戸田建設、爆薬装填ロボットTo-RIGGERで山岳トンネル発破作業の無人化に前進

20260904_爆薬装填ロボットTo-RIGGERの現場実証

戸田建設は、UP設計コンサルタント、HCI、虎乃門建設機械の協力を得て開発した爆薬装填ロボット「To-RIGGER™(トリガー)」について、実際のトンネル工事現場での実証を行いました。切羽での爆薬装填作業を無人で行える見通しが立ったことで、山岳トンネルにおける発破作業の安全性向上と省人化に向けた取り組みが大きく進みました。

今回の実証は、これまで模擬岩盤を用いた検証実験を行ってきたTo-RIGGERを、実際の施工現場で検証するものです。発破作業は山岳トンネル工事の中でも特に危険度が高い工程とされており、今回の実証結果は業界全体からも高い関心を集めそうです。

危険な手作業からの脱却を模索

山岳トンネルの発破工事では、これまで作業員が切羽と呼ばれる掘削の最先端部に立ち入り、手作業で爆薬を装填してきました。しかし切羽付近は岩盤が崩れやすく、岩塊が落下する恐れが常につきまとう危険な作業環境です。

こうした状況を根本から見直すため、戸田建設らは装薬孔に爆薬装填ホースを正確な位置と角度で自動的に差し込む仕組みづくりに取り組みました。

試行錯誤を重ねた末に完成させたのが、今回のTo-RIGGERです。開発段階では模擬岩盤を使った検証実験を繰り返し行い、装置が狙い通りに動作することをあらかじめ確かめたうえで、実際の現場実証へと歩みを進めています。

建設業界が抱える人手不足の課題

建設業界では、熟練作業員の高齢化や担い手不足が長年の課題となっており、山岳トンネル工事のように危険を伴う作業ほど、人に頼らない仕組みへの転換が急がれています。

発破工程は工期全体に大きく影響する重要な作業であるため、装填作業を自動化できれば、作業員の安全確保だけでなく、工程管理のしやすさにもつながると期待されています。To-RIGGERの開発は、山岳トンネル発破作業における安全性向上と省人化に向けた取り組みのひとつとして位置づけられています。

実際の切羽で自動挿入に成功

今回の実証は、中日本高速道路が発注し戸田建設が施工を担当する東海北陸自動車道の袴腰トンネル工事にて行われました。模擬岩盤とは異なり、凹凸や岩質にばらつきがある本物の切羽を舞台にした試験でも、ラインスキャナとAIを組み込んだロボットアームが装薬孔の位置を的確に読み取りました。

そのうえで爆薬装填ホースを自動で挿入する一連の動作が確認されており、模擬環境だけでなく実際の施工現場でも問題なく機能することが裏付けられた形です。この結果は、無人化技術が実験段階から実用段階へと一歩近づいたことを意味しています。

発破工程全体の自動化を視野に

今後は、装置の動作をより速く、より扱いやすくするための改良が予定されています。あわせて、現場で直接つくり出すバルクエマルション爆薬や、配線をつながずに起爆できる無線発破システムとの組み合わせも進め、発破作業全体を人の手を介さずに完結させる方向を目指す方針です。

個々の技術を単独で使うのではなく、装填から起爆までを一体的に自動化することで、より大きな効果を生み出す狙いがあります。今回の実証はその第一歩に位置づけられるものといえます。特に、今後はロボットアームの動作速度や操作性をさらに向上させることで、現場での実用性を高めていく考えです。

山岳トンネル技術全体の底上げへ

戸田建設は、発破作業を含む山岳トンネル工事の各工程を遠隔操作や自動化によって進める独自技術「ToP-NATM®」の確立にも力を入れています。今回の成果は、その技術体系を支える要素のひとつとして、今後さらに磨き上げられていく見込みです。

トンネル工事に携わる作業員の安全確保と、施工全体の生産性向上という二つの課題を同時に解決する取り組みとして、今後の展開が引き続き注目されそうです。業界内でも、危険を伴う作業を人に頼らず進める技術への関心は高まっており、今回の実証はその流れを後押しする事例のひとつと位置づけられます。

参考:爆薬装填ロボット「To-RIGGER™(トリガー)」を開発

出典情報など

出典:戸田建設株式会社,爆薬装填ロボット「To-RIGGER(トリガー)」を現場実証 山岳トンネル発破作業の安全性向上・省人化へ大きく前進,https://www.toda.co.jp/news/2026/20260903_006334.html,リリース日:2026-09-03