大成建設ら3社、360度カメラドローンで排水管路を点検、作業員の立入りなしで安全に調査

20260827_360度カメラ搭載ドローンによる排水管路の点検

大成建設株式会社は、成和リニューアルワークス株式会社、JP Drone株式会社とともに、360度カメラを搭載したドローンを用いた新しい管路点検手法「T-pipe vision 360」を開発しました。今回、KHネオケム株式会社四日市工場の排水管路を対象に実際の調査を行い、その有効性を確かめました。

作業員が管の内部に入ることなく、最大100メートルという長い区間を連続して撮影できる点が大きな特徴です。撮影した映像は地上と地下をつなぐ一体型の3Dモデルへと変換され、今後の補修計画づくりに役立てられる見込みです。生産プロセス全体のDXを進める取り組みの一環として位置づけられています。

老朽化が進む地下管路の維持管理

下水道をはじめとした地下インフラは、供用が長く続くほど老朽化が進み、損傷や道路の陥没といった問題につながりやすくなります。工場敷地内に埋設された管路についても同様で、状態を早めに把握し、計画的に手を入れることの大切さが増しています。

ただし従来の点検方法では、管の条件によって作業員が内部へ立ち入る必要があり、狭さや暗さ、酸素不足といった危険を伴う場面も少なくありませんでした。安全性の確保が長らく現場の課題となっていたのです。予防保全の考え方が広がるなかで、こうした課題への対応はより重要性を増しています。

360度撮影とドローンで安全性を確保

こうした背景から3社は、360度カメラを積んだ飛行型と舟艇型のドローンを管内に投入し、SfM技術によって映像を立体化する手法をつくり上げました。管の太さや水位、内部の空間の広さといった条件にあわせて機体の種類を選べるため、幅広い管路に対応できます。

操縦者1人と補助員2人の計3人という少人数での調査が可能になった点も、現場の負担軽減につながる要素です。人手や日数を大きくかけずに調査を終えられる体制が整った点も見逃せません。

全周映像で見落としを減らす

従来の前方カメラでは、方向を変えながら何度も撮影を重ねる必要がありましたが、360度カメラなら機体周囲の映像を一度にまとめて記録できます。これにより撮影の偏りが減り、見落としのリスクを抑えられます。

加えてマンホール直下の立坑部分もあわせて撮影できるため、地上と地下のモデルを同じ基準点で結び付けられるようになりました。従来は見えにくかった場所も、映像上で確認しやすくなっています。

地上と地下をつなぐ3Dモデル

空から撮影した地上部の3Dモデルと、管内で取得した3Dモデルを組み合わせることで、管路の位置や地表からの深さを、地上のどの地点の真下にあたるかまで含めて把握できます。

将来の補修や更新工事の際には、施工の進め方や工事車両の配置、交通規制の検討にかかる手間を減らせると見込まれています。維持管理業務全体の効率化にも寄与すると期待されています。図面だけでは分かりにくかった位置関係を、関係者間で共有しやすくなる利点もあります。

四日市工場での調査条件

今回の実証では、次のような条件のもとで調査が進められました。効率的に作業を終えられた点も、現場にとって負担の少ない結果につながりました。

  • 調査場所:KHネオケム株式会社四日市工場の排水管路
  • 調査①:管径1,350mm、延長約100mの区間に飛行型ドローンを使用
  • 調査②:管径1,500mm、延長11.3mの区間に飛行型・舟艇型の両ドローンを使用
  • いずれの調査でも作業員の管内立ち入りはなし

計測で確かめられた精度

延長11.3mの区間では、往復にかかった実移動時間が飛行型ドローンで約90秒、舟艇型ドローンで約2分30秒にとどまりました。取得した360度映像をもとに3Dモデル上で管径を計測したところ、結果は約1,507mmとなり、設計値の1,500mmとの差はわずか7mm程度でした。

この結果から、3Dモデルによる計測が実際の維持管理業務にも活用できる精度を備えていることが確かめられました。なお、調査した区間で構造上の目立った破損は見つかりませんでした。短時間の作業でこれだけの精度が得られた点は、今後の実務への応用を後押しする材料といえます。

CIM連携で管路維持管理の高度化へ

3社は今後、CIM技術との連携を進め、点検や維持管理に関する情報をひとつにまとめたデジタル管理基盤の構築を目指します。

あわせて下水道など点検が難しいインフラ施設への応用も広げ、維持管理の高度化や、修繕・更新工事の計画精度向上、施工の効率化につなげていく方針を示しています。今回得られた知見をもとに、さまざまな現場条件への対応力をさらに高めていく考えです。

出典情報など

出典:大成建設株式会社,360°カメラ搭載ドローンを活用した管路点検手法「T-pipe vision 360」を開発 作業員が管内に立ち入ることなく工場排水管路最大100m区間を連続撮影し、地上・地下一体型3Dモデルで補修計画を支援,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260826_11164.html,リリース日:2026-08-26