大林組、PLATEAU活用し風環境解析を約500倍高速化する環境設計プラットフォームを開発

20260828_ArchiPALETTEとPLATEAUを活用した風環境解析

大林組は、3D都市モデル「PLATEAU」を活用し、建物建設に伴う風や景観への影響を設計者自身が手軽に予測・評価できる環境設計プラットフォーム「ArchiPALETTE(アーキパレット)」を開発したと発表しました。

これまでは専門家に依頼しなければ難しかった環境評価を、設計の初期段階から何度でも繰り返し行えるようになり、検討作業の効率化と設計品質の向上を後押しします。

あわせて、専門知識を持たない関係者との情報共有もしやすくなる見込みです。今回の取り組みは、意匠性と環境性能の両立を設計の早い段階から追求できる体制づくりの一環として位置づけられています。

専門家頼みだった環境評価の課題

風環境や日照、屋外の快適性を踏まえた環境配慮設計は、持続可能な建築・都市づくりを進めるうえで欠かせない要素とされてきました。

国や自治体によるPLATEAUなどのデジタル基盤整備も年々進んでいますが、実際の設計現場で環境評価を行うには高度な専門知識と膨大なデータ処理が必要で、設計者が日常的に使いこなすのは難しい状況が続いていました。

デザインを変更するたびに専門家へ解析を依頼する従来のやり方では、初期段階で十分な比較検討を重ねることが難しく、スピーディーに検証できる仕組みづくりが課題となっていました。今回の開発は、こうした現場の悩みに応える取り組みとして進められたものです。

対象エリア指定だけで解析が自動完了

「ArchiPALETTE」の第1フェーズとして搭載されたのが、風の流れをシミュレーションする風環境CFDです。Webブラウザ上で調べたいエリアを指定するだけで、高精細なテクスチャ付きの3D都市モデルを自動で取得できます。

さらに大林組独自の形状処理技術によって、取得したデータはシミュレーション用モデルへ自動で最適化され、気象条件の設定から解析の実行、結果の可視化までを一連の流れとして全自動で処理します。これにより設計者は初期段階から環境や景観への影響を何度でも気軽に試すことができ、検討にかかる時間の短縮や手戻りの削減が期待できます。

計算効率は一般的なパソコンの約500倍

独自のビッグデータ処理技術とクラウド上の高性能計算資源(クラウドHPC)を組み合わせ、複数の風向きの解析を同時並列で処理できる点も大きな特長です。一般的なパソコン1台で計算する場合と比較すると、計算効率は約500倍に高まるといいます。

従来は1、2か月ほどかかっていた計算が、約2~3時間に短縮されます。加えて、解析結果は信頼性の高い評価手法である風洞実験との比較検証を経ており、実務で使える十分な精度が確保されています。処理速度と精度を両立させたことで、設計変更が生じるたびに気軽に解析をやり直せる環境が整いました。

解析結果は3D地図上に可視化して表示

得られた解析結果は、実際の街並みに近いフォトリアルな3D地図に重ねて表示される仕組みです。建物単体だけでなく、周辺の市街地を含めたエリア全体における風の流れを視覚的に確認できるため、専門知識を持たない関係者とも評価結果を分かりやすく共有できるようになります。

図面や数値だけでは伝わりにくかった環境への影響を直感的に把握できるようになり、設計段階での合意形成をスムーズにする効果も見込まれています。施主や住民など、専門的な図面に不慣れな人へ説明する場面でも役立つツールとなりそうです。

日照や屋外快適性にも対応領域を拡大へ

大林組は今後、自社の設計施工プロジェクトにおいて「ArchiPALETTE」の標準的な導入を進める方針です。風環境や景観に加え、日照や屋外快適性など評価できる領域を広げていくほか、過去の解析データを活用したAI学習によって予測処理のさらなる高速化も目指します。

設計者と施主が3D地図上に可視化されたデータを共有しながら、建物単体にとどまらずその周辺の都市空間まで一体的に検討できるプラットフォームへと発展させていく考えです。優れた意匠と高い環境性能を両立した提案を、設計の初期段階からスピーディーに行える体制づくりを進めていくとしています。

出典情報など

出典:株式会社大林組,PLATEAUを活用した環境設計プラットフォーム「ArchiPALETTE™」を開発 設計初期段階から、高度な環境シミュレーションを設計者自身が活用,https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20260826_1.html,リリース日:2026-08-26