1.9ポイント増となっており、厳しさと緩和の声が同時に強まっている状況です。
残業や休日出勤で対応する現場も増加
手持現場のうち、残業や休日作業を強化して人手不足に対応している現場の割合は4.0%となり、前月の2.8%から1.2ポイント増加しました。前年同月の3.4%と比べても0.6ポイントの増加です。強化している理由としては、以下が挙げられています。
- 前工程の工事遅延:29.0%
- 昼間時間帯の時間的制約:26.1%
- 天候不順:10.1%
- 無理な受注:4.3%
調査結果から見える人手不足の現状
こうした調査結果は、建設業者が人材確保の計画を立てる際の参考になるほか、国が公共事業を計画的に進めるための基礎データとしても活用されています。毎月の推移を追うことで、どの職種や地域で人手不足が深刻化しているのかを早めに把握できる点が、この調査の大きな意義といえるでしょう。
今後も残業や休日作業で現場をやりくりする動きが続くようであれば、働き方の面での負担増加にもつながりかねず、業界全体で人材確保の対策を進めていく必要がありそうです。
令和8年8月の調査結果からは、建設現場の人手不足が依然として続いている実態が見えてきます。地域や職種によって差はあるものの、多くの現場で労働者の確保に苦心している状況は変わらないといえそうです。
出典情報など
出典:国土交通省,建設労働需給調査結果(令和8年8月分調査)について,https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00379.html,リリース日:2026-09-25