東急建設とNTTソノリティ、音声AIでKY活動をデータ化して安全管理を効率化する取り組み

20260909_音声AIで建設現場のKY活動をデータ化

建設現場の朝礼で欠かせない危険予知(KY)活動が、音声とAIの力で新しい形に変わろうとしています。東急建設株式会社とNTTソノリティ株式会社は、KY活動を音声と生成AIによってデータ化する取り組みを進めており、このほど実証実験の結果と今後の方針を明らかにしました。

現場での何気ないやり取りを記録として残し、安全管理そのものの質を底上げしようという狙いがあります。

紙記録が抱えていた課題

建設現場では毎朝KY活動を実施していますが、紙への手書き記入が中心となりやすく、記入作業の手間が大きいうえ、内容が簡略化されて形だけのものになりやすいという課題がありました。

また、記録をデータとして蓄積したり、他の現場へ展開したりすることも難しく、活動の質を客観的に評価しにくい点も課題でした。口頭での注意喚起が記録に反映されないまま終わってしまうことも、少なくなかったといいます。

音声とAIで現場の声を資産に

両社は2026年3月から、NTTソノリティの音響技術と生成AIを組み合わせた実証実験(PoC)を開始しました。現場での会話をそのまま記録することで、書き漏れや記録の形骸化を防ぎ、安全施工の水準を底上げすることを目指す試みです。

今回、その有効性が確認されたことを受けて成果が公表されました。現場に大きな負担をかけずに導入できる点も、検証の重要な観点となりました。

会話がそのまま記録になる仕組み

実証実験では、現場での発話を音声AIが自動で記録・保存する仕組みを検証しました。これにより、当日の発言内容に基づいた正確なKY記録が残るほか、予定になかった作業についてもやり取りが記録として残ります。参加した職長からは「操作しやすい」という声が全員から寄せられました。

現場からは、記入忘れや用紙の紛失といったトラブルがなくなる点を評価する声のほか、口頭で伝えていた追加の指示事項も記録に残ることで、万一の際に自分の身を守る材料になるとの意見も寄せられました。参加者のサイン確認にかかっていた時間の削減を期待する声も上がっています。

発話内容をAIが自動で判定

もう一つの柱が、KYの「質」を測る仕組みです。発話内容を生成AIが分析し、危険ポイントの具体性や注意喚起の的確さを「ABC判定」によって自動評価します。

ある現場では、判定によって安全への意識がより高まるかという問いに、参加した職長7名全員が「はい」と回答しました。ABC判定によってKYの質を評価し、改善につなげることで、安全意識の向上を図れる点が特徴です。

現場担当者からは、評価を通じて作業手順への理解が浅い人を把握しやすくなり、必要な注意喚起につなげられるといった意見が寄せられています。評価されること自体が学びの機会となり、成長につながるとの声も出ています。

全現場展開へ向けた今後の計画

今後は、騒音の大きい環境での認識精度の向上や、地下など通信環境が不安定な場所への対応を進める方針です。東急建設は2026年度中に順次導入を広げ、次年度には全現場への展開を目指すとしています。

他社のデジタルサイネージなど周辺システムとの連携も検討し、単独の仕組みだけでは解決しにくい現場の課題にも対応できる体制を整えていく考えです。現場ごとに条件が異なる建設業だからこそ、柔軟に組み合わせられる仕組みづくりが重視されています。

SonoVo AIの位置づけ

なお、実証実験で使用したシステムは、2026年8月27日に正式にリリースされた「SonoVo AI」の先行開発版です。安全性評価の仕組みは労働安全衛生法などを参考に独自に整理した指標であり、法令上の安全管理義務を代替するものではない点にも留意が必要です。

あくまで現場の安全管理業務を支える補助的な役割として位置づけられている点は、押さえておきたいところです。両社は今後も音声AIという分野で技術力を高め、建設業界全体の安全な現場づくりに貢献していく方針を示しています。

【参考】:音声AIを活用した建設現場の安全管理向上・効率化に向けた実証実験を開始

出典情報など

出典:東急建設株式会社,「書くKY」から「話すKY」へ。音声AIが変える建設現場のKY活動‐ 現場の「声」が安全資産になる時代へ‐,https://www.tokyu-cnst.co.jp/topics/3025.html,リリース日:2026-08-31